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主な調査・研究

2016年度

① 「時代に即した新しい放送・メディアのありよう」

新しい放送・メディア・視聴者

「これからのテレビ」の最新動向に関する研究 【取材・研究】
概要:
2013年にスタートしたシリーズ『「これからのテレビ」を巡る動向を整理する』の調査研究を継続し、『放送研究と調査』に2回にわたり論文を執筆した。各社リリース資料を時系列に整理した基礎資料をベースに、放送事業者やメーカー、OTT事業者等への個別取材等を通じて、放送通信融合時代のテレビや放送を取り巻く動向を可能な限り網羅的に把握した上で全体を俯瞰して論考し、今後の展開を考察した。
研究のポイント:
16年度は、4K・8Kの衛星基幹放送による試験放送が始まり、2018年の実用放送開始に向け、衛星基幹放送業務を担う事業者も認定された。また、放送のネット同時配信に向けた本格的な議論が始まり、新たなライブ配信サービスが次々に台頭した。目まぐるしく動き、複雑化するメディア動向を各種データをもとに分析し、放送通信融合の時代からメディアの構造変化の時代へと向かいつつある環境下でのテレビのこれからを展望した。
成果の公表:
「放送研究と調査」2016年6・12月号
文研フォーラム2017「これからのテレビ」はどこに向かうのか?~存在意義の再定義に向けて~
放送事業者によるニュースライブ配信に関する調査研究 【取材・研究】
概要:
スマートフォンの普及に伴い、様々な事業者が多様な方法でインターネット上にニュースコンテンツを提供するサービスに乗り出す中、放送事業者によるニュースライブ配信サービスに関する調査研究を行った。
研究のポイント:
2つの放送事業者によるライブ配信チャンネルについて、サービスの特徴や課題を明らかにするとともに、若年層ユーザーの獲得の実現性などについて考察した。
成果の公表:
「放送研究と調査」2016年7月号
全国個人視聴率調査 【世論調査】
概要:
NHKと民放のテレビ、ラジオの視聴状況を把握。1971年~。
6月6日(月)~12日(日)と11月14日(月)~20日(日)に各1週間実施。調査相手は全国の7歳以上の男女3,600人。配付回収法による時刻目盛り日記式調査。有効率は6月66.1%、11月65.2%。
結果のポイント:
  • 6月調査では、総合の週間接触者率が前年と同程度だが、民放地上波計は減少。
    総合は夜間の大幅な改定にともない、平日19:30~21:00などで見られ方に変化があった。
  • 11月調査では、総合の週間接触者率はこの20年で最も低い水準。
    一方、BS1はさまざまなスポーツが見られ、週間接触者率が前年から増加した。
調査からわかること:
NHKの番組ごとの視聴率(関東・近畿については民放も含む)、時刻別の視聴率のほか、波別の視聴時間量、接触者率の長期的な変化。男女年層別、職業別の違い、6月は地域ブロック別の結果もわかる。〈ブロック別結果分析の具体例として、17ページ「地域ブロック別 全国個人視聴率調査結果の長期分析」〉
なお「視聴」の定義は自宅内外を問わないが、オンエアでの視聴に限定。
成果の公表:
「全国結果表」の配付、「放送研究と調査」2016年9月号、2017年3月号
全国放送サービス接触動向調査 【世論調査】
概要:
NHKと民放の放送サービス、および放送以外の媒体も含めたコンテンツの接触状況を、1週間の「リーチ」という指標で把握。2007年11月から実施してきた「全国接触者調査」の改定版で、2013年度よりスタート。
2016年は6月6日(月)~12日(日)に実施。調査相手は全国の7歳以上の男女3,600人。配付回収法、1日単位で5分以上視聴・利用したかどうかを記入。有効率は67.4%。
結果のポイント:
NHKのリアルタイム(放送と同時接触)リーチは73.3%、タイムシフト(番組への時差接触)リーチは22.2%、インターネット(デジタルコンテンツサービスへの接触)リーチは5.6%。リアルタイムのリーチが前年より減少。民放のリアルタイムリーチは87.7%、タイムシフトリーチは47.9%、インターネットリーチは10.8%で、いずれも前年と同程度。
調査からわかること:
テレビ・ラジオ、データ放送、録画再生、VOD、ウェブサイト、動画サイト、SNS、インターネットラジオ、ストリーミングなど、放送局が展開する各種サービスのNHK・民放別リーチ。測定項目を「リアルタイム」「タイムシフト」「インターネット」の3つに区分し、3者の組み合わせ別接触割合など。
成果の公表:
「放送研究と調査」2016年10月号
メディア利用動向調査 【世論調査】
概要:
2016年度から年1回の実施に変更した「全国放送サービス接触動向調査」の補完的役割を兼ね、4K・8Kや放送同時配信サービスなど最新メディアサービスの認知や利用意向などを把握。11月17日(木)~12月4日(日)に実施。調査相手は全国の16歳以上の男女2,091人。配付回収法、有効率は59.4%。
結果のポイント:
「4K」という言葉の認知率は72.0%、「8K」は47.1%、「スーパーハイビジョン」は65.6%。4K放送への興味は「興味あり」計27.8%に対し、「興味なし」計が71.8%と多数派。放送のインターネット同時配信の認知率は26.3%、利用意向は「利用したい」計47.5%に対し、「利用したいとは思わない」計が51.7%と拮抗。
調査からわかること:
4K・8Kの認知、利用経験率、知識、関心度。テレビのインターネット接続率、テレビで利用するネットサービス。放送のインターネット同時配信の認知、利用意向。有料動画配信サービス、利用動画サイト、ライブ配信型動画サービス。SNSによるテレビ番組の情報・感想の書き込みについて、など。
成果の公表:
「放送研究と調査」2017年7月号、文研フォーラム2017
民放ローカル局の地域情報発信に関する調査研究 【取材・研究】
概要:
地域情報の発信はローカル局に期待される大きな役割の1つだが、実際にはキー局の番組の放送が優先され、地域性が見えにくくなっている局もある。こうした中、自社制作の地域ドキュメンタリーを映画化して劇場公開したり、地元の素材を生かした自社番組を制作して国内外へ販売する事業を軌道に乗せるなどして注目を集める民放ローカル局を取材、研究した。
研究のポイント:
地域情報の発信に力を入れる3つの民放ローカル局の取り組みを取材することで、東京中心の番組作りから脱却した各局独自の番組作りの実践がテレビ離れが進むといわれるこの時代のテレビの新たな可能性につながることを浮き彫りにした。
成果の公表:
「放送研究と調査」2017年6月号

