「故郷 ほか」

2016年5月7日

作:魯迅 作

中国人作家・魯迅の「故郷」と「小さな出来事」を朗読する。日本に留学したことで、当時中国が置かれていた状況を知り、医師から小説家になろうと決意した。 「故郷」は、日本から帰国後に発表したもので、「阿Q正伝」や「狂人日記」などとともに魯迅の代表作の一つ。当時の中国社会に対する作者の疑問が、まるで浮かび上がってくるように描かれている。 「小さな出来事」は、たった5ページの物語であるが、主人公と同じ立場だったらどうするだろう考えさせられる作品。 没後80年、当時書かれた作品は、今でも私達の心を揺さぶり、現代社会へのメッセージとも受け取れる。

「煮こごり」

2016年5月14日

作:井上 荒野

晴子は鵜飼光一と穏やかな愛人関係にあった。その関係は31年に及ぶ。ある日突然、鵜飼がトラに噛み殺された。晴子は、それまで知ることを封印してきた彼の私生活を探り、死の真相を探る。剥がれ落ちる虚構の数々。プランニングコンサルタントという職業も、妻とマンションに二人暮らしであることも、さらには複数の女性の存在も。 しかし、こうした事実を目の当たりにしながら、晴子は失望や怒りの感情にはとらわれない。晴子は気付く。それが「2人がかりで守ってきた虚構」であったことに。晴子は鵜飼を愛していた。しかしそれは自立した女が自分の領分を守りながら、居心地の良い愛人関係を作り上げ「歩き続けたしたたかさ」であったことに…。

「車窓家族」

2016年5月21日

作:高田 郁(カオル)

2014年6月7日放送のアンコール。
大阪と神戸を結ぶ私鉄電車は、さまざまな乗客を運ぶ。彼らが気にしているのが、線路沿いの古アパートに住む老夫婦の存在だ。火灯し頃になると、その部屋からは夫婦の倹しい暮らしぶりが浮かび上がって見えた。 ある日、信号待ちで停車した電車の乗客たちは、老夫婦の一室に灯りがついていないことに気づく。心配の言葉を交わす乗客たちが、動かない電車のなかから見たものは…。

「ロバのサイン会」

2016年5月28日

作:吉野 万理子

2014年12月6日放送のアンコール。
主人公はテレビ局の企画で全国を旅し人気者となったロバの「ウサウマ」。「ウサウマ」の写真集発売を記念したサイン会が開催されることになり、彼がそこで耳にしたのは、一緒に旅をしたアシスタントディレクターの「山田ちゃん」が心の病気にかかっているという話だった。 矢も盾もたまらず「山田ちゃん」のもとに駆けつけようとする「ウサウマ」だったが、書店の店員「沢村」に止められる。果たして「ウサウマ」は「山田ちゃん」と再会できるのか…?