放送界の動き

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

    香港サウスチャイナ,ネット版を無料化

    香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(以下SCMP)は4月5日から,ネット版の記事の無料提供を開始した。SCMPは香港がイギリス領だった1903年に創刊され,中国指導部の人事情報などで「特ダネ」を取り続けてきた高級紙だが,近年は人権問題などで中国政府に対する「遠慮」が目立つとされる。特に2015年12月,中国の電子商取引大手のアリババ・グループが20.6億香港ドル(約320億円)で買収すると発表してからは,中国による香港のメディアコントロール強化の一環と見なされ,記者の辞職が相次いでいた。今回のネット版無料化について香港のメディア関係者は,広告収入の増加よりも,中国政府に近いとされるアリババオーナーの馬雲氏が中国政府の対外発信の窓口としてSCMPを利用するのが真の目的との見方をしている。

    マレーシア,豪ABC調査報道番組を批判

    オーストラリアの公共放送ABCが3月28日,マレーシアのナジブ首相の献金疑惑を告発する番組を放送したことに対し,マレーシア当局は同月30日,取材にあたったABC記者らを拘束・国外追放したことへの「報復」だと批判した。ABCの調査報道番組『フォー・コーナーズ』は28日,ナジブ首相がサウジアラビア財務省および王族などから,個人口座に巨額の献金を受けていたと報じた。また,マレーシア汚職防止委員会の元副委員長や大手銀行創業者が殺害された事件へのナジブ首相の関与についても言及した。これに対し,カリド・アブバカル警察庁長官は30日,首相はそれらの殺人事件には何ら関係がないと反論,首相に突撃取材を試みて逮捕された記者とカメラマンが,報復のためにこのような報道を行ったと批判した。

    インドネシア,公共放送がDAB+を開始

    インドネシアのラジオ公共放送RRIは3月28日,ヨーロッパのデジタルラジオ方式DABの後継規格となるDAB+方式によるデジタルラジオ放送を開始した。放送事業に対して大きな権限を持つKominfo(通信情報省)によると,新サービスはテレビ放送のように映像を伴う「ビジュアル・ラジオ」で,すでにDAB+を導入しているオーストラリアの技術協力を受け,2013年8月から試験放送を行っていた。DAB+は現在,40か国以上で採用されており,人口が2億5,000万人を超えるインドネシアは世界最大級の市場になる。

    豪ABC,ABU脱退へ

    ABU(アジア太平洋放送連合)事務局は4月18日,オーストラリアの公共放送ABCが,7月に脱退する意向であることを明らかにした。オーストラリア政府は,公共事業支出の圧縮をベースとした歳出削減を図り,ABCの主要財源である政府交付金も2014年度からの5年間で2億5,400万豪ドル(約200億円)削減される計画である。ABUの創設メンバーでもあるABCが脱退を決めた背景には,こうした財源縮小問題があるとみられている。

    印公開の米作品『ザ・ジャングル・ブック』最高興収

    インドで4月8日に封切られた,米ディズニーの新作『ザ・ジャングル・ブック』(実写版)が公開11日目で,2016年にインド国内で上映されたハリウッド作品では最高の興行収入10億7,330万ルピー(約17億6,000万円)を記録した。インドの電子版経済ニュースサイト「ヒンディービジネス・ライン」によると,インドでは英語版,ヒンディー語版,タミル語版,テルグ語版が放送され,興行収入の54%を地域言語版が上げた。

    トルコがロシアのニュースサイトをブロック

    ロシアの国際ニュースネットワーク「スプートニク」のウェブサイトがトルコ通信規制当局(TIB)により4月14日からブロックされ,トルコ国内で見られなくなった。このサイトは,ロシアのプーチン大統領が出演する番組を放送した数時間後からブロックされたが,番組の中でプーチン大統領はトルコの政権への批判的な発言をしており,関連が疑われている。またスプートニク・トルコのトゥラル・ケリモフ編集長がイスタンブールのアタテュルク空港でトルコ入局を禁止された上,ジャーナリストとしての認可を取り消されたと,ロシアのリア・ノーヴォスチ通信が伝えた。