文研ブログ

2018年3月16日

おススメの1本 2018年03月16日 (金)

#117 朝ドラの"みかた"

メディア研究部(番組研究) 亀村朋子

春の訪れを感じる今日このごろ。あと2週間もすれば新学期ですね。
とある「朝ドラウォッチャーさん(仮名)」が以前Twitterでこんなことを言ってました。

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そうかーなるほどね…「新しいクラスは?」「担任は?」「毎日楽しく過ごせるといいなぁ」「面白い先生がいい」…そんなワクワクするような期待が、新しい朝ドラを見る時にはあるのかもしれない…
朝ドラ常連のこの方は、4月と10月になると「新学期気分」を味わいながら見続けているんですね。有り難いことです。新しく作品が入れ替わっても、次を楽しみにしながら見続けてくれている方が大勢いる。朝ドラは、まさにそんな「味方」に支えられている番組だと思います。

朝ドラには、ご存じの通り、二つのタイプがあります。
「実在モデルありの一代記もの」と、「モデルのいないオリジナルもの」です。
昨年4月から放送された『ひよっこ』は、それまで3作連続で(『あさが来た』『とと姉ちゃん』『べっぴんさん』)「モデルあり」が続いたあとに放送された、久しぶりの「オリジナルもの」でした。
主人公は、何かを成し遂げる偉人ではなく、茨城に住む普通の庶民の女の子。昭和への懐古や、庶民の生活への賛歌を感じ取れる『ひよっこ』は、放送中盤のアンケート結果では、「明るくて」「健全で」「前向きで」「さわやかな」イメージを呼び、8割近くの回答者から「満足」と支持されました。しかし、同じアンケートの中で「(モデルがいない話なので)物語がどこに向かっているのか分からない」と答えた人が6割以上いました。
「見て満足」なのに「分からない」とは、これいかに?…ちょっと矛盾していますよね。

そこで、朝ドラを見るときに皆さんがどのような「見方」をしているのかを探ってみれば、「何かヒントになるかもしれない」と思いつきました。「見方」とは、言い換えれば、「どういう心構え(目線)で朝ドラを見ようとしているのか」ということです。2年半にわたって朝ドラ調査を継続していますが、今回初めて「見方」に注目して、アンケートや聞き取り調査で聞いてみることにしました。
そもそも「朝ドラの見方」なんてものが存在するのでしょうか?
そしてその調査結果は…?
『放送研究と調査』3月号 に掲載した「朝ドラ研究 視聴者は朝ドラ『ひよっこ』をどう見たか ~柔軟に見方を変えて楽しむ視聴者~」で報告しています。ぜひご一読ください。

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現在放送中の『わろてんか』に続く今後の朝ドラは、『半分、青い』『まんぷく』『夏空』と、「モデルあり」と「オリジナル」とが1作ごとに交互に続いていくことになっていて、なかなか目が離せません。これからも、「視聴者はどのように朝ドラをミタカ?」=「朝ドラのミカタ」を探っていきたいと思います。