文研ブログ

調査あれこれ 2016年07月01日 (金)

#33 幼稚園で利用されるメディアとは?

メディア研究部 (番組研究)小平さち子

1959年放送開始の『おかあさんといっしょ』は、3世代に親しまれてきた幼児向け番組ですが、それより前に、幼児向けテレビ番組の定時放送が始まっていたことをご存じでしょうか。1956年に、幼稚園・保育所向けの番組として、
『人形劇』『みんないっしょに』の2番組が登場していました。
1953年のテレビ放送開始から間もない時点から、家庭での視聴だけでなく、幼稚園や保育所という保育の場で、保育者の指導の下に、幼児たちが集団で視聴することを想定して、放送が行われてきたことは、世界的にも珍しいといえます。

このような背景もあって、文研では、テレビやパソコンなどの機器の普及や、NHKのテレビ・ラジオ教育番組をはじめとするさまざまなメディアの利用の様子を調べる全国調査を、1950年代から行ってきました。
最近では、2015年10月から12月にかけて「幼稚園におけるメディア利用と意識に関する調査」を実施しました。

早い段階で普及していたテレビや録画機器に加えて、パソコンやインターネット接続環境も一定程度整ってきたことや、デジタルカメラ・デジタルビデオカメラも9割を超える幼稚園が保有していることが、明らかになりました。 

実際に保育の場で使われているメディアとしては、「絵本・物語本」「紙芝居」「図鑑」などの印刷メディアと、「CD教材」といった音声メディアの占める位置づけが大きいのが特徴です。特に「絵本・物語本」は、全国の幼稚園の9割が、毎日利用していることが、調査の結果に表れています。

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NHKの幼児向け番組は、放送番組としての利用だけでなく、ビデオ・DVD教材CD教材といった形でも利用されています。さらに、番組に関連した楽譜や絵本、テキスト等の印刷物を利用している幼稚園もあります。全国の幼稚園の3分の2が、何らかの形でNHKの教育サービスを利用しています。

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現在、小学校以上の教育では、ICTの積極的な活用が国の施策として推進されていますが、その枠組みに含まれていない幼稚園では、パソコンやタブレット端末を保育の場に取り入れ、幼児に触れさせることについては、全般に慎重な傾向がみられます。
しかしながら、タブレット端末等の新しいメディアを活用した成果を発表する幼稚園も登場し始めていますし、20代・30代の若い保育者たちの間では、パソコンやタブレット端末を、今後利用してみたいという関心もみられます。

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今回の調査では、全国の幼稚園の各種メディア利用実態のほか、幼稚園のメディア利用観や、若手保育者のメディア利用経験と利用関心についても、細かく調べています。調査の結果は、NHK幼児向けテレビ番組の年表とともに、『放送研究と調査』7月号に掲載されています。
(ウェブ上では、8月に文研ホームページで全文を公開します。)

※また、幼稚園・保育所から高等学校までを対象に、1950年から60年余、定期的に文研が実施してきた「NHK全国学校放送利用状況調査」の結果を総合的に分析した論文も、『NHK放送文化研究所年報2014』に発表しており、ホームページで全文公開されています。ご関心がおありでしたら、併せてお目通しください。
 上記の論文はこちらから。