文研ブログ

2018年6月22日

調査あれこれ 2018年06月22日 (金)

#132 WEBで世論調査はできるのか

世論調査部(研究開発) 萩原潤治


「51%」

インターネットを「毎日のように」利用していると答えた人の割合です。年配の方も含めた16歳以上の日本人の約半数ですね。去年11月にNHK放送文化研究所が行った「メディア利用動向調査」のデータで、この割合は、男性16~29歳で86%、女性16~29歳で90%に上ります。

今やスマートフォン、タブレット、PCなどのデジタルデバイスは、私たちの日常生活に深く浸透しています。その用途は、SNS、情報検索、動画視聴、ゲームなどの趣味や娯楽から、銀行口座の管理、自治体への申請手続きなど、幅広い分野に広がっています。こうした、多くの人にとって欠かせないものになりつつあるデジタルデバイスを世論調査でも活用できないだろうか。これが研究の出発点でした。

なぜなら、世論調査は今、大きな課題に直面しているからです。有効率の低下です。有効率とは、全国から調査相手に選ばれた方のうち、調査に回答してくださった方の割合です。たとえば、「全国個人視聴率調査(6月)」の有効率は、1973年の81.9%から2017年の67.6%へ約14ポイント低下しています。特に20~30代の若年層で低下が目立ちます。

 図1 有効率の推移「全国個人視聴率調査(6月)」<配付回収法>
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そこで、若年層の有効率UPのために、この世代と親和性が高いデジタルデバイスを利用した“WEB世論調査”を試してみました。住民基本台帳からランダムに選んだ調査相手に、郵送で調査への協力を依頼しWEBで回答してもらう方式です。調査用のWEBサイトに簡単にアクセスできるようにQRコードも作成しました。「紙に書くのは面倒だけど、スマホでできるなら回答してみようかな」そう思ってもらえるような調査設計を心掛けました。

たとえば、図2の左側がスマホの回答画面です。あてはまる選択肢をタップすると自動的に次の質問に切り替わるため、サクサク答えられるようになっています(ただ、サクサク答えられるからよいとは限らないのです。「簡単に回答できる」=「紙での回答と比べて、あまり考えずに回答してしまう」という可能性もあるため、回答結果を検証しなければいけません)。

 図2 マトリクス形式の質問
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この“WEB世論調査”を、2016年と2017年の計2回、試験的に行いました。気になる2016年調査の有効率は43.5%とイマイチな結果に・・・。ただ、初めての挑戦ですから、課題がたくさん見つかりました。その課題を一つ一つクリアし臨んだ2017年調査の結果は・・・『放送研究と調査』6月号でご覧ください!

この中では、有効率だけでなく、調査相手のサンプル構成や回収状況、さらにWEB回答者のアクセスログからWEB回答に要した時間や「途中離脱」などの分析も行っています。WEBで調査をするのに必要なポイントがぎゅっと詰まっていますので、ぜひご覧ください。