放送界の動き

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

    韓国,テレビでの「検事のセクハラ」告発で,検察局を捜索

    韓国の有料放送向け総合編成チャンネルのJTBCが1月29日,ソ・ジヒョン女性検事が上司からセクハラを受けたと告発する内容のインタビューを放送,この問題への対応で発足した「真相調査団」が2月13日,検察局への捜索を行った。この事件は2010年にある葬儀の席で起きたもので,ソ検事によると,彼女の隣に座った上司から,長時間にわたって腰に手を回してなでられたうえ,体のあちこちを触られたという。当時,彼女は検察の体質を知っていたためその場で大声を上げることはできず,その後,内部の担当者に報告したものの,もみ消されていた。このインタビューは大きな反響を呼び,法務部の指示を受けた大検察庁は1月31日に「検察セクハラ問題の真相究明及び被害回復調査団」の発足を発表,調査団は2月13日,法務部の中核組織とも言える検察局への捜索を行った。JTBCは,パク・クネ前大統領の側近をめぐる疑惑に続く大スクープで名声を高めた。

    中国,CCTVの旗艦番組に「黒人蔑視」の批判

    中国中央テレビ(CCTV)が2月15日に放送した『春節聯歓晩会』の中のミニコントで,顔を黒く塗って黒人に扮した中国人女性の外見や話の内容が「黒人蔑視」だとして,国際的な批判を浴びた。この番組は,毎年旧正月の前夜にCCTVが放送する人気番組で,CCTVの総合・芸能・子ども等のチャンネルや,海外向けの中国語・英語・スペイン語といったチャンネルなど,合わせて149の国と地域で放送された。この番組の中のアフリカを取り上げたミニコントで,中国人女性がアフリカ人少女の母親役で登場したが,顔を黒く塗っていたほか,胸とお尻を極端に大きく見せるパッドをしていて,話の内容も何とか娘をハンサムで裕福な中国人の男性に嫁がせようとするものだった。これに対しネット上では,「不適切だ」「侮辱的だ」「人種差別だ」などとする批判が噴出,黒人による抗議の声もYouTubeにアップされた。中国外務省はこれについて,「人種差別に反対する」とする一方で,批判は当たらないとも述べている。

    中国,CCTVの新しいトップに新華社出身者起用

    中国中央テレビ(CCTV)の新しいトップに,新華社で26年間勤めた慎海雄氏が任命された。これは国務院が2月9日に発表したもので,慎氏は2015年からトップを務めた聶辰席氏に代わって就任する。慎氏は51歳,1989年に記者として新華社に就職,2012年からは副編集長,2014年からは副社長を務めた。そして2015年からは広東省の共産党委員会宣伝部長を務めていた。

    香港,メディア所有規制を緩和へ

    香港政府は2月20日,現在は禁止されている新聞社のテレビ局経営などを認める,メディア所有規制の緩和方針を明らかにした。商務・経済発展局の邱騰華局長によると,これはネットメディアの発展など香港のメディア環境の変化を考慮したもので,従来はテレビ局の所有を禁止されていた香港の新聞社のオーナーや海外のテレビ局オーナー,ラジオ番組供給事業者などについて,テレビ局の所有を認める。また,海外資本による香港の無料テレビ局の株式所有に関しても,従来は2%以上の所有について事前にCA(放送通信事務管理庁)の許可が必要だったのを,5%以上に緩和する。一方で,無料テレビ局や有料テレビ局,ラジオ局のオーナーがさらに放送局を所有することは認めないとしている。今回の規制緩和案をめぐっては,規制の全面撤廃を求める声がある一方で,中国資本を含む海外資本への規制緩和はメディアの自由度に悪影響を与えるとの批判もある。

    ミャンマー,「ビルマ民主の声」など地デジ放送開始へ

    ミャンマーで無料地上デジタル放送の免許を得た5つの民間事業者が2月17日,放送インフラを管轄する国営放送MRTVと正式調印した。5団体には軍政時代に海外で民主化を主張する放送をしていた「ビルマ民主の声」などが含まれていて,今後はMRTVの地デジのインフラを使って,ニュースや娯楽番組などを放送する。ミャンマーでは放送法の整備が遅れており,5団体は現段階では放送局ではなくチャンネル事業者もしくはコンテンツ事業者と位置づけられている。