文研ブログ

2019年9月 6日

メディアの動き 2019年09月06日 (金)

#205 東京2020パラリンピックまで1年 放送の役割を改めて考える

メディア研究部(メディア動向)越智慎司


ことし3月の「文研フォーラム」で、パラリンピックの調査研究を続ける研究員たちが「共生社会実現と放送の役割~東京2020パラリンピックをきっかけに~」と題したシンポジウムを企画し、その内容を『放送研究と調査』8月号に掲載しました。2020パラリンピックの1年前という節目に、改めてシンポジウムでのパネリストの発言を振り返りたいと思います。

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(「文研フォーラム」シンポジウムの様子)


パラリンピックのメダリストで、IOCとIPCの教育委員として子どもたちへの教育活動を進めるマセソン美季さんは、こう述べました。
「パラリンピックの競技映像を配信するだけで、インクルーシブな社会がつくり出せるとは思っていません。(中略)アスリートだけではなく、さまざまな障害のある人たちが、競技場以外の場所でも社会人として活躍し、社会に貢献できるようにする。そんな場をつくったり、機会をつくったりすることができるような視点というものも意識して、報道につなげていただきたいと思っています」

イギリス・チャンネル4に在籍した当時、ロンドンとリオデジャネイロのパラリンピック放送に携わり、出演者にも制作側にも障害者を起用することに取り組んだアディ・ロウクリフさんは、こう述べました。
「放送事業者としては、障害のある人たちの経験を放送に取り込んでいかなければなりません。まずは、そんなに少数派ではありませんよということを認識すること。(中略)やはり知識を共有することが一番大事だと思います。慈善団体も巻き込んで、業界全体で知識を共有する。これが、うまくいった鍵だったと思います」 

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(マセソン美季さん アディ・ロウクリフさん)


パラリンピックには、障害のある人もない人も尊重し合える「共生社会」に結びつけるという大きな目的があります。放送もその目的に向け、2020を越えて役割を果たさなければなりません。社会を変え、人々の意識を変えるためには、放送に携わる者から意識を変えなければならない。そのことを2人は指摘しています。

『放送研究と調査』では、最新の9月号から、パラリンピック放送への提言などをパラリンピアンや外国の放送関係者などに聴いたインタビューを4回シリーズで掲載しています。10月号でロウクリフさん、12月号でマセソンさんと、2人のパネリストにもさらに詳しく話をうかがいました。8月号とあわせ、こちらもぜひご覧ください。