文研ブログ

2023年3月 7日

調査あれこれ 2023年03月07日 (火)

#459 WBC直前企画② 侍ジャパンと視聴率

計画管理部(計画) 斉藤孝信

 3月9日(木)に日本が「ワールドベースボールクラシック」の初戦を迎えるのに合わせてお届けしている「視聴率からみるプロ野球平成史」の第2弾です!

 前回のブログでは、関東地方での6月調査週のプロ野球中継の視聴率が、セ・パ交流戦の開始や球団再編のあった"平成17年"を境に減少したことをお話ししました。 では、WBCのように、日本代表が世界に挑んだ試合の視聴率はどうだったのでしょうか。 まずは、前回お見せした6月視聴率調査のグラフに、同じ年の11月調査週に行われた国際試合の視聴率(各年で最も高かった試合)を重ねてみます。
※視聴率は他のチャンネルで放送されている番組の影響も受けるので、両調査の結果を単純に比較できるわけではありません。

プロ野球視聴率の平成史

 6月、すなわち国内のレギュラーシーズン中の中継の視聴率が平成17年を境に減少したのに比べ、11月に行われた国際試合は、平成24年にも9.2%、平成27年には10.1%と、よく見られていました。
 ふた桁となった平成27年は、「世界野球プレミア12」のベネズエラ戦。日本は、日本ハムの大谷、巨人の澤村、菅野、坂本、ヤクルトの山田、横浜の筒香、西武の秋山などの豪華メンバー。特にこの試合は、8回の裏から9回裏まで3度の逆転が起きる名勝負となりました。
 この試合の男女年層別の視聴率を、参考として同年6月に最もよく見られた「日本ハム対巨人」のデータと見比べてみます。前提として、ベネズエラ戦がよく見られたのは、日曜日の夜だったという要素もあるかもしれません。
 男女年層別にみると、いずれも男性60歳以上が15%超で全体より高く、女性20代以下が2~3%程度で全体より低いという傾向は同じです。一方で、男性50代以下と女性30~50代では、日米野球のほうが格段によく見られていました。

平成27年 世界野球プレミア12の男女年層別視聴率(関東)

 平成の国際試合で最も高かった平成14年「日米野球第2戦」についてもみてみましょう。
 このシリーズには、前年にMLBでMVPと新人王に輝いたイチロー選手がMLB代表の一員として凱旋。そのほかにもジャイアンツのホームラン王バリー・ボンズや、ヤンキースの看板選手・バーニー・ウイリアムズ、ドジャースの抑えの切り札ガニエなど、スター選手が名を連ね、イチロー選手を通じてMLBを見るようになったファンにとっては「そんな大物が来るの!?」と驚きと喜びの絶頂でした。迎え撃つ日本代表も、のちにアメリカに渡ることになる"W松井(秀喜、稼頭央)、岩隈、上原、福留など、各球団のトップ選手ぞろい。第2戦では日本が8対2で勝ちました。
 この試合の男女年層別の視聴率も、参考として同年6月に最もよく見られた「ヤクルト対巨人」のデータと見比べてみます。
 どちらも全体では10%を超えてよく見られ、男性60歳以上が20%超で全体より高く、女性20代以下が5~6%程度で全体より低いという傾向は同じですが、男性20代以下と女性30~50代では、日米野球のほうがよく見られていました。
 若い男性や、女性が、「日本が世界を相手に挑む国際的な試合をよく見る」というのは、以前、サッカーW杯について考えたブログで紹介しましたが、ここでも共通した傾向が浮かび上がってきます。

平成14年 日米野球第2戦の男女年層別視聴率(関東)

 今回のWBCも、まさに「日本が世界を相手に挑む国際的な試合」です。これまでの大会ではなかなかMLBのトップ選手が参加できなかった各国代表も、今回はそうそうたる顔ぶれがそろい、"本気勝負"のムードが満ち満ちています。そして日本代表は、平成14年のイチロー選手と同じように、いまやMLBの看板選手になった大谷選手の凱旋大会でもあるわけですから、これは、いやが応にも盛り上がるのではないでしょうか!?
 プレーボールが楽しみで仕方ありません!


筆者が書いたこちらのブログも、あわせてお読みください!
#435 視聴率でみる"大河ドラマ平成史"