海外メディアの最新動向

海外メディア最新動向研究(ネット動画サイト) 【取材・研究】
概要:
前年度末の文研フォーラムで報告した内容に新しい情報を加えた形で、アメリカ・イギリス・中国の3か国を中心にその動向を月報で報告した。
結果のポイント:
アメリカではNetflix、Hulu、Amazonの3大OTT事業者に加え、CBS ALL Access、HBO Now、Univision Now、NBC Seesoなどの新規参入も相次ぎ、互いがパートナーでもライバルでもあるという微妙な関係にある。一方イギリスでは、公共放送BBCのiPlayerをはじめ、商業放送ITVのITV Hub、非営利法人が運営するChannel 4のAll 4など、各放送局によるOTTサービスが展開され、基本的には無料視聴で運営されており、アメリカのOTT事業者の参入による直接の脅威をあまり感じていない。このほか中国では、検索大手の百度(Baidu)、電子商取引大手のアリババ(Alibaba)、SNS大手の騰訊(Tencent)がそれぞれ多額の投資を行ってOTT事業子会社を運営しており、BATと呼ばれているが、この3強に対し老舗のOTT事業者の楽視や、湖南ラジオテレビ系の芒果TV(Mango TV)などが挑戦する戦国時代の様相を呈している。
研究からわかること:
OTT事業が主に独立のプラットフォーム事業者によって運営されるアメリカや中国に対し、イギリスではテレビ局が展開する無料視聴のプラットフォームが主軸となっているなど、現状では国によって違う構造を持っていることが分かった。
成果の公表:
「放送研究と調査」2016年6・7・8月号
グローバル化と放送・メディア研究 【web調査・取材・研究】
概要:
日本のコンテンツの海外発信に向けて、総務省や経産省などの政府の関係部門や民間でどのような取り組みが進められているかを取材するとともに、アジアにおけるコンテンツの国際展開について、インドネシア・フィリピン・タイの3か国で行ったウェブ調査の結果を分析し、月報で報告した。
結果のポイント:
「クールジャパン戦略」が推進される中、日本のコンテンツの海外流通は着実に伸長してきている。コンテンツを流通させる上で、「放送枠の確保」「チャンネル立ち上げ」「番組販売」などの方式がとられている。ウェブ調査の結果からは、国によっては字幕も吹き替えもないまま放送が行われているケースがあることも明らかになった。
研究からわかること:
日本のコンテンツが東南アジア等で定着するには、長いスパンで継続的に番組が放送されることが重要であること、吹き替えや字幕の十分な整備が不可欠であること、番組のローカライズをどこまで考えるかが課題であることなどが分かった。
成果の公表:
「放送研究と調査」2017年1月号

次世代を担う子どもとメディアについての研究

“子どもに良い放送”プロジェクト 第1~12回調査のデータ整理
概要:
2002年度から12年にわたる継続調査で得られた膨大なデータを,分析・研究に利用するためのデータ整理を入念に行った。この作業を経て,2017年度以降に外部の研究者と共にさまざまな角度からの分析・研究を行い,それぞれ論文として発表出来るように準備した。
「NHK学校教育サービス利用に関する教師調査」 【調査・研究】
概要:
「デジタル教科書」の導入が進み、「タブレット端末」が家庭でも学校でも学習に活用され始め、メディア機器の利用環境が多様化する中、中学校教師・幼稚園対象の全国調査と、メディア利用の事例の分析を行った。また、2014年度と2015年度に実施した小学校教師・中学校教師に対する全国調査を新たに教師の意識に焦点を当てて分析し、今後求められる教育サービスのあり方について考察した。
調査方法:
中学校:2015年10~12月に全国の中学校から系統抽出した745校の理科担当と社会担当教師1,490名に無記名回答の調査を実施した。有効回答率は71.9%。あわせて、メディアを利用した授業の取材と事例分析を行った。
幼稚園:2015年10~12月に全国の幼稚園から系統抽出した836園の園全体の状況を把握している担当者と若手保育者を対象に、無記名回答の調査を実施した。有効回答率は62.7%。あわせて、メディアを利用した保育の取材と事例分析を行った。
結果のポイント:
中学校では「テレビ受像機」、「パソコン」、「インターネット」などのメディア機器やデジタル教科書の利用が理科を中心に進んでいるが、動画視聴環境は十分でなく電子黒板やタブレット端末の利用あまり進んでいないことや利用する教師の性別・年代による差は大きなものが見られないこと、「NHKのテレビ学校放送番組」と「NHKデジタル教材」のいずれかでも利用した理科教師は55%、社会教師では35%であったなどがわかった。
幼稚園では映像メディアの直接的な活用には慎重な態度がとられているものの、NHKの幼児向け番組には大きな期待が寄せられていることや、若手保育者は新規メディアに期待するところが大きいこと、などがわかった。
研究からわかること:
・教室のメディア環境の整備の様子と使われるメディアの種類、その変遷
・利用される教材の種類・内容
・教師の意識によるメディア利用の差異
成果の公表:
「放送研究と調査」2016年6・7月号、「NHK放送文化研究所年報2017」
幼児視聴率調査 【世論調査】
概要:
就学前の幼児のNHKと民放のテレビ、ラジオの視聴状況を把握。1990年~。
2016年調査は6月6日(月)~12日(日)に1週間実施。調査相手は東京30km圏の2~6歳
(就学前)1,000人。郵送法による時刻目盛り日記式調査。有効率は54.5%。
結果のポイント:
幼児の1日のテレビ視聴時間は1時間40分で、2013年以降緩やかに減少傾向。このうちNHK総計は46分、民放総計は55分で、民放は前年に続き1時間を切った。NHKでは、Eテレの朝7~8時台の番組がよく見られていた。また、1日の録画番組やDVDの再生時間は54分で、前年と同程度。
調査からわかること:
幼児の番組ごとの視聴率、時刻別の視聴率、1日の視聴時間量、接触者率の長期的な変化のほか、録画番組・DVDの再生時間、時刻別の利用率など。
成果の公表:
「放送研究と調査」2016年11月号
幼児と放送事業者による幼児向けアプリに関する調査研究 【取材・研究】
概要:
16年10月にフランス・カンヌで開かれた世界最大級の番組・映像・デジタルコンテンツの見本市を取材し、放送事業者による幼児向けアプリの新潮流について調査研究を行った。
研究のポイント:
見本市の中でも、子供とデジタルコンテンツに関するセッションを中心に取材し、世界の放送事業者による未就学時向けアプリの最新動向を探った。
成果の公表:
「放送研究と調査」2017年1月号

