「てんびんばかり」
2012年5月5日
作: 宮部 みゆき
幼い頃から同じ長屋で姉妹のように育ったお吉とお美代。貧しいながらうららかだった二人の生活が壊れたのは、お吉が十六、お美代が十五の時である。水害と流行り病、事故など様々な災危が立て続けに襲い、双方の両親が次々に他界。二人は裏長屋で肩を寄せ合うようにして同居することになる。「神様は、お吉ちゃんだけは私から取り上げないでいてくださる。お吉ちゃんだけはどこへも行かない。だから、あたしはお吉ちゃんと一緒にいる。」とお美代は思う。ところが、二十歳を過ぎたころ、お美代にふってわいたように縁談が大きな料亭から持ち込まれ、後添いに入ったことから、女二人の暮らしはあっさり終わりを告げた。お吉の心中に複雑なものが芽生える。
「堪忍箱」(新潮文庫)所収
「なめとこ山の熊」、「やまなし」
2012年5月12日
作:宮沢 賢治
「なめとこ山の熊」 猟師の淵沢小十郎は、熊を撃ち、その肝や皮を売って生計を立てていた。家族を養うために仕方なくとはいえ、小十郎の胸の内は熊たちへの同情でいっぱいだった。「熊。おれはてまへを憎くて殺したのでねえんだぞ。この次には熊なんぞに生まれるなよ」 熊を撃つたび小十郎は、死んだ熊にこんな言葉をかける。そんな小十郎を、熊たちも好きなようだった。
ある日、いつものように山へ出かけた小十郎は、不意に現れた熊に襲われた。
「やまなし」 谷川の底にすむ蟹たちの会話を幻想的に描いた作品。
「宮沢賢治全集7」(ちくま文庫)所収
「雪明かり」
2012年5月19日
作:藤沢 周平
2011年9月3日放送のアンコール。
貧しい下級武士の家に生まれた菊四郎は、口減らしのために養子に出され、養家でも肩身の狭い思いを余儀なくされている。雪の降る日、菊四郎は義理の妹・由乃と偶然再会する。既に嫁いでいた由乃に菊四郎は不幸の影を見る。そして、嫁ぎ先の仕打ちの果てに病となった妹を救い出す兄。その自分の姿を恥ずかしいと思う義妹。血のつながらない妹の不幸せな姿が、菊四郎に、恵まれた己の身分や許婚(いいなずけ)など全てを捨てさせ、「跳ぼう」と決心させる。
「時雨のあと」(新潮文庫)所収
「お父さんのバックドロップ」
2012年5月26日
作: 中島 らも
2011年9月10日放送のアンコール。
下田君のお父さんは有名な悪役プロレスラー。頭は金髪、顔は赤白の隈どり、リングで緑色の霧を吹く。そんな父親が下田君は嫌でたまらない。下田君の「お父さんは尊敬できない」という言葉に、父はある勝負を決断する。相手は27歳、空手の世界チャンピオン。43歳のプロレスラーの挑戦は誰の目にも無謀だった。
「お父さんのバックドロップ」(集英社文庫)所収







