放送界の動き

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

    全米新聞協会,名称から"新聞"をはずす

    前身の団体が1887年設立の全米新聞協会(Newspaper Association of America,NAA)は9月7日,名称から"新聞"をはずし,「ニュースメディア連合(News Media Alliance,NMA)」とすることを明らかにした。多くの人がニュースを入手する媒体が紙からデジタルに移り,加盟する新聞社数も2008年の約2,700から2,000ほどに減っていることなどが理由。今後は紙媒体を持たないメディアも受け入れる。旧NAAの加盟社で,これを報じたNew York Timesは,ニュース自体はオンラインで以前よりも多くの人に読まれるようになっているが,それをいかに収入に結びつけるかが各社の課題だと論じた。

    コミュニティーFM局の数が全米で倍増

    米FCC(連邦通信委員会)によると,全米のコミュニティーFM局は1,500以上あり,2014年以降,その数が倍増したことがわかった。アメリカでは,100ワット以下の低出力FM放送は主に過疎地域や人口密度の低い自治体でしか認められていなかったが,FCCが2013年10月に都市部などにも門戸を広げて放送免許の申請を募り,これまでに750以上の免許が新たに交付された。Pew Research Centerの9月19日の分析記事では,全体の69%が自社を「宗教関連」と分類しているという。全米でコミュニティーFM局が特に多いのはフロリダ,テキサスとカリフォルニアの3州で,それぞれ100以上存在している。

    米ケーブル事業者団体,年次大会を廃止へ

    Comcastなど大手ケーブル事業者で作るNCTA(全米ケーブル電気通信連盟)は9月28日,これまで65年間行ってきた年次大会を廃止することを明らかにした。Cable Showの名称で新製品の展示や商談が行われてきたが,ネットの普及でケーブル事業全体が伸び悩んでいることから廃止が決まった。NCTAでは会の名称に「Internet & Television Association(インターネット・テレビ連盟)」を加え,ケーブルだけにとどまらない事業形態のあり方を検討していくとしている。

    加・規制機関,CBCの広告放送延長申請を却下

    カナダの放送規制監督機関CRTCは8月31日,公共放送CBCから出されていたラジオでの広告放送の実施をさらに2年間延長する申請を却下した。これにより,翌9月1日からCBCは広告放送を出せなくなった。CBCでは2013年から英語放送のRadio 2とフランス語放送のICI Musiqueで,1時間に4分を上限に広告放送を行ってきた。却下の理由についてCRTCは,CBCは広告放送の条件だった「ラジオ事業への十分な投資」を行わなかったためだとしている。これに対しCBCは,CRTCは公共放送の現状を理解しておらず,カナダ国民への十分なサービスができなくなる,との声明を出した。

    ブラジル,広告規制違反でGoogleを提訴へ

    ブラジルの連邦公共省は,動画投稿サイトYouTubeが児童への広告に関する規制に違反しているとして,同サイトを運営するGoogleの現地法人に対し提訴の手続きを開始した。通信社Agência Brasilが9月20日に報じた。ブラジルでは「消費者の判断力の未熟さに乗じた広告を行うこと」は禁止されているが,連邦公共省によると,YouTubeでは児童らが判断力の未熟な他の児童に対し特定の商品を広く推奨しており,これが広告にあたるという。一方,Google側は投稿動画の違法性の有無を判断できる立場にはないとして,裁判所の判断を仰ぎたいとしている。

    アルゼンチン,メディア新法制定へ

    アルゼンチンで放送に関する基本法の「メディア法」を廃止し,放送と通信の両方を網羅した新法を策定する動きが本格化している。2015年12月に発足したマクリ政権は,前政権による大手メディアとの対決姿勢を改め,メディアへの規制の緩和に動いている。2016年4月には有識者らによる新法起草委員会を発足させて草案作りを進めてきたが,これと並行して9月23日,国民から新法に関する意見募集を開始した。意見は,規制機関ENACOMのウェブサイトで11月末まで受け付ける。政府は2017年3月に議会への法案提出を計画している。