② 「豊かな放送文化の継承・発展」

放送の歴史を継承し、未来に活かす研究

放送文化アーカイブの企画・開発 【アーカイブ活用・研究】
概要:
放送史関連資料や番組制作に関する資料をデジタル・アーカイブ化し、まとめて検索可能にする「放送文化アーカイブ」について、国立情報学研究所との共同研究を継続した。
結果のポイント:
NHKイントラでの運用(2015年11月開始)を継続し、コンテンツ追加や機能改善を行うことで業務利用での利便性向上を図るとともに、研究者向けの公開方法に関する検討を行った。
研究からわかること:
放送史関連資料の知財としての価値や、その活用の可能性が明らかになった。
成果の公表:
NHKイントラで「放送文化アーカイブ」を運用
新たなアプローチで振り返る放送史 【アーカイブ活用・研究】
概要:
ラジオ放送が開始されてから90年を迎えたのにあわせて、これまでの放送史研究のテーマ設定や方法論を再検討し,新たなアプローチで放送の歴史を振り返る研究を行った。
結果のポイント:
放送の地域性を再考する論考や日本のテレビ研究史を振り返る論考を『放送研究と調査』に掲載した。また、戦前の「生態放送」や占領期の放送法成立過程を検証する研究成果を公表した。
研究からわかること:
先行研究にはない視点で、放送の歴史を多角的に解明することができた。
成果の公表:
「放送研究と調査」2016年4・6月号、2017年1・3月号
放送のオーラル・ヒストリー研究 【アーカイブ活用・研究】
概要:
放送の発展に寄与した人々の証言を収集し、文書資料からは浮かび上がってこない放送の歴史に新たな光を当てる「放送のオーラル・ヒストリー研究」を継続した。
結果のポイント:
放送界を支えた女性に焦点を当てるシリーズを開始し、占領下、ラジオで『婦人の時間』を担当したアナウンサーや、テレビの成長期以降、数々の番組を担当した美術デザイナーを取り上げた。
研究からわかること:
証言によって、放送の発展に女性が果たしてきた役割を鮮明に描くことができた。
成果の公表:
「放送研究と調査」2016年4・7月号
放送史関連資料の収集・整理 【アーカイブ活用・研究】
概要:
放送文化研究所が所蔵する資料について目録の整備や劣化対策を継続するとともに、NHK内外で保管されている放送史関連資料の所在の確認を行った。
結果のポイント:
文書資料の劣化対策や写真資料のデジタル化を実施するとともに、過去に放送に携わった関係者が保管する資料の収集を行った。また、所蔵資料について『放送研究と調査』で紹介を行った。
研究からわかること:
放送史に関連した多様な資料のアーカイブ化の可能性・意義が明らかになった。
成果の公表:
「放送研究と調査」2016年5・7・9・11月号、2017年1・3月号
ドキュメンタリー史の研究 【アーカイブ活用・研究】
概要:
NHKアーカイブスに保存されている番組を主な資料に、方法論の構築について大学等の研究者とも連携しつつ、ドキュメンタリー番組の分析を行った。
結果のポイント:
日本初の本格的ラジオドキュメンタリーシリーズであるNHKの『社会探訪』(1947~51年)について、当時の時代状況を踏まえつつ、表現形式の特徴とその展開を考察した論考を公表した。
研究からわかること:
番組アーカイブを活用することによって、番組の特徴や発達過程を克明に描くことができた。
成果の公表:
「NHK放送文化研究所年報告2017」
アーカイブ研究によるテレビ文化考察 【取材・研究】
概要:
番組を大学教育に生かす「番組eテキストシステム」は、3年にわたる国内での実験を経て、関連団体による事業化の計画が進展しつつある。文研では、北米におけるNHK番組の展開状況や、大学側のニーズを調査し、2017年1月から海外における実験を開始した。次年度に視察・研究し事業の方向と課題を探る。
結果のポイント:
事業化については、NHKエンタープライズとNHKエデュケーショナルの連携のもとに計画が進行している。2016年度は海外における取り組みとして、アメリカ・ハーバード大学、プリンストン大学、ダートマス大学、カナダ・トロント大学等での実験授業を設計・実施している。
テレビ制作者研究 【取材・研究・シンポジウム】
概要:
2009年から継続してきた6年間のドキュメンタリー制作者に関する研究成果を統合・編集し、出版という形で集大成し、発表した。
この書籍で紹介した3名のドキュメンタリストを招き、文研フォーラムで公開シンポジウムを開催、制作者の作家性やドキュメンタリーにおけるやらせの問題などを語り合った。
成果の公表:
書籍『テレビ・ドキュメンタリーを創った人々』(NHK出版、2016年12月)
文研フォーラム2017:テレビ・ドキュメンタリーにおける“作家性”とは?
~「制作者研究」からの問い~

これからの放送コンテンツ・サービス研究

連続テレビ小説(通称・朝ドラ)視聴者の動向調査 【Web調査/グループインタビュー調査・研究】
概要:
TV番組の効力衰退が感じられる中、朝ドラが好調を維持しているのはいったいなぜか。
「人々は朝ドラに全盛期のTVの力を求めているのか?」「TVへの希望は、人々がいま朝ドラを求めることに存在するのではないか?」という仮説をもとに、視聴者対象の連続調査で、人々がいま朝ドラに何を求めているのかを探り、その先にTVの果たしてきた役割を改めて考え、TV番組の将来像を探るヒントとする。
調査方法:
Webアンケート:各回年代別性別割り当てで、視聴経験をもとに選出した。
「まれ」2015年9月(調査対象1000人)。「あさが来た」2015年11月(500人)、2016年1月(500人)、4月(1000人)。「とと姉ちゃん」2016年5月(500人)、7月(500人)、10月(1000人)。「べっぴんさん」2016年11月(500人)、2017年1月(500人)4月(1000人)。
グループインタビュー:性・年代・視聴傾向でまとめた5名のグループで自由に発言を求めた。
「まれ」2015年10月東京・大阪(8グループ40名)。「あさが来た」2016年4月東京・大阪(8グループ39名)。「とと姉ちゃん」2016年10月東京(6グループ30名)。
結果のポイント:
最近朝ドラが好調な構造的要因は視聴頻度が高いことで、かつての視聴の広がりにより高視聴率を獲得していたものとは変わってきている。朝ドラが生活習慣になっている人が増えているのだ。このような見方で評価される要素は明るさ、前向きであり、暗い話等は長く続けないなど「朝」にそぐわない過剰な要素を排し、起伏を抑え、1週で起承転結が完結することが好評の要因といえる。朝ドラ視聴が習慣化すると視聴脱落が起きづらくなり、随所で新たなストーリー展開をいれると視聴意欲を回復させることができている。さらに共感・感動の要素が加わるとより高い視聴意欲につながるといえる。
調査からわかること:
・朝ドラ視聴の習慣化とその視聴スタイルに求められる番組の要素
・視聴率を決める視聴の広がりと頻度。その変化
・長丁場の番組の視聴の継続と新規参入。番組スタート時の重要性
成果の公表:
「放送研究と調査」2016年4・9・11月号、2017年3月号
地域放送に関する調査・研究 【web調査・研究】
地域局の効率化が進められる中、限られた経営資源でどのように地域放送サービスを維持していくか。文研ではそうした地域局の課題に、視聴率調査など量的分析と、インタビュー調査など用いた質的分析の両面から、連携して支援を行った。
◇東海地方(名古屋、津、岐阜)夕方ニュース番組視聴者意向調査 【web調査】
概要:
東海地方・3局の夕方ニュース番組の番組改善を調査で支援。
  1. 基礎調査~各県在住の20~60代の男女・約900~1000名のモニターに、各県の地域放送局の放送活動への評価、地域放送番組への評価、夕方時間帯の視聴行動、番組について聞く調査を実施。
  2. 視聴意向調査~三重・岐阜両県(愛知県は実施せず)在住の20~60代の男女・それぞれ約200~300名に、東海地方各局が制作する夕方ニュース番組を視聴してもらい、視聴評価をさぐる調査を実施。
結果のポイント:
  1. 各県の全放送局の中でのNHK地方局のプレゼンス、および各県別の地域情報ニーズ、地域放送番組の見られ方等を把握。
  2. 東海地方各局の夕方ニュース番組への詳細な視聴者反応を把握・分析することで番組改善へとつなげた。
調査からわかること:
・東海地方各県毎のメディア環境、地域情報ニーズ、地域放送番組の視聴実態。
・東海地方各県毎の夕方ニュース番組への視聴者評価とその対策。
地域ブロック別 全国個人視聴率調査結果の長期分析 【世論調査データ分析】
概要:
6月実施の全国個人視聴率調査の地方別結果について20年にわたる長期スパンで分析、「地域別 テレビ・ラジオの見られ方・聴かれ方」という報告書にまとめる。2012年度~。
結果のポイント:
NHK各波計の週間接触者率は、長期にわたり東北や甲信越で高め、近畿で低めに推移。各波に分けた接触者率をみると、関東ではNHKラジオ計が高いなど、地域特有の特徴がみられた。各波の接触の組み合わせパターンをみると、近畿では「複数波の組み合わせ接触」が全国に比べて低かった。
調査からわかること:
テレビ・ラジオの視聴における地域差の有無、構造。各地域の視聴の特徴、長期推移。
安全保障関連法案をテレビはどう伝えたか 【取材・研究】
概要:
2015年9月、安全保障関連法案が可決・成立した。国を2分したこの法案の内容や国会での審議の様子、国民の反応などをテレビがどう伝えてきたのか、NHKと在京民放のニュース番組を記録し、分析・検証した。
結果のポイント:
24時間同録システムを使い、メタデータのキーワードからNHK総合・教育・BS2波と民放地上波キー局6局の2015年5月~9月の安全保障法案関連番組をすべて収集した。そのうち夕方ニュース番組と夜のキャスターニュース13本に焦点を当て分析、そのうち特に節目となる5日に絞り詳しく検討した。
テレビに求められる解説機能を満たすわかりやすく興味を引く演出を取り入れ、各番組が独自の企画、切り口を求める工夫を積み重ねている反面、目を引くためにインパクトのある映像を多用したり、画面が複雑化したりする傾向も見られた。また審議が進むにつれ、事態の総括や議論の検証より目の前の現象を分析することに追われ、議論が拡散し国民の理解が深まらなかったこともあった。
研究からわかること:
・報道量の経時変化、局ごとの変化
・内容・テーマの変遷、描かれ方の局ごとの工夫
・放送が伝えたこと伝えなかったこと
成果の公表:
「放送研究と調査」2016年10月号
障害者スポーツと放送に関する調査・研究 【取材・研究】
概要:
2020年の東京パラリンピックの開催に向け、障害者スポーツへの関心が高まっている。これまで障害者スポーツがどのように放送されてきたかを振り返り、スポーツ振興における放送の役割、その中での障害者スポーツについて考えるとともに、障害者スポーツが従来の福祉施策の一環から共に楽しむものへと変化する中、今後の放送の方向性を調査・検証した。(「文研2020オリンピック・パラリンピック研究プロジェクト」関連)
研究のポイント:
「障害者」と「スポーツ」、それぞれの法制度を検証し、放送の役割と課題を2020年以降も見据えた共生社会実現の観点から研究し、考察した。
成果の公表:
「放送研究と調査」2016年12月号
文研フォーラム2017 シンポジウム「パラリンピックと放送の役割」
リオパラリンピック日英番組分析 【番組分析・研究】
概要:
2016年リオパラリンピックを日本(NHK)とイギリス(channel4)がそれぞれ番組でどのように伝えたのか、「パラリンピックが、オリンピックと同じく『スポーツ』として放送されたかどうか」という観点から、「ルールの説明など関連情報を提供しているのか」「選手自身がどう描かれているか」という2点に注目して番組比較分析を行った。(「文研2020オリンピック・パラリンピック研究プロジェクト」関連)
研究のポイント:
関連情報の説明では、コメントのみに終始したチャンネル4に対し、NHKは、静止画やVTRなど視覚的にわかりやすい工夫を丁寧に行っていた。また、選手の描き方では、NHKが選手のアスリートとしての姿を前面に出していたのに対し、チャンネル4は、障害とスポーツにどのように向き合ってきたのか、選手の人間性に着目していたという違いがみられた。
成果の公表:
文研フォーラム2017 シンポジウム「パラリンピックと放送の役割」

