#450 3月2日(木)14:30 放送アーカイブの『公共利用』を一緒に考えよう!
メディア研究部(メディア動向) 大髙崇
先月のブログでもお伝えしたように、文研の調査によって、地域の博物館や図書館では、過去の放送番組(放送アーカイブ)を利活用したいというニーズが高いことがわかりました。
放送局は、自局のアーカイブを活用して新たなコンテンツ制作は盛んに行っていますが、地域の公共施設などの求めに応じて放送局がアーカイブを提供し、施設などが主体的に利活用するケースは極めて少ないのが現状です。地域の人々から、このような「公共利用」を促すための放送局の取り組みへの期待が示されたのです。
アーカイブを、ただジーッと放送局の倉庫(は、昔の話で今はサーバー)に眠らせているよりは、そりゃあみなさんがいつでも見られるように公開していたり、申し込めばすぐ視聴できたりした方が良いでしょう、とはいうものの・・・
「著作権や肖像権は問題ないのか?」
「どうやって使いたい番組を探せばいいの?」
「料金は幾らくらいが妥当?」
などなど、考えるべき課題はたくさんあります。
現在、他局の番組やCMでの利用に対する有償販売など、主に「商用」を想定したアーカイブ提供のための一定のルールはありますが、営利を目的としない、公共性の高い利用への放送アーカイブ提供のルールはほとんど手つかずの状態です。
そこで、文研フォーラムのプログラムD 放送アーカイブの『公共利用』では、調査結果の報告とともに、放送アーカイブが公共空間で利活用される意義、それを困難にしている課題と、その解決策を討論します。
ゲストパネラーは以下の3名です!
●福井健策さん(弁護士・デジタルアーカイブ学会法制度部会長)
文化審議会の委員を歴任する福井さんは、デジタルネットワーク化が急速に進む中、著作物の利活用促進と権利者保護とのバランスが取れた新たなルール作りと、デジタルアーカイブ社会実現に向けた取り組みを精力的に行っています。
●岡室美奈子さん(早稲田大学教授/早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 館長)
フジテレビの番組審議会副委員長で、NHK・民放の過去番組を保存・活用する放送番組センターの理事でもある岡室さんは、放送アーカイブの公共利用が進むことに、放送の新たな社会的役割が見いだせる、といいます。
●坂下雅子さん(学芸員/石川県小松市立博物館参事)
今回、放送アーカイブの公共利用に関する調査に回答いただいたお一人である坂下さんは、長年キュレーターとして地域の人々に文化を紹介してきた現場担当者の視点から、放送アーカイブの利活用によって、博物館と地域の新たなつながりを感じています。
放送開始100年(2025年)も間近。放送局の新たな社会的使命を探る熱い討論となるはずです。お申し込みとご参加、そしてご意見をお待ちしております!
『放送研究と調査』2022年12月号に「放送アーカイブ×地域」と題して、地域公共文化施設等での放送アーカイブニーズ調査の結果を論文にまとめて掲載しています。併せてご覧ください。