文研ブログ

文研フォーラム 2022年02月22日 (火)

#372 テレビのジェンダーバランス ~3月4日の文研フォーラムでテレビの現状を報告し、その意味するところを考えます

メディア研究部(海外メディア) 青木紀美子


皆さんはテレビの放送に登場する人物で一番多いのはどの年代だと思いますか?

私たちが行ったテレビ番組に登場する人物の男女比を調べるトライアル調査では30代が最も多く、次が40代でした。

これはテレビ番組の放送日時や内容、登場人物などを記録したデータ、メタデータを使い、2021年6月の1週間、NHK総合と教育、民放の在京キー局のあわせて7チャンネルの早朝から深夜に放送された番組(ドラマ、映画、再放送は除く)の登場人物の性別や年代などを調べたものです。

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では女性と男性に分けてみると、どうでしょうか。こちらは登場人物のうち、男性を年代別にみたグラフです。40代が最も多くなっています。

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一方、女性の登場人物を年代別にみると、20代が最も多いことがわかりました。

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それでは女性、男性の登場人物の数を年代別に比べてみると?

20代では女性が男性よりも多いけれども、30代以降では逆転して男性の方が多くなります。それも40代、50代では実に3倍以上と、かなりの差が開くことがわかりました。これはある1週間の限られた情報に基づくものですが、大きな傾向をつかむ手がかりにはなると考えています。

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ちなみに日本の総人口を男女別、年代別にグラフに表すと以下のようになります。日本社会の現実と、テレビの放送が映し出す世界と、2つの間にはかなりの違いがあるようです。

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この違いは何を意味するのでしょうか。

文研フォーラム、3月4日、午前10時半からのプログラムEでは、どんな番組ジャンルや話題で、また、どんな職業分野や肩書で、女性、男性の登場の仕方が違うのか、より詳しい調査の結果を報告します。そして、この差をどう見たらよいのか、2人のゲストに話を伺います。

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メディア文化論、フェミニズム研究が専門で大妻女子大学文学部教授の田中東子さん、メディア論を中心に政治経済、社会問題、文化現象まで幅広く論じている社会調査支援機構チキラボ代表の荻上チキさんです。

前回のブログでは「メディアは社会の多様性を反映しているか?」という問いかけが、世界の潮流にもなりつつあることに触れました。その中で、全米公共ラジオNPRが、幅広いメディアが活用できる多様な取材対象のデータベースを作成して公開していることを取り上げました。今回の文研フォーラムでは、そのNPRのダイバーシティー推進責任者のキース・ウッズさんの話も紹介します。

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2021年11月に実施したテレビの女性や男性、多様なジェンダーの取り上げ方をどう見るか、視聴者に聞くアンケート調査の自由記述に寄せられた意見も詳しくお伝えする予定です。テレビのジェンダーバランスの今とこれからを考える機会にできればと考えています。ぜひご参加ください。


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