「花まんま」

2018年12月3日

作:朱川湊人

舞台は昭和50年代の大阪。交通事故で父を亡くした小学生の俊樹は、母、妹(フミ子)と ともに、3人で細々と暮らしていた。
ある日、突然フミ子が不可解な“記憶”を語り始める。「私は、殺された若い女性の生まれ変わりだ」。俊樹はその話が信じられなかったが、フミ子が前世暮らしていたという場所を尋ね、その真実を目の当たりにすることとなる。そこにいたのは、娘を失ったショックからやせ細った前世の父親。心配するフミ子は、前世で父親に作っていた花まんま(花で作ったままごと用のお弁当)を渡し、回復を願う。父親は涙を流して喜ぶが、大切に育ててくれた現世の父母を想う兄・俊樹の心中は複雑であった・・・。

語り:芳賀健太郎

「マンハッタン」「父の詫び状」

2018年12月10日

作:向田邦子

「マンハッタン」
主人公の睦男は、38歳、無職。歯科医の妻は無気力な睦男に愛想を尽くして家を出た。日がな一日することもなく、無聊をかこつ生活をしている。そんなある日、近所に「マンハッタン」という名のスナックが開店することとなった。店のママに心を惹かれ、やがて毎晩通うようになるが、頭のなかに「マンハッタン・・マンハッタン・・」と、別の声が聞こえはじめる。やがて意外な結末に・・・。人生の曲がり角を過ぎた男の、心の動きをあぶり出す。

「父の詫び状」
保険会社の支店長をしていた向田の父。身綺麗で几帳面な一方、家では妻や娘たちには、癇癪を起こし、威張り散らした。一見するとワンマンだが、その裏には家族への愛情があった。人間らしさにあふれた父の姿を、ユーモラスな筆致で描く。

語り:中山庸介

「本番、スタート」

2018年12月17日

作:明川哲也(ドリアン助川)

2014年11月1日放送のアンコール

映画の撮影所で、小道具の担当として働く隆之さん。
監督の注文に逐一応え、現場に終日詰める仕事に誇りをもち10年続けてきた。ある日、現場でトラブルが起こる。格闘シーンで、主役が小道具と間違え、本物のボトルで殴ろうとしたのだ。あわてて止めに入った隆之さんだったが、怒った主役に殴られてしまう。師匠ヨネさんの平身低頭の謝罪で何とかおさまったが、隆之さんは、自分の心が折れてしまったのを感じる。
いつまでも、ヨネさんのように頭を下げて裏方の仕事を続けていくのか。
悩んだ挙句、隆之さんはヨネさんに「次の仕事をはずれたい」と伝える。
ヨネさんは「現場では裏方でも、自分の人生の主役は自分だ。」と諭すが、隆之さんは、その言葉に納得できない。
荷物の整理を始めた隆之さんだが、撮影スタジオに呼び出される。そこには・・・
隆之さんは、前に進んで行くことができるのか。

語り:原田裕和

「ブルーグラス」

2018年12月24日

作:上田早夕里

2015年12月5日放送のアンコール

舞台は、近未来のO県M岬という架空のダイビングスポット。環境の悪化によりサンゴが激減し、あと数年で消滅するという状況になり、周辺海域を閉鎖することに。その海域に、主人公の伸雄は、若いころに「ブルーグラス」という、観葉植物に似た近未来のオブジェを、思い出とともに葬り去ったのである。『ブルーグラスを、今、もう一度見たい。』保護海域となると、二度と希望は叶わない。伸雄は、再びそのポイントへダイビングに行くことにした。たどり着いた場所で、伸雄が見たモノ、出会ったモノとはいったい・・・。

語り:細田史雄

「ミカリバアサマの夜」「(すす)払いと討ち入り」

2018年12月31日

作:木内 昇

2016年12月17日放送のアンコール

物語の舞台は東京の下町、時は大正か昭和初期の裏路地の長屋。そこには仕事が丁寧なお針子の齣江(こまえ)、皮肉屋の老婆トメ、けなげに生きる魚屋の兄弟、浩一と浩三など、生業や暮らしを静かに営んでいる人々が登場する。さらには、この世とあの世を行き来する人たちも出てきて、物語は不思議な空気まとって展開していく。
お針子・齣江が、少女から綿の打ち直しを頼まれた綿入れをめぐる物語「ミカリバアサマの夜」と、貧しい暮らしの中で中学進学を目指している魚屋の次男・浩三がおこした事件にまつわる物語「煤払いと討ち入り」を朗読する。

語り:村上里和