文研ブログ

調査あれこれ 2022年09月01日 (木)

#419 スマホの利用時間は、年齢によってどう違う?~「メディア利用の生活時間調査 2021」の結果から~

世論調査部(視聴者調査)伊藤 文

 文研では、現在の多様化したメディア利用行動をとらえることを目的に、2021年10月に「メディア利用の生活時間調査2021」を実施しました。
この調査では、「テレビ画面」「スマートフォン・携帯電話」「パソコン・タブレット端末」という3種類の機器(デバイス)について、「動画を見る」「SNSを使う」といった、その具体的な内容を含めて利用実態を調べています。また、他のさまざまな生活行動―食事や仕事、家事など―ともども、“時間”の観点から利用実態を把握できるのが特徴です。調査では、15分刻みの行動をまる2日間、記録してもらいました。

 その結果から、まず、1日にどのくらいの割合の人々が、「テレビ画面」、「スマートフォン・携帯電話」(以下スマホ)、「パソコン・タブレット端末」(以下PC)を利用しているのかを紹介します。これをわたしたちは「行為者率」と呼んでいます。
 itou13.pngのサムネイル画像 全体の結果では、テレビ画面の行為者率がひときわ高く、82%です(図1)。スマホはテレビ画面ほど高くなく、64%です。PCは25%で、利用している人のほうが少数派です。

 続いて、テレビ画面・スマホ・PCが、1日あたりそれぞれ何時間ぐらい利用されているのか、時間量をみてみます。

itou12.pngのサムネイル画像テレビ画面が3時間23分、スマホが1時間18分、PCが34分です(図2)
時間量は、テレビ画面 > スマホ > PCの順となり、これは1日の行為者率の高い順と同じです。
 これをさらにくわしくみてみましょう。
itou11.png 図3のグラフは、テレビ画面・スマホ・PCの1日あたりの時間量を、男女年層別にみたものです。
 オレンジ色のテレビ画面は、年齢が上がるほど利用時間が長くなっています。10代は男性で57分、女性で1時間2分、これに対し、70歳以上は男性で5時間17分、女性で5時間19分と、大きな差があります。
 一方、青色のスマホは、20代が男性で3時間26分、女性で3時間28分と突出しています。30代から上の年代では、男女とも年齢が上がるほどスマホの利用時間が短くなっています。
 このようにスマホやテレビ画面の利用時間は、年齢によって大きな違いがあり、男性30代以下と女性20代以下では、テレビ画面より、スマホを利用している時間のほうが長いことがわかりました。スマホを肌身離さず持ち歩き、外出先であれ自宅であれ、手元に置いて頻繁に利用している様子が想像できます。そのなかには、SNSやニュース、メールのチェック、ゲームや動画視聴などが含まれるかもしれません。テレビ画面を利用する場合も、その内容は、放送のリアルタイム視聴のほか、録画視聴・動画視聴・DVDやブルーレイの視聴、ゲームなど、さまざまでしょう。

「放送研究と調査2022年7月号」では、「メディア利用の生活時間調査 2021」の結果から、1日の生活の流れのなかでのスマホやテレビ画面の利用実態、「動画視聴」「ゲーム」「SNS」など具体的なメディア利用行動と、そうした行動を活発に行っている特徴的な年代、また、スマホとテレビ画面の両方を同時に使う行動などについても分析し、報告しています。
是非ご一読ください。