放送界の動き

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

    韓国KT,ピョンチャン五輪での5G映像サービス実験成功

    ピョンチャン(平昌)冬季五輪における通信分野の公式パートナーである通信大手KTは3月14日,五輪のテストイベント「Hello PyeongChang」で,「5G」と呼ばれる次世代の通信方式を活用した「4大実感サービス」の実証実験に成功した。このサービスには,ボブスレーやリュージュなどの先端に超小型UHDカメラを取りつけ,時速150キロ近くのスピード感を疑似体験できる「シンク・ビュー(Sync View)」や,クロスカントリースキーのコース各所にUHDカメラを配置し,選手には超小型GPSをつけることで,好きな選手の走りをスタートからゴールまで見ることができる「オムニポイント・ビュー(Omni Point View)」などがある。

    香港,デジタルラジオ放送終了へ

    香港の公共放送RTHKのデジタルラジオ放送について,香港政府は3月28日,「可能な限り早い時期に終了させる」と表明,香港のデジタルラジオはすべてのサービスを終えることになった。香港のデジタルラジオは,新規参入のDBCが2012年に7チャンネルでのサービスを始めたほか,Metro Broadcastが3チャンネル,Phoenix系のU Radioが2チャンネル,公共放送のRTHKも5チャンネルで放送していた。しかし,商業局は経営不振で2016年9月までに相次いで免許を返上,RTHK1社のみでのサービスとなっていた。

    台湾,中国ラジオの2つの周波数帯域回収が確定

    台湾の独立規制機関である国家通信放送委員会(NCC)は3月22日,最高行政法院の結論を受け,大手ラジオ局「中国ラジオ」の台湾全土向け2チャンネルを回収し,早ければ4月初めに中国ラジオの免許取り消しを通知する方針を示した。回収するチャンネルは「音楽網」と「宝島網」で,従来この2チャンネルは中国からの宣伝放送に対抗する目的で認可されていた。しかし,中国との関係の変化で当初の目的を達したとしてNCCは,中国ラジオに対し2009年中の2チャンネル返還を要求,これに対し中国ラジオが長期間抵抗して,最高行政法院に訴えていた。最高行政法院は3月16日,NCCの主張を認めて2チャンネルの回収が確定,この周波数帯域は少数派住民(エスニック・グループ)の「客家」と「原住民」向けのラジオサービスに使用される。

    タイ,公共放送PBS会長が企業投資の問題で辞任

    公共放送Thai PBSのKrisda Rueangareerat会長は3月15日,PBSがタイ最大手の食品企業グループであるジャルーン・ポーカパン・フーズ(Charoen Pokphand Food Plc,CPF)に投資したことで世論を混乱させたとして,辞意を表明した。PBSは2016年12月,財政の健全化を目的にCPFが発行した1億バーツ(約3億2,000万円)以上の債券を購入する決定をした。しかし,中立を旨とする公共放送局が一部の企業に投資するのは問題であるとして,批判を受けていた。

    豪ABC,効率化と資源配分の見直しに着手

    オーストラリアの公共放送ABCは3月7日,理事数などの削減や今後強化する投資内容について発表した。この中でABCのガトリー会長は,官僚的な手続きや業務の重複,過剰な管理によって,急速に変わる視聴者に対応する柔軟性を失っていると述べ,執行部の理事数を14人から8人に減らし,ラジオやテレビなど各部門の管理間接部門の要員数を20%削減するとした。その一方で,今後強化する投資として,新たなコンテンツの創造に5,000万豪ドル(約42億円),地方・地域での制作に1,500万豪ドル(約13億円)を割り当てると述べた。

    Netflix,インドでの受信環境改善へ

    Netflixは3月6日,インド国内でサービスを利用しやすい環境作りのため,大手有料テレビ番組配信事業者や携帯電話会社と提携すると発表した。Netflixは2016年1月にインド市場に参入したが,地元のOTT事業者との競争やブロードバンド環境の不安定さ,現地語のコンテンツ不足などで伸び悩んでいたとされる。Netflixと提携するインドの有料テレビ配信事業者AirtelとVideocon d2hは今後,加入者がWi-Fiなどを用いてNetflixのコンテンツをテレビでも視聴できるようにしていく。またVodafone Indiaの利用者は,Netflixの視聴料を携帯電話利用料と一緒に支払えるようになる。