豊かな放送文化とことばの関係

デジタル版「NHK日本語発音アクセント辞典」改訂に向けたデータベース整備
概要:
「NHK日本語発音アクセント辞典」の改訂を受けて,文研の用語データベースの内容も新辞典を反映させたものに全面的に改修し,局内イントラに公開した(2017年3月)。この新しいデータベースにさらに高精度の音声データを付加するための準備作業も同時に進めた。音声収録および登録は29年度に進める。放送現場の支援に役立てるとともに、社会還元としてスマートフォン用アプリへの展開なども図る。
アクセント辞典改訂報告
概要:
2016年5月に改訂発行した『NHK日本語発音アクセント新辞典』について,今回の改訂がどのようなものだったか,辞典そのものがどのように変わったのかなど,改訂作業を通じて明らかになったアクセントの変化やアクセント規則についての知見などを,『放送研究と調査』16年7月号から17年5月号まで全11回にわたって報告した。
放送用語委員会
概要:
本部(東京)4回,地方8回を開催。本部委員会では,『NHK日本語発音アクセント辞典』改訂にあたり,変更した語形について報告し,外部有識者とともに議論や意見交換をして用語の決定を行ったほか,「しゅ」「じゅ」が[シ][ジ]と発音される(拗音の直音化)ことがある問題や,外来語としてのアルファベットの発音などについて,報告や意見交換を行った。地方委員会では,ニュースやリポート,中継などを視聴検討し,わかりやすい放送表現について議論した。
「ことばのゆれ」などの全国調査・研究 【世論調査】
◇「なそうだ・なさそうだ」問題(いわゆる“さ入れ”の問題)について
調査の方法:
平成27年3月に行った「ことばのゆれ調査」。調査員による個別面接聴取法,満20歳以上の男女(全国)4000人に調査。
概要:
「特に問題点は,[a.なそう/b.なさそう]だ。」「部屋の中は,それほど〔a.寒くなそう/b.寒くなさそう〕だ。」「この仕事は,誰も〔a.やらなそう/b.やらなさそう〕だ。」「このドラマは,〔a.つまらなそう/b.つまらなさそう〕だ。」など6つについて、おかしいとおもうかどうかを尋ねた。
調査からわかること:
「問題点は・・・」「寒く・・・」については,「なさそうだ」を支持する人が圧倒的に多く,これは従来指摘されてきた傾向と変わらない。一方で,「やら・・・」「つまら・・・」については,従来指摘されてきた傾向に反して,“非標準的”とされた「やらなさそう」「つまらなさそう」の支持が多数派を占めた。
成果の公表:
「放送研究と調査」2016年9月号
◇「させていただく」問題について
調査の方法:
平成27年3月に行った「ことばのゆれ調査」。調査員による個別面接聴取法,満20歳以上の男女(全国)4000人に調査。
概要:
「禁煙」「差し控え」「休業」「値引き」「営業」「お訴え」「感動」「チョコを渡す」の8つについて,「させていただきます」が続く形とそうでない形のどちらが感じがいいかを尋ねた。
調査からわかること:
現代日本語の「相場」としては,「させていただきます」の使用に関して,「禁煙・差し控え・休業・値引き」は「正用」であるといえる一方で,「営業・お訴え・感動・チョコを渡す」は「誤用」的な色彩が強いものとして位置づけることが可能である。
成果の公表:
「放送研究と調査」2016年9月号
オリンピック放送の「役割語」についての研究 【番組分析・研究】
概要:
リオデジャネイロオリンピック関連のテレビ放送に出た外国人選手インタビューの翻訳テロップを,「役割語」という観点を導入して分析し,ノンフィクションの分野であるオリンピック放送に「役割語」が出現する理由について考察し,『放送研究と調査』17年3月号で,『再考 オリンピック放送の「役割語」~“日本人選手を主人公とした「物語」”という視点から~』とする論考を発表した。(「文研2020オリンピック・パラリンピック研究プロジェクト」関連)
研究の方法:
リオデジャネイロオリンピック期間中の2016年8月5日から23日に放送されたNHK総合テレビおよび民放地上波におけるオリンピック関連のニュースと番組の中で使われた,外国人選手のインタビュー(会見での発言も含む)のうち,翻訳文字テロップが付いているもの全187(778文)について分析した。
研究からわかること:
役割語の使われ方には「話の内容」も関係してくることや,“ライバル”の発話や“感情”を伝える発話では役割語が使われやすいことがわかった。
成果の公表:
「放送研究と調査」2017年3月号

