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現場レポート&くるりの感想プロデューサーインタビュー
THE RECORDING「くるり」
BSマイル対象番組
THE RECORDING くるり
date
2014年7月20日(日)
time
午後11時~午前0時29分

究極の音楽番組” セットなし。スモークなし。スタジオには無数のマイクと機材、楽器があるだけ。
ショーアップされた従来の歌番組とは対極のシンプルな状況で、ひたすら「音」を追求していく。
かつてビートルズがBBCに残した名演のように、やり直しのきかない「一発録り」という条件のもと、人気一流ミュージシャンがNHKのスタジオで、CD制作現場そのままに本格的なレコーディングを敢行。
ライブとは全く違った緊張感のなかで、代表曲、カバー曲など、この日だけのスペシャルメニューを生演奏していく。
番組はこれまでに「斉藤和義」「ASIAN KUNG-FU GENERATION」と2回放送した。


今回特集するアーティストは「くるり」
ロックという枠にとらわれずアルバムを出す度に新たな音楽性を打ち出し続ける。テクノ、クラシック、民族音楽など様々なジャンルを取り込みながら、多彩な魅力を放ってきた。一度通ったジャンルは手放して変化を繰り返すのも彼らの流儀。その音楽に向かう姿勢は多くの大物ミュージシャンをも虜にする。
松任谷由美、小田和正、細野晴臣、奥田民生などのポップス界の巨匠から、石川さゆりのような演歌の大御所。
さらに、今のバンドシーンのトップランナーにも影響を与えた。
そんなくるりならではのスペシャルなレコーディングを徹底的に記録していく。

アーティストたちが、やり直しのきかない一発録りというシチュエーションで演奏するもようを収録するNHK BSプレミアムの音楽番組『THE RECORDING』。同番組にはこれまでに斉藤和義、ASIAN KUNG-FU GENERATIONが登場し、話題を集めましたが、今回は幅広い世代のロックファンから熱い支持を得ているくるりが出演、まる2日間にわたってレコーディングを行なったもようが『THE RECORDING くるり』と題して7月20日(日)の午後11:00から放映されます。
初日はメンバーの岸田繁(Vo&G)、佐藤征史(B&Cho)、ファンファン(Tp&Key&Cho)の3人に山本幹宗(G& Cho)、福田洋子(Dr)が加わった現在のツアーメンバーを中心にレコーディングが行なわれ、「ワンダーフォーゲル」や「ロックンロール」を始め、実際のレコーディングでもコーラスを務めたフルカワミキを迎えた「ばらの花」、さらにはオリジナルメンバーの森信行(Dr)との「東京」など、くるりのライブヒストリー、そして音楽ファンにはたまらない楽曲たちを披露、2日目にはこれも“ロックバンド”という概念をはるかに超えるくるりならでは、といえる弦楽器や管楽器のゲストミュージシャンを迎えた圧倒的なライブレコーディングが行なわれました。

『THE RECORDING』2日目のスタジオにお邪魔してきました!放送に先がけて、現場の様子を少しだけレポートします。

音合わせ、カメラチェック、本番のテイク

2日目はサウンドチェックを終えたあと14時からレコーディングがスタート。キーボード、カルテット、コーラス、ユーフォニアムを迎えて、まず最初に演奏された曲はシングルとしてリリースされ、ウィーンでレコーディングされた7枚目のオリジナルアルバム『ワルツを踊れTanz Walzer』に収録されている「JUBILEE」でした。円になり全員がアイコンタクトが取れるスタイルで音合わせ、カメラチェック、本番のテイクの手順を踏んで、1曲ずつレコーディングが行なわれ、空間をふわりと包みこんでいくスケール感と繊細さを兼ね備えたサウンドやアコースティックギターを弾きながら歌う岸田さんの情景を描き出すようなヴォーカルにぐいぐいひきこまれていきます。後奏に入ってからは、みんなの演奏に耳を傾け、思わず微笑んでいた岸田さん。続いて同じ編成で奏でられた「ブレーメン」では音合わせのあとに「歌のタイミングはもう少し早めに歌ったほうがいいですか? それとも今ぐらい?」とスタッフに確認しながら、本番へと。途中でテンポアップするこの曲もオーケストレーションが素晴らしく、アコースティックギターのカッティングが速いためか、演奏し終わったあとに「腕が痛い」と笑っていたのも印象的でした。

