文研ブログ

2022年8月15日

調査あれこれ 2022年08月15日 (月)

#414 コロナ禍のしわ寄せを受けているのは誰なのか ~「新型コロナウイルス感染症に関する世論調査(第2回)」の結果から~

世論調査部(社会調査) 小林利行

新型コロナウイルスの感染者数は今なお多いままです。6月中旬ごろまでは感染者数の減少が続いて、世の中に「ホッ」としたような雰囲気が広がっていましたが、それ以降、再び増加に転じました。「こんなことがいつまで繰り返されるのか」。多くの人の思いではないでしょうか。

文研では2021年11月に新型コロナウイルスに関する世論調査を実施しました。2020年11月に続く2回目の調査で、今回は、コロナ禍が長期化する中、誰にしわ寄せが及んでいるのかに注目して結果を分析しました。

図①は、感染拡大で影響があったことを、11の選択肢を示して、いくつでも選んでもらった結果です。1番多いのは「親や友人など会いたい人に会えない」で61%、2番目は「一日中、家で過ごすことが多い」で40%でした。

kobayashi2.jpgこれだけ見ると、コロナ禍の影響として「そうだよなー」と想像できる範囲かもしれませんが、これを男女別や職業別にみると、また違った面が見えてきます。

表①は、図①のそれぞれの選択肢を、男女別・職業別・雇用形態別・世帯年収別で示したものです。数字がいっぱいでちょっと見づらいのですが、全体より有意に高くなっているところをオレンジ、低くなっているところをにしていますので、「オレンジのところは多めで、のところは少なめなんだな」ぐらいの気持ちで見てください。

kobayashi.jpgまず、表を縦に見て、緑の線で囲んだ男女別に注目すると、男性でオレンジが付いている項目は2つだけなのに対して、女性は7つもあることがわかります。もちろん男性も影響を受けているのですが、男女で比べると、女性のほうがコロナ禍の影響を受けている人が多いようです。

次は、表を横に見て、赤の線で囲んだ「収入が減って生活が苦しい」の項目を見てください。全体では15%ですが、職業別の自営業者では39%もの人が回答しています。また、雇用形態別では、正規よりも非正規で多くなっています。さらに世帯年収別では、900万円以上の人が6%なのに対して300万円未満の人が22%などと、年収が低くなるほど多くなっています。

コロナ禍では、多くの人が何らかの影響を受けています。そんな中でも、特定のカテゴリーの人により大きな影響が及んでいることが調査結果から読み取れます。コロナ禍の収束が見通せない中、こうした人たちへの影響は今後も続くのでしょうか。文研では今年11月にも3回目の調査を予定しています。

ちょっと重い話になりましたが、実は今回の結果からは、「コロナ禍がもたらしたものは負の面だけではない」という人々の思いも浮かび上がっています。調査結果の詳細については、「放送研究と調査2022年7月号」で紹介していますので、是非ご一読ください。