③ 「幅広く“世論”を捉え、社会に還元」

“世論”を捉える多角的な調査

食生活に関する調査 【世論調査】
概要:
現代日本人の食に対する価値観や食生活の実態などを探った。
2月27日(土)~3月6日(日)実施。配付回収法。
調査相手は全国16歳以上の男女3600人。有効率69.0%
結果のポイント:
1日3食が81%。毎日、野菜を食べている人は72%、肉は27%、魚は16%となっている。食生活に満足は84%。毎食1人で食べている人は9%、一人暮らしの60代以上では67%にのぼる。
調査からわかること:
家族とともに食事をする人で満足度が高い。世帯収入が低いほど野菜や肉を食べる頻度が低い。
成果の公表:「放送研究と調査」2016年10・11月号、文研ブログ7月8日、10月28日
「NHKニュース」(2016年7月30日、昼ニュース)
「ガッテン!」(2017年2月1日)
参院選 徳島・高知「合区」に関する調査 【世論調査】
概要:
一票の格差是正のため第24回参院選から徳島県と高知県、島根県と鳥取県の選挙区をそれぞれ統合する「合区」が導入された。これを前に徳島・高知両県民の意識を調査した。松山放送局・徳島放送局・高知放送局と共同で実施。
4月8日(金)~10日(日)実施。電話法(RDD追跡法)。
調査相手は18歳以上、徳島県・高知県で合計2,718人、回答率60.7%。
結果のポイント:
「人口が少ない徳島と高知が合区されるのは仕方ない」という意見に「そう思う」は40%「そう思わない」は42%、「一部の県だけ、県の代表者がいなくなるのは不公平だ」で「そう思う」は72%、「そう思わない」は15%。
調査からわかること:
「合区は仕方ない」に対し、「そう思う」と「そう思わない」はほぼ同じ割合で拮抗。
成果の公表:
「四国羅針盤」(2016年5月13日)
四国管中ニュース、徳島・高知の県内ニュース(2016年5月13日)
憲法に関する意識調査 【世論調査】
概要:
安倍政権下で憲法改正論議が注目される中,5月の憲法記念日に向け国民の意識調査を行った。
社会部と共同で実施。
4月15日(金)~17日(日)実施。電話法(RDD追跡法)。
調査相手は全国18歳以上2,425人 回答率62.8%。
結果のポイント:
憲法改正の必要性は「どちらともいえない」38%,「必要がある」27%,「必要はない」31%で、改正要否は同程度。9条改正の「必要がある」は22%、「必要はない」の40%のほうが多かった。
調査からわかること:
憲法改正の要否は拮抗、9条については改正の「必要がない」が「必要がある」を上回る。
成果の公表:
ニュース7、ニュースウォッチ9、ラジオ・NHKジャーナル、クローズアップ現代+「密着ルポ わたしたちと憲法」(2016年5月2日)
おはよう日本(2016年5月3日)
日曜討論「憲法記念日特集 憲法70年9党代表に問う」(2016年5月3日)
時論公論「公布70年憲法を学ぶために」(2016年11月3日)
「不寛容社会」に関する調査 【世論調査】
概要:
今の日本社会について、満足度や寛容かどうかなど人々の意識や評価を探り、討論形式の「NHKスペシャル」での参考データとした。NHKスペシャル事務局と共同で実施。
5月20日(金)~22日(日)実施。電話法(RDD追跡法)。
調査相手は全国18歳以上の2,811人 回答率61.7%。
結果のポイント:
自分と意見や立場が異なる人を認めるかどうかという多様性の観点から寛容な社会か聞いたところ、「寛容な社会」は44%、「不寛容な社会」は42%で同程度。他人の過ちや欠点を許せるかどうかという許容の観点から寛容な社会か聞いたところ、「不寛容」46%で、「寛容」41%を上回った。
調査からわかること:
多様性、許容、いずれの質問も「不寛容な社会」と答えた人は若年層ほど多い傾向がみられた。
成果の公表:
NHKスペシャル「私たちのこれから #不寛容社会」(2016年6月11日)
NHKスペシャル「私たちのこれから」ホームページ
生前退位に関する調査 【世論調査】
概要:
天皇陛下が「生前退位」の意向がにじむお気持ちを表明されたことを受けて人々の考えを探った。
社会部と共同で実施。
8月26日(金)~28日(日)実施。電話法(RDD追跡法)。
調査相手は全国18歳以上2,729人。回答率60.8%。
結果のポイント:
制度を改正して生前退位を認めたほうがよいか聞いたところ、「認めたほうがよい」は84%、「認めないほうがよい」は5%。「認めたほうがよい」と答えた人に、制度の改正はどのような方法が望ましいか尋ねたところ、「皇室典範を改正して、今後すべての天皇が生前退位できるようにする」が70%、「今の天皇陛下に限って生前退位を認める特別法を作る」が25%だった。
調査からわかること:
多くの人が生前退位を認めたほうがよいと考えていること。
成果の公表:
おはよう日本(2016年9月3日)
参院選後の政治意識・2016調査 【世論調査】
概要:
選挙権年齢引き下げで新たに選挙権を得た18、19歳に注目し、第24回参院選での投票行動や政治意識を調査。18、19歳と全有権者とを比較するため、1)18歳以上対象の配付回収法調査に加え、2)18、19歳対象の郵送法調査、3)18歳以上対象の郵送法調査、の3種類を実施。
方法1)配付回収法
9月10日(土)~19日(月)実施。調査相手は全国18歳以上2,400人。有効率72.2%。
方法2)郵送法
9月1日(木)~10月20日(木)実施。調査相手は全国の18,19歳1200人。有効率54.6%。
方法3)郵送法
9月1日(木)~10月20日(木)実施。調査相手は全国の18歳以上1200人。有効率63.4%。
結果のポイント:
今の国の政治について、「不満だ」と「どちらかといえば不満だ」を合わせて70%、2009年以降では最も少ないが、依然として政治に不満を持つ人が多くを占める。選挙について学校で学んだことは、18、19歳は「国会や選挙制度の仕組み」73%、「選挙の大切さ」47%、「投票の仕方」37%。
調査からわかること:
18,19歳の新有権者は選挙について20歳以上よりも多く学校で学んでいる。新有権者の中でも違いがあり、「選挙の大切さ」や「投票の仕方」などは18歳が19歳より高い。
成果の公表:
「放送研究と調査」2017年2・4月号
東京オリンピック・パラリンピックに関する調査  【世論調査】
概要:
2020年東京オリンピック・パラリンピックについての関心や意識、価値観と、2016年のリオデジャネイロ大会に関する人々のテレビ視聴やメディア利用状況を調べた。(「文研2020オリンピック・パラリンピック研究プロジェクト」関連) 10月8日(土)~16日(日)実施。配付回収法。
調査相手は全国20歳以上3,600人。有効率70.1%。
結果のポイント:
2020年東京大会の開催を評価する人(よい+まあよい)は86%で大多数。関心がある人(大変+まあ)はオリンピックが81%、パラリンピックは64%。2016年リオ大会の放送や映像を「ほぼ毎日見聞きした」人は、オリンピックが49%、パラリンピックが17%。
調査からわかること:
2020東京大会についてはオリンピック・パラリンピックとも関心が高い。リオ大会の視聴については、オリンピックと比べパラリンピックは低くなっている。
成果の公表:
文研フォーラム2017
ISSP国際比較調査「政府の役割」 【世論調査】
概要:
約50の国・地域が加わる国際比較調査。政府が果たすべき役割を人々がどう考えているか調べた。
10月29日(土)~11月6日(日)実施。配付回収法。
調査相手は全国の16歳以上2,400人。有効率67.1%。
結果のポイント:
政府の支出について今より「増やすべき」と「どちらかといえば増やすべき」を合わせて上位だったのは「教育」52%、「保健・医療」50%、「高齢者の年金」41%など。
政府が公共の場所で、防犯カメラを使って人々を監視することが、「(当然+まあ)許される」という人は68%、「(たぶん+絶対に)許されない」の25%を大きく上回った。
調査からわかること:
政府に対する考え方はこの10年でそれほど大きくは変わっていないものの、教育面への期待が高まり、高齢者向けの施策に対して厳しい目が向けられるようになっている。
成果の公表:
「放送研究と調査」2017年5月号、「おはよう日本」2017年4月2日
国への愛着と対外国人意識の関係~ISSP国際比較調査「国への帰属意識」から 【世論調査】
概要:
2013年に実施した調査「国への帰属意識」の結果より、約30の国・地域を比較・分析し、国への愛着と排外的な意識の関係を考察した。
結果のポイント:
日本は「ほかの多くの国々より良い国」と答えた人が86%で比較した国・地域の中で最も多いなど、自国への愛着が強い。一方、定住外国人が「(かなり+すこし)減ったほうがよい」は日本で2割台なのに対し、イギリスでは8割近く、ベルギーやフランスでは7割台を占める。
調査からわかること:
排外意識には、国民である条件をどこまで厳密にみるかという「純化主義」が関係している。
成果の公表:
「放送研究と調査」2017年3月号、文研ブログ3月31日、「中央調査報」(2017年5月)
防災意識に関する愛媛県民調査 【世論調査】
概要:
12月21日に「昭和南海地震」から70年を迎えるのを機に、愛媛県民の災害への備えや防災意識を探るため、NHKと愛媛新聞社が協力して調査。
11月18日(金)~20日(日)に実施。電話法(RDD追跡法)。
調査相手は愛媛県の18歳以上2,559人。回答率60.2%。
結果のポイント:
大地震で最も心配なのは「建物の倒壊」63%、「原発事故による汚染」14%、「津波」11%、「土砂崩れ」8%。災害への備えで行政に期待することは、「食料や水の備蓄」33%、「安全な避難場所の確保」23%、「地域防災計画の策定」11%など。
調査からわかること:
避難する際に近所との助け合いが「期待できない」人が約4割で、高齢化が進む地方で災害時の助け合いをどうするかなどが課題となっている。
成果の公表:
管中ニュース「おはよう愛媛」(12月19日~23日)、管中「ひめポン!」(12月21日)
愛媛新聞 12月19日、21日

