「愛と美について」

2017年1月7日

作:太宰 治

戦前のブルジョア家庭の5人兄妹が、日曜日のつれづれを紛らわすために「物語」を連作して読み聞かせる。小説という枠組みの中に、兄妹それぞれの個性を反映した別の物語がつづられていくという、太宰独特の二重構造の手法が鮮やかな作品。

「おすが」

2017年1月14日

作:竹田 真砂子

美濃大垣藩戸田家の家臣、高岡斜嶺は、真面目一筋、妻を亡くした孤老の武士である。初老をとうに過ぎた斜嶺の気散じは、暇を見つけて、藩邸近くの寺へ、亡き友の墓参りに出かけることだけだった。寺の門前に小さな茶店を開いていたのが、歳の頃二十三、四の女性おすが。おすがとの何気ない交流が、斜嶺の色のない日々に淡いながら彩りをつくり、明るい灯を点していく。ところが斜嶺は、ふとしたことからおすがの過去を知る。人知れず、おすがのために果たそうとする、斜嶺の務めとは…。

「鯛一枚」

2017年1月21日

作:神坂 次郎

2016年1月9日放送のアンコール。
河内国丹南藩領主、高木主水正。婿養子である主水正の年に一度の楽しみは、お膳に「尾頭付きの鯛」がのること、しかも五寸(およそ15センチ)のものだ。ところが、その日膳に出た鯛は四寸七分と五寸に満たないではないか。怒り心頭の主水正は、家臣をお膳の前で切りつけ刃傷沙汰を起こしてしまった。たかが鯛一匹でことを起こした領主に、筆頭家老を始め家臣たちが脱藩届を出す始末となって…。

「透明人間の夢」

2017年1月28日

作:島田 雅彦

2014年10月4日放送のアンコール。
若い男女が浮草のように都心を彷徨っている。職を失い、新たな職を探す気もない、その日暮らしの男。そんなダメ男に愛想をつかしながらも、離れられない女。 二人は新宿歌舞伎町のホテルや千葉にある女の実家、中野の知人の家などを転々とし、ただあてもなく時間を潰す。そんな中、男がふと、「透明人間になりたい」と呟く。所持金1300円の二人が無銭飲食を企てた寿司屋で物語は急展開。男は意外なやり方で夢を叶えるのだが・・・。