「飛鳥山 ほか」

2018年4月2日

作:藤沢周平

短編集「日暮れ竹河岸」から、「飛鳥山」と「年の市」の二編。
「飛鳥山」
 子を産めない女と母を失った幼女の出会い。桜の名所、王子の飛鳥山で、花見客からはぐれてきたかわいい幼女に、女の心は乱される。
「年の市」
 油屋をひとりで切り盛りする後家の悲哀。商いに身が入らない嫁が不満で、その嫁を溺愛する息子にも不満。不仲のあげく嫁も息子も家を出てしまう。

「ひと夏」

2018年4月9日

作:青山文平

※地震に関するニュースをお伝えしたため、4月9日放送の『ひと夏』は途中までしか放送できませんでした。
後日あらためて放送します。


窮乏著しい柳原藩の藩士、高林啓吾。奥山念流目録の剣の腕前を持つが、22歳にして兄夫婦の世話になっていた。ある日、啓吾は御召出しを受け、出仕の役目を言い渡されるが、それは、幕府御領地の中に飛び地として存在するある村の支配所勤めであった。その村は、誰が赴任しても2年と持たず気を患って辞めてしまうといういわくつきの場所で、陰湿な嫌がらせに悩まされるが…。

「わか葉の恋」

2018年4月16日

作:角田光代

沢渡友佳は、バツイチの41歳独身女性。恋愛の酸いも甘いも知った彼女が「大人になったんだなあ」と思うのは、仕事帰りに近所の飾り気のない定食屋「わか葉」で、一人、おろしカツ定食を食べる時だ。その定食屋で、大学生位の齢の男性と顔馴染みになる。そしていつしか、その若者に、恋にとてもよく似た気持ちを抱くようになる。どこにも発展しない、小さなオトナの片想いを描く。

「愛と美について」

2018年4月23日

作:太宰 治

2017年1月17日放送のアンコール。

戦前のブルジョア家庭の5人兄妹が、日曜日のつれづれを紛らわすために「物語」を連作する。小説という枠組みの中に、兄妹それぞれの個性を反映した別の物語がつづられていく、という、太宰独特の二重構造の手法が鮮やかな短編小説。

「おすが」

2018年4月30日

作:竹田真砂子

2017年1月14日放送のアンコール。

美濃大垣藩戸田家の家臣、高岡斜嶺は、真面目一筋、妻を亡くした孤老の武士である。初老をとうに過ぎた斜嶺の気散じは、暇を見つけて、藩邸近くの寺へ、亡き友の墓参りに出かけることだけだった。
寺の門前に小さな茶店を開いていたのが、歳の頃二十三、四の女性おすが。おすがとの何気ない交流が、斜嶺の色のない日々に淡いながら彩りをつくり、明るい灯を点していく。
人知れず、おすがのために果たそうとする、斜嶺の務めとは…。