時代に即した調査方法の検討

次世代世論調査手法の開発・検討 【調査・研究】
概要:
世論を迅速に把握する手法として、固定電話を対象とした電話調査(RDD追跡法)が用いられてきたが、近年はスマートフォンの普及などで若年層を中心に携帯電話しか持たない人が増えており、調査有効数におけるサンプル構成の偏りが課題となってきた。文研では、2013年度から編成局と共同で、固定電話に加えて携帯電話にも電話をかける調査方法(デュアルフレーム調査)の実験調査を積み重ね、2016年12月に実施した「社会と生活に関する意識・価値観」調査からデュアルフレーム調査を実用化した。
「社会と生活に関する意識・価値観」調査の概要は以下のとおり。
・実施日時  2016年12月16日(金)~18日(日)
・調査項目  社会観や生活意識、メディアへの信頼など
・調査相手  16歳以上の男女3,575人
・調査方法  電話法(固定・携帯RDD)
・回答数(率)1,933人(54.1%)
結果のポイント:
これまでの実験調査から得られた主な知見は以下のとおり。
  • 携帯電話の調査において、車を運転中の人や自宅外にいる人などの受け手に配慮したオペレーションを策定し、トラブルなく調査を行えるようになった
  • 固定電話のみの調査ではとらえられなかった、携帯電話しか持たない人や自宅外にいる人からも回答を得られる
  • 固定電話と携帯電話それぞれの調査の回答傾向がほぼ変わらないこと等から、妥当な調査結果が得られると考えられる
研究からわかること:
デュアルフレーム調査の実用化により、これまでの固定電話のみを対象とした調査に比べて、若年層などからも多くの回答を得ることが可能となった。調査有効数におけるサンプル構成が是正され、全国電話世論調査の精度の向上や信頼性の確保に資するものと考えられる。
成果の公表:
「放送研究と調査」2017年5月号
郵送とwebによる回答を組み合わせるMixモード調査の研究 【調査・研究】
概要:
個人情報に対する意識の高まりやオートロックマンションの増加などに伴い、世論調査を実施する環境の困難化が進んでいる。従来の世論調査手法である個人面接法や配付回収法での有効率は長期的に低下しており、特に若年層における有効率の確保が課題となっている。こうした状況に対応するとともに、従来の世論調査手法に代わりうる回答回収方法の確立を目指し、Mixモード手法(ランダムサンプリングにより抽出した調査相手に郵送で協力依頼し、WEBと郵送による回答回収を併用する手法)の実験調査を行った(「参院選後の政治意識・2016」調査に並行して実施)。
実験調査の概要は以下のとおり。
・実施日時 2016年9月1日(木)~30日(金)
・調査項目 参院選での投票行動など
※「参院選後の政治意識・2016」調査と同時期、同内容で実施
・調査相手 18歳以上の男女1,200人
・調査方法 郵送とWEBの併用
結果のポイント:
実験調査から得られた主な知見は以下のとおり。
  • 有効率が43.5%と半数に届かず、郵送法で行われた「参院選後の政治意識・2016」調査
    (有効率63.4%)と比べても低かった
  • 回答者の構成比からみて、大都市圏の居住者や女性30~40代にとってはWEBは親和性の高い回答ツールである可能性がある
  • 同じ質問でもWEBと郵送で回答傾向に違いがみられるものがあるが、これは回答者の年齢構成比の違いによるものである可能性が高く、回答ツールの違いによる影響は少ないと考えられる
研究からわかること:
Mixモード手法の実用化に向けては、今後の実験調査において以下のような課題の検討が必要である。
  • 有効率の向上のためには、いかにWEBによる回答率を上げるかがポイントとなるため、WEB回答へのモチベーションを上げるさらなる工夫を検討する
  • WEB回答と郵送回答の分析から回答ツールの違いによる影響のさらなる検証を行う
  • Mixモード手法に適した調査テーマや調査対象を見極め、この調査手法を適用する基準や条件を検討する
多メディア利用を総体的に測定する新方式開発のための調査・研究 【研究・調査】
概要:
デジタル化の進展に伴い、現行の「全国個人視聴率調査」や「放送サービス接触動向調査」の次世代方式として、リアルタイム視聴・タイムシフト視聴・インターネット接触など、さまざまなメディア接触を総体的に測定する新たな調査方式の研究・開発。
研究のポイント:
現行調査の課題を整理し、多様なメディア利用を総体的に測定するために必要な要件や、代表性のあるサンプルでの実施方式を検討。一方で、最新の国内の視聴率調査に関する情報を収集。事例研究としてイギリス・BBCの視聴者調査の概要も取材。以上をもとに、年度末に新方式開発企画案とロードマップを策定した。
成果の公表:
文研フォーラム2017

