放送界の動き

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

    韓国新政権,KCCやKCSCを存続へ

    韓国のムン・ジェイン(文在寅)新政権は6月5日,「政府組織改編案」を発表したが,規制機関の放送通信委員会(KCC)と放送通信審議委員会(KCSC)は存続することになった。KCCは,地上波をはじめケーブルテレビやIPTVなど向けの総合編成チャンネルに関する許認可や政策立案などの権限を持つ機関で,KCSCは,放送・通信を媒介して流通するすべてのコンテンツについて,視聴者からの苦情などをもとに審議する機関である。このうち,KCCに関しては,常に与党の意向が反映されるという批判があり,政権交代に伴って大規模な組織改編を求める声もあった。しかし新政権は,国政の安定や緊急の懸案の解決を優先するため,政府組織の改編は最小限にとどめる方針を打ち出したもので,今後はKCCの委員5人のうち,委員長を含む大統領任命の2人,国会の与党が推薦する1人,野党が推薦する2人の人事が注目される。

    中国,ネットでの動画番組規制を強化

    中国の国家新聞出版ラジオ映画テレビ総局(ラテ総局)が,「新浪微博」「AcFun」「鳳凰網」の3つのネットサイトに対し,番組配信許可を得ないまま批判的な評論番組を大量に配信したなどとして配信停止の措置をとったことが,6月22日に明らかになった。このうち「新浪微博」は,中国版ツイッターとされる「微博」(ウェイボー)の代表的なサービスで,月間のアクティブユーザーは3億人近いと言われる。中国では習近平政権の発足以来,ネットを含めたメディア統制が非常に厳しくなっており,6月1日に「ネット安全法」が施行されたあと,芸能ゴシップに関するアカウントがすでに次々に削除されている。

    台湾NCC,ケーブルテレビ事業者によるチャンネル事業者大手の買収を認めず

    台湾の独立規制機関である国家通信放送委員会(NCC)は5月31日,ケーブルテレビ事業者「台湾数位光訊科技」(台数科)が申請していた,チャンネル事業者大手「東森テレビ」の買収計画について,「垂直統合によって言論の多様性などに影響を与える」として,認めない決定をした。台数科は台湾のケーブルテレビMSO(統括運営事業者)5社のうち第5位の事業者で,一方の東森テレビは台湾向けに8チャンネル(うち2つはニュースチャンネル)を擁する,ケーブルテレビ向けチャンネル事業者大手である。この買収案について与党民進党を含む議会からは大きな反対の声はなかったが,NCCでは,東森テレビの規模が大きいことに加え,台数科が台湾中部で独占的な地位を築いていること,台数科が東森テレビを買収する資金負担が大きく,今後質の高いサービスを提供するための投資が難しいことなどを理由に,買収を認めない決定をした。

    マレーシア,2018年6月の完全地デジ化目指し準備本格化

    マレーシアのナジブ首相は6月6日,2018年6月に地上アナログ放送の終了を目指すことを表明した。国営RTMとすべての商業テレビの計9チャンネルを提供する無料の地デジプラットフォーム「MyFreeview」のサービス開始にあたって述べたもので,マレーシア政府は,年内に地デジ受信エリアを98%の世帯まで広げるとともに,「MyFreeview」を受信するためのセットトップボックスを420万軒の低所得世帯に無料配布するなど,完全地デジ化に向け準備を本格化させる。

    サウジ等がアルジャジーラの閉鎖など要求

    中東のサウジアラビアやUAE=アラブ首長国連邦などが6月5日,テロ支援などを理由にカタールに断交を通告した問題で,国交回復の条件として,カタールの衛星テレビ局アルジャジーラの閉鎖を含む13項目の要求を23日までに通知し,10日以内に応じるよう求めた。これに対しカタール政府は,各国の主張は根拠がないと反論,閉鎖要求を受けたアルジャジーラも「ドイツがイギリスに"BBCを閉鎖しろ"と言うくらい不条理だ」と反発している。アルジャジーラは1996年,当時のカタールの国家元首のハマド首長が出資して設立,全世界に70以上の取材拠点を持ち,100か国以上で3億世帯が視聴しているとされる。近年はサウジアラビアやエジプトに批判的な報道が相次ぎ,両国は「内政干渉」として反発を強めていた。