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放送博物館 2017年03月03日 (金)

#68 NHK放送博物館 特別展「東日本大震災 伝え続けるために」

メディア研究部(メディア動向) 入江さやか
メディア研究部(メディア史研究) 東山一郎

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2011年3月11日 午後2時46分。
「あの日、あの時」からまもなく6年がたとうとしています。みなさんの心の中ではどのように記憶されているでしょうか。

NHKは地震発生から総力を挙げて災害報道にあたり、今も被災した方々と被災地の姿を見つめ、伝え続けています。今回、災害報道に関する資料の展示という形で東日本大震災を振り返ります。NHK放送博物館では、3月7日(火)から9月10日(日)までの半年間、特別展「東日本大震災 伝え続けるために」を開催します

NHKは昨年、各地の放送局や職員が保管していた東日本大震災に関する資料を収集しました。震災から5年が経過し、散逸するおそれがあったためです。取材ノートや被災地の「前線」での引き継ぎメモなどの資料には、記者やカメラマンをはじめ、あのとき被災した地域に入った者だからこそ、見て、聞いて、感じたことが刻み込まれています。これらは未曾有の大災害を伝える貴重な「記録」であり、伝え続けていくべき大切な「記憶」でもあります。
これらの資料に、当時の映像や写真、そしてこの6年、震災を伝え続けている番組の資料などを加えて今回の特別展を構成しました。記者やカメラマンたちは、何を感じ、何を考えたのか。取材ノートや写真には、甚大な被害を前にした戸惑いや葛藤など取材者たちがつづった手記を添えています。
仙台放送局の「被災地からの声」は、発災まもない時期から継続的に被災者の肉声を伝え続けている番組です。被災した方々が自筆でスケッチブックにメッセージを書き、テレビカメラに向かって思いのたけを語ります。被災した方々の思いが込められた、このスケッチブックもご紹介します。
亡くなった方に寄せる家族のメッセージを思い出の写真とともに伝える「こころフォト」からは、失われた一人一人の命の尊さと、残された方々が震災後の日々をどのように生きようとしているのかがうかがわれ、胸に迫ります。

特別展の準備で数々の資料に目を通す中で、私たちは「あの日、あの時」を忘れてはいけない、そしていつかまた来る大災害に備えなければならないと強く感じました。この展示が、東日本大震災の記憶を風化させず、いまだ傷跡深い被災地に思いを寄せていただく一助になればと思います。

今回の特別展は、9月10日(日)までの半年間に及びます。ぜひ、愛宕山のNHK放送博物館に足をお運びください。


NHK放送博物館

休館日 :月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合は火曜日休館)、年末年始
入場料 :無料
開館時間:午前9時30分~午後4時30分
所在地 :〒105-0002 東京都港区愛宕2-1-1  
TEL  : 03-5400-6900

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(ホームページはこちら)