④ 「公共放送・メディアの役割」

新しい時代の公共メディアサービスと、ジャーナリズム

海外公共放送最新動向研究(BBCのEU離脱国民投票報道) 【取材・研究】
概要:
2016年6月に行われたイギリスのEU離脱に関する国民投票を、公共放送のBBCはどのように伝えたかについて、現地調査を通じて把握し、月報で報告、文研フォーラムにも展開した。
結果のポイント:
イギリスの新聞が「残留」もしくは「離脱」のどちらを支持するか明確に打ち出して議論を展開したのに対し、BBCはあくまでそれぞれの主張を公平に伝えるとの立場を堅持し、報道職員全員を対象にEUについてのオンライン研修を義務付けた。また、世論調査や出口調査は実施しなかった。
研究からわかること:
BBCは公平性の維持のためストイックな態度を貫いたが、一方で、国民投票報道ガイドラインには「ストップウォッチに頼らない」ことも明記してあり、形式的な公平性だけで満足せず、実質的な公平性を志向していることが分かった。
成果の公表:
「放送研究と調査」2016年10月号
海外公共放送最新動向研究(BBCの視聴者対応) 【取材・研究】
概要:
BBCが視聴者からの苦情とそれに対する回答を放送している毎週金曜夜の番組『Newswatch』について、番組担当者へのヒアリングも実施してその概況を月報で紹介した。
結果のポイント:
番組が始まったのは、イラク戦争をめぐるBBCの報道に、時のブレア首相が反発して訂正を求めた事案がきっかけで、BBCは同時に3段階の苦情システムの再整理を行った。
研究からわかること:
BBCは視聴者への説明責任を果たすため、主な苦情の内容について紹介するとともに、報道責任者が番組に出演して説明を行っているが、視聴者の納得を得るため、番組キャスターにはあえて視聴者を代弁してBBCの担当者を厳しく追及する役割を担わせていることが分かった。
成果の公表:
「放送研究と調査」2017年2月号
海外公共放送最新動向研究(台湾新政権の公共放送充実政策) 【取材・研究】
概要:
台湾の蔡英文民進党政権は、2016年5月に発足後、国民党の前政権とは違って公共放送の充実に力を入れている。公共放送グループの中核をなす公共テレビ(PTS)に対し4K推進のための特別予算を計上したり、公共テレビの理事候補にメディア出身者や女性を多くリストアップしたりしている。その現状について現地調査をもとに月報で報告、文研フォーラムにも展開した。
結果のポイント:
公共テレビの現在の財源は政府交付金が年間9億元(約33億円)にとどまっているが、公共テレビよりも先発の商業局が反対するため、交付金の増額は容易でない。また公共放送グループに官営の中央ラジオ(国際放送)を組み込むなどしてグループ全体を拡大する案もあるが、中央ラジオの規模が大きくて融合に時間がかかるなどの問題があり、グループ拡大も一筋縄ではいかない。
研究からわかること:
台湾では最初の商業テレビ局の開設が1962年なのに対し、公共テレビの開局は1998年とかなり遅く、商業局がテレビ市場を先におさえてしまい、テレビの視聴者が商業放送を視聴する習慣が身についていることから、後発の公共放送が拡大するには非常に困難な道のりが待っていることが分かった。
成果の公表:
「放送研究と調査」2017年3月号
BPO放送倫理検証委員会に関する研究 【取材・研究】
概要:
放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が設立されてから、2017年5月で10年が経つのを機に、検証委員会の10年の歴史を振り返る調査研究を行った。
研究のポイント:
検証委員会が出した25の委員会決定を中心に検証委の公開資料を分析し、委員会の倫理判断をたどることで放送界に横たわる構造的な課題を浮き彫りにするとともに、委員会の調査役を務めた経験者の目を通して具体的な活動の実相を見つめ、検証委員会の10年を重層的・立体的に捉えた。
成果の公表:
「放送研究と調査」2017年5月号

災害情報の伝達・防災への取り組み

減災に寄与する情報伝達,報道の在り方に関する調査・研究 【取材・研究】
概要:
近年、豪雨が多発し、川の水が堤防を乗り越えることで起きる「越水破堤」の危険性が増す中で、国土交通省は2015年、越水しても決壊しにくい構造に堤防を補強し、越水から決壊までのタイムラグを引き延ばす対策の導入を決めた。これを受けて、越水破堤のタイムラグに関する取材・研究を行った。
研究のポイント:
過去の事例研究をもとに、越水破堤のタイムラグは具体的にどの程度あるのか、過去の大水害で生かされていたのかを検証し、タイムラグを生かす情報の課題を探った。
成果の公表:
「放送研究と調査」2017年1月号
8Kスーパーハイビジョンの防災活用に関する調査研究 【取材・研究】
概要:
4月の熊本地震では、上空から撮影した8K映像によって、地震後の調査では発見できなかった活断層による亀裂が発見されるなど、従来のハイビジョンの16倍という超高精細映像の防災面での活用の可能性が広がっている。こうした8Kスーパーハイビジョンの防災活用に関する調査研究を行った。
研究のポイント:
8K映像のどのような特徴が熊本地震での活断層による亀裂の発見に貢献したのか、リモートセンシングや地理空間情報、災害研究の側面から分析し、8K防災活用の有効性と可能性を明らかにした。
成果の公表:
「放送研究と調査」2017年1月号、サイエンスZERO「防災から医療まで活用!8Kスーパーハイビジョン」(4月16日放送)
8Kスーパーハイビジョン試験放送番組「超高精細映像で災害に立ち向かう」
東日本大震災をテレビはどう伝えたか 【取材・研究】
概要:
2016年3月11日で東日本大震災から5年が経過した。この5年間に、テレビが未曽有の災害をどう伝えてきたのか、夜のキャスターニュースとドキュメンタリー番組についてNHKと民放あわせて分析し、災害関連放送のあり方を検証した。
結果のポイント:
24時間同録システムを使い、メタデータのキーワードからNHK総合・教育・BS2波と在京民放地上波キー局6局の震災関連番組をすべて収集し、分析した。夜のキャスターニュースについては報道時間量や頻出キーワードの変遷を検証し、報道が3月に集中することや報道内容については、震災関連のキーワードはあまり変化がないが、原発関連では放射能汚染に関する内容が減り、再稼動の問題が増え、エネルギー問題や原発政策がほぼ見られなくなったことがわかった。
ドキュメンタリー番組については、放送時間量や描かれ方の推移を追い3年目以降の民放ドキュメンタリーが激減したことや復興を扱うドキュメンタリーで明るい側面が描かれることが増えたが、原発関連では厳しい状況が続くことなどを明らかにした。また多く描かれた石巻市と南相馬市のそれぞれを主舞台とする番組について事例研究し、被災地の代表として描かれる石巻市では、遺族を描き、復活や再建を願うコメントが目立つが、南相馬市ではふるさとのへの帰還をめぐる葛藤が多く描かれることなど描かれ方の違いを明らかにした。
研究からわかること:
・報道・番組放送量の経時変化、局ごとの変化
・内容・テーマの変遷、描かれ方の変化
・放送が伝えたこと伝えなかったこと
成果の公表:
NHK放送文化研究所年報2017「東日本大震災から5年 テレビ番組は何を伝えてきたか
―夜のキャスターニュースとドキュメンタリー番組―」

