文研ブログ

文研フォーラム 2022年02月17日 (木)

#370 "予定調和"ではない議論をご期待ください! ~3月4日・文研フォーラム 放送業界に"捲土重来"はあるか? 改革の突破口を探る

メディア研究部(メディア動向) 村上圭子


 文研フォーラム、3月4日、16時からのプログラムGでは、放送メディアの将来を考えるシンポジウムを行います。非常にユニークな6人の方にご登壇いただくことになりましたので、少し詳しくご紹介しておきます。

 まず、放送業界から3人の方にご登壇いただきます。3人に共通しているのは、①組織に所属しながらも忖度せずに自分の言葉で語る力があること、②これまでの仕事のやりかたや組織の振る舞いから“はみだす”勇気があること、③中間管理職として、若手育成や経営改革にも向き合おうとしていること、④“世代交代”を意識していること(3人とも私より若い!)です。

220217-1.png 北海道テレビの阿久津友紀さんは、現在、デジタル部門でご活躍中。ドキュメンタリストとして、自身の乳がん体験を題材とした番組として制作し、数々の賞を受賞した経験もお持ちです。デジタルメディアの運営の中では、「病気をしてもいきいきと働き、生きるためのコミュニティ」作りに奔走されていて、活発な姿は多くの人たちに勇気を与えています。


220217-2.png 伊藤隆行さんは、テレビバラエティの制作に携わる人にとっては、「伊藤P」でおなじみ。テレビ東京で「池の水ぜんぶ抜く大作戦」「モヤモヤさまーず」などヒット作を作るだけでなく、クリエイティブビジネス制作チームの部長として、社内の組織と組織、社外をつなぐ100を超えるプロジェクトを手掛けられています。バラエティ番組を通じて社会課題にいかに接近できるかという姿勢には、元報道番組のディレクターである私はいつも大きな刺激を受けています。


220217-3.png 葛城毅さんは、去年夏に富山局長になったばかり。NHKで若手に地域局長を任せるという人事改革を行ったのですがその一人です。2003年にNHKに入局したのでまだ40代半ばで、富山局の管理職は、ご本人によると自分より年上ばかり。かなりシビアな環境だということは想像に難くないですが、若手の職員と共に地域に出て、これまでのNHKに囚われないチャレンジをしていると聞いています。世代交代改革の実態を聞いてみたいです。

 今回は演出にも新たなチャレンジをしたいと思っています。放送業界の中だけで、こんな取り組みをしている、こんな課題に悩んでいるという議論だけでは、どうしても広がりに欠けてしまいがちです。業界の内向きの議論ではなく、社会・視聴者との開かれた対話で初めて改革の突破口が見えてくるのではないか。それを実際にシンポでやってみよう、それが、今回考えたコンセプトです。そのため、放送の専門家ではない多様な立場の方々に、様々な角度からコメントしていただいたり質問をぶつけていただいたりしたいと思っています。


220217-4.png 早稲田大学1年生、現在19歳の小澤杏子さん。小澤さんは高校生の時にユーグレナが募集したCFO(チーフ・フューチャー・オフィサー)を務め、今は大学生活とマルイの新任アドバイザーの二足の草鞋で頑張っています。SDGsに対する社会活動やZ世代としてのメディア接触から見えている既存メディアの姿はどのようなものなのか、今後、放送メディアに期待することは何か、など、ざっくばらんに伺ってみたいです。


220217-5.png ヨコグシスト®という肩書の伊能美和子さん。この肩書は、伊能さんご自身が作られたものです。伊能さんは、NTTグループという大組織で次々と新しい事業を立ち上げ、現在は数々の組織や大学に関わり、異業種をつなぎながら社会にポジティブなイノベーションを起こしていく、そんな生き方をしていらっしゃいます。大組織で社員が改革を起こすことの難しさと突破の秘訣、旧態依然とした組織でどうしたら腐らずしなやかに時代に向き合えるのか、利害が衝突しがちな競争関係にある事業者同士が連携していくための秘訣は何か、など、いろんなアドバイスがうかがえそうです。


220217-6.png 慶應義塾大学の山本龍彦さん。憲法学者としてデジタル時代の民主主義について積極的なご発言をされている山本さんは、いま総務省で行われている「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」の構成員も務められています。ネットの情報環境を巡る様々な課題がある中、これまで信頼を培ってきた放送メディアの役割はこれまで以上に高まっている、ということを述べていらっしゃいます。では民放はそれをどうマネタイズしていくのか、NHKであればテレビを見ない人にもどう受信料を支払ってもらえるのか、理念と事業の両立はなかなか厳しい状況になっている中、現場の取り組みをお聞きいただきどんなメッセージをいただけるか、いまからとても楽しみです。

 どんな議論になるのか、モデレーターを務める私にも全く想像つきませんが、予定調和を排した活発なディスカッションベースのシンポを目指したいと思っています。参加してくださる皆さんにもチャットで参加していただける、多様な意見が交わる空間を作っていければと思っています。金曜日の夕方という忙しい時間ではありますが、是非ご参加ください。申し込み“絶賛受付中”です。 
 


文研フォーラムの詳細・申し込みはこちら↓↓をクリック
forum2022.jpg