「ふたりの名前」

2018年10月1日

作:石田衣良

同棲していても、もし別れる時に所有物で争いたくない、そのために家財はもちろん、買ってきた食料品までイニシャルを入れる2人。別れが前提の同棲とも言える冷たい関係のように見えて、落ち着いた男女のどこか冷めた恋愛が、あるきっかけで絆を確かめ合うことになる、希望の物語。

語り:村上由利子

「仮面パパ」

2018年10月8日

作:森 浩美

2016年(平成28年)6月4日放送のアンコール

三十代半ば、働き盛りの石川。ある日、会社に“宅配便”が届けられた。荷物を受け取ろうと向かった受付には、なんと三歳のわが娘、美空が。妻の鮎子は、「送り主…ママ」の伝票を残して行方しらずとなってしまった。その日から、石川の“イクメン”としての日々が始まった。悪戦苦闘する中で、やがて、子育てについての自分の認識や、妻が抱えていた苦労の大きさをあらためて考えなおすようになる。

語り:中山庸介

「チヨ子」

2018年10月15日

作:宮部みゆき

女子大生の主人公が、アルバイトで、古びたピンクのウサギの着ぐるみをかぶって外を覗くと、周囲の人は、ぬいぐるみやロボットに変わった。主人公は、周囲の人たちが着ているように見える着ぐるみが、実はその人にとっての子供のころ愛したぬいぐるみやキャラクター(主人公の場合それがウサギの「チヨ子」)であることに気づく。それぞれの、懐かしく大切にしたい思い出をよみがえらせる、ファンタジー作品。

語り:牛田茉友

「被写体の幸福」

2018年10月22日

作:温 又柔

台湾からやってきた留学生・呂思希。日本統治時代を生きた祖父から、古い写真の中でほほ笑む「ハルさん」の話を聞いて育った。ハルという名の美しい日本人女性は、思希の密かなあこがれとなり、彼女を日本へと導いた。 バイト先で出会った写真家の男は、“台湾人である”思希をかわいがり、名前も中国語の発音「スーシー」と呼びたがった。しかし、台湾人の女の子としてではなく、一人の個人として見てほしい… 時代を超えて、台湾、日本のはざまで揺れる女性の恋と目覚めを描く。

語り:鎌倉千秋

「『求愛』より」

2018年10月29日

作:瀬戸内寂聴

2016年(平成28年)8月27日放送のアンコール

瀬戸内寂聴が、数え年九十五歳にして、あらゆる世代の男女の機微を熟練の筆で切り取った愛の物語集。
「求愛」:30数年ぶりに再会した高校の同級生、お互い配偶者と別れたと知り、急速に親しくなる。人生半ばを過ぎ、残された時間を分かち合いたいという男から女への求愛の手紙。
「ふるさと」:東日本大震災で一人ぼっちになった四歳の“僕”。貯金箱を壊して仙台の叔父の家からふるさとに辿り着く。そして同じように一本だけ仲間はずれになった松に抱きついて泣く…。
「露見」:元日に妻からの電話で別れ話を告げられた夫。情事と家庭を割り切っているつもりの夫だが、全てが携帯電話に残されたメールで崩れてしまった。
他「夫を買った女」「移り香」「島へ」の全6編を読む。

語り:徳田章