⑤ 「多面的・効果的な成果展開と、より一層の専門性の追求」

発信力強化と外部ネットワーク構築に向けた取り組み

「文研フォーラム」の開催
概要:
3月1日(水)~3日(金)の3日間、千代田放送会館で、「「NHK文研フォーラム2017 ~いま考える メディアのちから、メディアの役割~」を開催した。今回は、オリンピック・パラリンピック、それに、米大統領選をめぐるメディア事情、イギリスのEU国民投票についての報道の検証など、グローバルなプログラムが展開された。このうちパラリンピックシンポジウムでは、初めて手話通訳を入れたほか、車いすエリアも広く設けるなどの対応をした。また、例年応募が殺到するプログラムでは、昨年好評だったサテライト会場を今年も設け、極力多くの来場者を受け入れた。
文研ブログやツィッターによる事前告知も積極的に行った結果、3日間の延べ来場数は1,436人で、前年、前々年を上回った。3日間を通した来場者アンケートでは、およそ5割が「とてもよかった」、4割が「よかった」と高い満足度だった。
実施結果:
のべ参加者数 1,436人 (3/1 212人、3/2 686人、3/3 538人)
プログラム:(敬称略・肩書きは2017年3月時点)
<3月1日(水)13:30~16:45>
A 「東京2020オリンピック・パラリンピックへ」 (参加者 212人)
  1. 13:30~文研世論調査で探る東京2020への期待と意識
    報告:鶴島瑞穂(世論調査部上級研究員)
  2. 14:15~【シンポジウム】パラリンピックと放送の役割
    基調講演・パネリスト:師岡文男(上智大学教授)、
    パネリスト:マーティン・ベイカー(英チャンネル4)、伊藤智也(パラリンピアン)、
    樋口昌之(2020東京実施本部副本部長)、報告:渡辺誓司(計画管理部主任研究員)、
    司会:山田 潔(メディア研究部研究主幹)

<3月2日(木)10:00~16:50>
  1. B 10:00~米ラジオ・オンデマンド時代の到来か?(参加者 159人)
    報告:柴田 厚(メディア研究部上級研究員)
  2. C 10:45~米大統領選にみるテレビメディアの変容 (参加者 167人)
    ゲスト:ポール・ファーヒ(米ワシントンポスト紙記者)、
    報告・聞き手:藤戸あや(メディア研究部上級研究員)
  3. D 13:30~NHK全国個人視聴率調査の将来像 (参加者 176人)
    報告:中野佐知子(NHK放送文化研究所 世論調査部副部長)
  4. E 14:20~【シンポジウム】テレビ・ドキュメンタリーにおける“作家性”とは?(参加者 184人)
    ゲスト:田原総一朗(ジャーナリスト)、今野 勉(テレビ演出家・脚本家)、
    相田 洋(元NHKディレクター)、
    コメンテーター:伊藤 守(早稲田大学教授)、
    報告・聞き手:七沢 潔(メディア研究部上級研究員)、
    司会:原由美子(メディア研究部研究主幹)

<3月3日(金)10:00~15:20>
  1. F 10:00~台湾新政権のメディア政策 (参加者 79人) 報告:山田賢一(メディア研究部副部長)
  2. G 10:45~BBCのEU国民投票報道で考える「報道の公平性」 (参加者 128人)
    ゲスト:スー・イングリッシュ(元BBC政治番組総責任者)、
    報告:広塚洋子(メディア研究部)、
    報告・司会:田中孝宜(メディア研究部上級研究員)
  3. H 13:30~「これからのテレビ」はどこに向かうのか? (参加者 331人)
    ゲスト:吉田眞人(総務省大臣官房審議官〈放送行政担当〉)、
    報告:保髙隆之(世論調査部研究員)、
    報告・聞き手:村上圭子(メディア研究部主任研究員)
なお後日、フォーラムに参加できなかった職員向けに、一部のプログラムの内容を再構成して報告する会を開催した(「フォーラムIN渋谷」)。
デジタル発信の強化
概要:
昨年度リニューアルした「文研公開ホームページ」をベースに、引き続き発信力強化に取り組んだ。リニューアルと同時にスタートさせたブログには、月報など刊行物情報に加え、文研フォーラムのプログラムや博物館の企画展示の紹介など内容・タイミングを意識した内容を盛り込み、2016年度には53本発信、3月はひと月のアクセス数が25,000を超えた。またツィッター(2016年度は142本発信)も、フォロワー数を着実に増やすなど、文研の成果展開の新たな普及手段として定着した。
さらに、論文検索の利便性をより高めるため、公開HPからの検索システムの改善にも取り組み、こうした新たな取り組みの成果が相まって、公開ホームページへの年間訪問者数、ページビュー数の着実な増加につながった。
放送文化セミナーの開催
概要:
地域の視聴者を対象にNHKの地域放送局が行う「放送文化セミナー」に、文研の研究員が出向いて講師を務める取り組みを継続した。2016年度は松山,さいたま,千葉,甲府,松江,宇都宮,金沢局の7局で「デジタル時代の学校教育とメディアを考える」等のテーマで開催した。
放送博物館の活用・成果展開(企画展開催、愛宕山8Kシアター)
概要:
2016年1月のリニューアルで拡張した放送博物館の展示室を活用して、NHKの放送の歩みを紹介する企画展を開催した。
・「大河ドラマ“蔵出し”ポスター」展(2017年1~2月)
・特別展「東日本大震災 伝え続けるために」(2017年3~9月)
企画展の開催により、所蔵資料の活用方策や、NHKの関連部局と連携した展開の可能性が明らかになった。
また、リニューアルに伴い新設した「愛宕山8Kシアター」では、4K・8Kの試験放送の公開を随時行った。
放送文化研究委員会
概要:
放送文化に関する研究調査の充実を図るため、幅広い分野で活躍している方々を放送文化研究委員(文研委員)に委嘱し、文研の活動について助言をいただいている。2016年度は上期下期の二回委員会を開催。このうち下期委員会では、委員を講師とした勉強会(放送法について)を開催するなど、所員と委員の交流の機会を増やした。

刊行物による発信

放送文化研究所では、 2016年度に以下の刊行物を発行した。
「放送研究と調査」(毎月1日発行)
日常の研究・調査の成果を継続的に公表する場として、毎号、複数の論考とともに、国内外のメディアの最新動向やことばに関するコラムなどを掲載。
「NHK放送文化研究所年報 2017」(2017年1月発行)
長期的な研究や共同研究を体系的・総括的に取り上げた論考を掲載する年刊誌で、文研設立70年の節目にあたる2016年度は、これまでの研究成果の集大成(「NHK世論調査における調査方法論研究の系譜」)や、メタデータを駆使した番組分析(「東日本大震災から5年 テレビ番組は何を伝えてきたのか」)など、これまでの研究成果の蓄積から、新たな調査手法の活用まで、幅広い研究成果を取り上げた。
「NHK年鑑2016」(2016年11月発行)
2015年度のNHKおよび放送界の動向について、主な事項・統計・放送日誌などをまとめた。メディア史の研究をはじめ、さまざまな調査・研究の基礎となる貴重な記録となった。
「データブック世界の放送2017」(2017年2月発行)
1953年初刊の「データブック世界の放送」の2017年版を執筆・編集・刊行した。世界66の国と地域について、「概況」「最新動向」「放送制度」「地上デジタルテレビ」「テレビ」「公共放送」「衛星・ケーブル」「HDTV」「ラジオ」「国際放送」「融合サービス」の共通テーマで調査し、最新動向を報告、2017年2月25日に刊行した。
「テレビ・ドキュメンタリーを創った人々」(2016年12月発行)
2009年から2015年まで「放送研究と調査」誌上に掲載した「テレビ制作者研究」の論文をまとめ、書籍化した。テレビの草創期に活躍した制作者からテレビ的な表現が追求された1970年代に活躍した制作者、今もなお現役で制作を続ける巨匠まで、NHK・民放あわせて18人の創り手の足跡を追い、彼らの表現、制作手法、時代と向き合う姿勢を記録、テレビの歴史を新たな視点から振り返った。

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NHK放送文化研究所 計画管理部計画グループ