放送界の動き

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

    中国の女性記者,英保守党会議の取材中に暴れて逮捕

    9月30日,イギリス保守党の年次総会の一環としてロンドンで開かれた香港問題検討会で,イギリス駐在の中国中央ラジオテレビ(中央廣播電視総台)の孔琳琳記者が突然立ち上がり,「中国を分裂させようとしている」などと英語で騒ぎ立てた。会合に参加していた香港人ボランティアが連れ出そうとしたところ,「触るな」などと言って手で2回ボランティアを叩いたという。イギリスの警察当局は暴行容疑で孔記者を逮捕したが,中央ラジオテレビは声明の中で「彼女は身体的なハラスメントを受けた」などとしてその行動を支持,イギリス当局に対し公正な判断を求めると述べた。

    中国,初の4Kチャンネル放送開始

    中国の中央ラジオテレビは10月1日,4Kチャンネルの放送を国内で初めて開始した。まずはケーブルテレビなどの利用者向けで,午前6時から深夜0時までの18時間,ドキュメンタリーやスポーツ中継,テレビドラマなどが放送される。現在,中国国内では,北京・上海・広東省など15の省,自治区,市でケーブルテレビやIPTVが4Kチャンネルのサービスを提供しており,サービスに加入している視聴者は,4K対応のテレビ受信機とセットトップボックスを備えれば,4Kの番組を視聴することができる。

    韓国KBS,「不当人事」受けた記者の復職続く

    韓国の公共放送KBSで,過去に「不当な人事」で解雇処分などを受けた記者の復職が続いている。復職が認められたのは,2012年に当時のKBS社長を誹謗したとして解雇処分を受けた記者など2人で,9月から10月にかけてそれぞれ復職が認められた。今回の復職は,KBSが公正な放送の実現を目指し2018年6月に設立した「真実・未来委員会」の救済勧告によるもの。同委員会では過去に「不当な人事」がほかにもなかったかどうか,引き続き調査を続けるとしている。

    ABU新会長にNHK上田会長

    70以上の国と地域の放送機関などが加盟しているアジア太平洋放送連合(ABU)の新しい会長に,NHKの上田良一会長が選ばれた。中央アジアのトルクメニスタンで行われた第55回ABU総会で,10月5日に選出された。上田会長は指名受諾演説で「放送メディアはデジタル時代を迎え,さまざまな課題に直面している。今こそ新しい技術とノウハウを最大限に活用して,アジア太平洋地域の放送の発展に向けてともに団結していこう」と呼びかけた。任期は2021年末までとなっている。

    豪公共放送ABCの前会長,解任不当だと公正労働委に訴え

    任期半ばで解任されたオーストラリアの公共放送ABCのミシェル・ガスリー前会長が10月15日,解任は公正労働法に違反しているとしてABCを公正労働委員会に訴えた。ガスリー前会長は,政権との関係が良好ではなかったなどとして,9月24日,理事会によって解任されたが,解任に値する正当な根拠はないと主張している。ABCではガスリー前会長の解任後の9月27日,ジャスティン・ミルン前理事長が,政権の圧力を受けて現場に介入した疑惑が持ち上がり,辞任に追い込まれた。ガスリー前会長は,この疑惑に関する調査を理事会に依頼したことが自らの解任につながったとしているが,ミルン前理事長はその関係を否定している。

    アルジャジーラ,異例の報道体制でサウジを批判

    トルコ・イスタンブールのサウジアラビア総領事館でジャーナリストが死亡した事件をめぐり,中東の衛星テレビ局アルジャジーラ(AJ)は,異例ともいえる体制を組んで事件の報道にあたっている。ニュースキャスターらが交代でイスタンブールに入り,連日,現地と中継を結びながら,曖昧な説明を繰り返すサウジアラビア政府の対応を批判。10月2日の事件発生からほぼ1か月経った時点でも,夜の大型ニュース番組『きょうの収穫』などでは,放送時間の半分以上をこの事件の報道にあてている。サウジは2017年6月,テロ組織を支援しているとしてカタールと国交を断絶した際,和解条件のひとつとしてカタールに拠点を置くAJの閉鎖を要求するなど圧力を強めてきたが,ここにきてAJが一気に攻勢をかける形となっている。