文研ブログ

調査あれこれ 2020年09月11日 (金)

#271 外国人の増加に賛成?反対?世論調査から見えてきた本音

世論調査部(社会調査) 岡田真理紗


皆さんは、日常生活で、外国人と接する機会がどのくらいありますか?
新型コロナウイルスの影響で、外国人観光客は大幅に減少していますが、コンビニエンスストアやファストフード店などでは外国人が接客する姿がよく見られます。職場にさまざまな国籍の同僚がいる、という人もいるでしょうし、留学生と一緒に学んでいる学生もいると思います。
NHK放送文化研究所では、外国人労働者の受け入れを拡大する「改正出入国管理法」が施行されて今年4月1日で1年になるのを前に、3月中旬に「外国人との共生社会に関する世論調査」を実施しました。
日常生活で、外国人と接する機会については、次の様な結果が出ました。

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 普段の生活の中で外国人と接する機会が『ある』という人は38%。接する機会が『ない』という人は59%で、全体では、外国人と接する機会が『ない』という人のほうが多くなっています。
 しかし、年層別にみると、50代までは、50%前後の人が外国人と接する機会が『ある』と答えています。現役世代では、およそ半数の人が、外国人と日常的に接していると答えているんです。

 それでは、日本で働く外国人が増えることについては、どう思っているのか。結果は、このようになりました。

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 全体では、70%と多くの人が『賛成』していて、『反対』は24%にとどまっています。年層別でも、『賛成』は60代までは70%を超え、70歳以上でも58%と、すべての年層で半数を超えています。外国人労働者が増えることを容認する人が多いことが、今回の調査から分かりました。

 ただ、そうした外国人が、自分の家の近くに住むとなるとどうでしょうか。

自分の住む地域に外国人の住民が増えることへの賛否を尋ねた結果です。

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 全体では、『賛成』は57%と半数を超えていますが、日本で働く外国人が増えることに『賛成』の人が70%だったのに比べると、賛成の割合が減っています。
 これを、日本で働く外国人が増えることへの賛否別でみてみると、外国人労働者の増加に『反対』の人では、86%の人が、自分の住む地域に外国人が増えることにも反対しています。また、外国人労働者の増加に『賛成』の人でも、21%、およそ5人に1人は『反対』と答えていて、外国人労働者が増えることに賛同しながらも、身近には住んでほしくないと思っている人が、少なからずいることがわかります。

 調査では、外国人の増加に対する不安や期待、外国人が地域社会に溶け込めるようにするために国や自治体が取り組むべきこと、などについても尋ね、人々の意識を詳しく分析しています。調査の結果は、『放送研究と調査』8月号に掲載していますので、ぜひご一読ください。