文研ブログ

文研フォーラム 2019年02月18日 (月)

#171 文研フォーラム「検証<100パーセント>朝ドラ!!~視聴者と歩む 過去・現在・未来~」

メディア研究部(番組研究) 吉川 邦夫

 今年の4月からスタートする『なつぞら』で、朝の「連続テレビ小説」(通称:朝ドラ)はついに100作目を迎えます。その長い歴史の間には数多くの話題作があり、「朝ドラ」の存在は広く認知されていますが、決して常に順風満帆だったわけではありません。平均視聴率52.6%を記録した『おしん』(1983年)を頂点として、その後、朝ドラの視聴率は少しずつ下がっていきました。

しかし、テレビドラマ全体の平均視聴率が下がっているこの10年間、朝ドラの視聴率は再びじりじりと上昇し、ここ3年間は平均20%を超え続ける劇的な復活を遂げました。テレビれい明期から58年間続いている日本最長のドラマシリーズに、今一体何が起きているのでしょうか。

放送文化研究所では、2013年に『あまちゃん』のヒットを受けて視聴者調査を行いました。さらに朝ドラシリーズそのものの復活の兆しを追って、2015年上半期『まれ』から今期の『まんぷく』まで、8作連続で作品毎に調査を行い、朝ドラの見られ方について分析を重ねてきました。個別の結果は『放送研究と調査』などですでに発表していますが、今回の文研フォーラムでは、調査分析の集大成となるシンポジウムを行います。

過去の朝ドラはどのような視聴者に、どのような理由で受容されてきたのでしょうか。今の朝ドラは視聴者にとって、どのような存在になっているのでしょうか。そして、視聴者はこれからの朝ドラに何を求めていくのでしょうか。調査報告とパネルディスカッションを通して考えていきます。

021901.jpg登壇するのは、社会学的な見地からドラマ研究を続ける法政大学教授の藤田真文さん、女性の教養文化史の視点から朝ドラの女性表象を研究対象としている京都大学教授の稲垣恭子さん、ネット社会の最新事例研究の分野から朝ドラの成功に関心を持つ関西学院大学准教授の鈴木謙介さん、昨年『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』を出版したコラムニストの矢部万紀子さん、NHKからは『てるてる家族』など朝ドラ5作品を手掛けた元ドラマ番組部長で現札幌局長の若泉久朗。5人のパネリストと共に、放送文化研究所の番組研究グループによる調査結果・分析の報告を交えつつ、過去・現在・未来のテレビにおける朝ドラの存在感とその意味について、あらゆる角度から検証・考察していきます。 

ご来場のお客様からのご意見やご質問をその場で受け付けるアンケートアプリも用意していますので、ぜひこのシンポジウムにご参加ください。テレビ好き、ドラマ好き、朝ドラ好きの皆さんのお越しをお待ちしています!