「イラクサの庭」

2011年1月8日

作: 堀江 敏幸

山あいの小さな町「雪沼」に1人移り住んで料理教室を営んできた小留知先生が亡くなった。独り身であった先生の、雪沼に居を定めるまでの前半生は、どこか孤独の影を帯び、長年連れ添った弟子にもわからないことが多かった。弔いを済ませ、彼女の思い出を語り合う中で、小留知先生が最期に言いかけた言葉の意味が次第に明らかになってくる。

「雪沼とその周辺」(新潮文庫)所収

「蜘蛛の糸」「犬と笛」

2011年1月15日

作:芥川 龍之介

「蜘蛛の糸」
悪行の数々を重ねたその男は、たった一度、蜘蛛(くも)の命を助けたことで地獄から極楽へ昇るチャンスをお釈迦様から与えられる。極楽からの一本の蜘蛛の糸だ。しかし、 必死に昇る男の下には大勢の地獄の者たちが続いていた。

「犬と笛」
主人公の髪長彦は、木こりで笛の名手。仕事の合間に奏でる笛の音に心動かされたのは山の神々であった。 心地よい演奏を聞かせてくれる御礼にと、長彦の前に神々が次々に現れ、「欲しいものは何か」と聞く。
そこで、もらったのが3匹の犬。鼻が鋭く何でも見つける「嗅げ」、どこへでも飛んで行ける「飛べ」、どんな恐ろしい鬼神をもかみ殺す「噛め」である。長彦は、これらの犬の力を借りて鬼神のもとにとらわれた二人の姫を助けようとする。

「蜘蛛の糸・杜子春」(新潮文庫)所収

「十三夜」

2011年1月22日

作: 樋口 一葉

夫婦や家の関係が現代とは全く違う明治の昔。美しく生まれついたお関は、周囲もうらやむ名家に嫁ぎ、太郎という子も生まれた。しかし、夫から、「教養のない身」とさげすまれ、辛い日々を送っていた。我慢に我慢を重ねた末、離縁して実家に戻りたいと両親に訴えようと、月が美しい十三夜、お関はしょんぼりと戸口に立つ・・・。
明治に生きた悲しく、しかし、たくましい女性の物語。

「大つごもり 十三夜」(岩波文庫)所収