まさに今、この瞬間にしか鳴らせない音たち

驚いたのは、くるりのまったく途切れない集中力でした。オーディエンスの前で演奏するライブは、次々に曲が披露されていきますが、『ザ・レコーディング』は1曲のテイクを録り終わると照明などのセッティングがあるため、インターバルをはさんで再び、“せーの”で合わせる緊張感のある一発録りが行なわれるのです。そんな中、五感を研ぎすませ全員の音に耳を傾ける岸田さんの様子や、ときに目を閉じて、ベースの一音、一音に魂をこめる佐藤さん、世界に入りこむようにエモーショナルなフレーズを奏でるファンファンさん、まさに今、この瞬間にしか鳴らせない音たちが殺風景なスタジオを彩り豊かな空間に変えていきました。本番の演奏を終えOKがかかると思わずスタッフから自然と拍手が沸く場面も。

岸田さんがエレキギターに持ち替えた「loveless」では躍動感のあるサウンドが空気を揺らせ、すでにツアーで披露され、話題となっている新曲「Liberty & Gravity」も、番組のためにいち早くレコーディングされました。エレクトリックシタールに持ち替えたこの曲は和風なテイストやファンク、オルタナティブロックなど、さまざまな要素がにぎやかにブレンドされた多国籍でオリジナリティのカタマリのようなナンバーで、マジカルな演奏が目の前で繰り広げられていきます。演奏を終えた岸田さんは納得いかないのか、「もう1度、やりたい」的な表情をしていましたが、こんな臨場感も『ザ・レコーディング』の醍醐味です。
最後にはツアーメンバー5人にくるりのライブでおなじみの高田漣氏がペダルスティールで加わり、なんとも濃密で温かみのある音の中、「奇跡」が歌われました。本番のテイクを録る前に「もう声が全然、出ないです」と苦笑いしていた岸田さん。この日、レコーディングされたのは計7曲でしたが、音合わせやカメラチェックをふくめ、20回以上は本番と同じテンションで歌っていることを考えると、注ぎこんだエネルギーは想像を超えていると言えるでしょう。

レコーディングが終わった直後のくるりに感想をうかがいました。

岸田

「なかなか、貴重な体験をさせていただきました。ライブは勢いでそのときの自分たちをバーンと出すし、レコーディングは最初のプロダクションから完パケまで、みんなでアイディアを出していって積み重ねていく作業なんですが、今回はそのどちらでもないので、どうなるかなと思っていたんですが、やってみると演奏に集中できましたね。最初は緊張していたんですが、ほぐれるのは早かった。ライブとは違いヘッドホンして弾いて歌うので全部の音がしっかり聴こえたこともあって、1曲、1曲の演奏のテーマが自分の中で自然と見えてきました。アドリブで弾いたら、反応してみんなの音がすぐ返ってくる感じも良かったし、普通のレコーディングとはまた違った面白さが生まれたと思います。映像だとどう仕上がるんでしょうね…。僕もオンエアで確認します。」

佐藤

「最初は予想がつかなくて、“おそらく、これはライブとレコーディングの真ん中ぐらいのポジションなんやろうな”と思ってたんですけど、2日間、演奏させてもらって“レコーディングってライブやった!”って思いました。もちろん、お客さんはいないんですけど、みんなの空気感や息吹を感じながら演奏するという意味では一緒やなって。初日は少し緊張しましたけど、2日目は伸びやかに気持ちよく弾けました。今日はゲストミュージシャンの人数も多くて楽しかったです。」

ファンファン

「“楽しもう”と思ってワクワクしてたんですけど、その気持ちもすっ飛ぶぐらいに、みんなが演奏に集中するのが伝わってきて自分も入りこみましたね。レコーディングではトランペットという楽器上、あとからダビングすることが多いので、こういう録音は新鮮でした。TVの映像のスタッフの方々と一緒にお仕事することも少なかったので、映像はこういう風に作られているんだなと。始まったら、あっという間の2日間でしたね。」

中村雅郎チーフプロデューサーが語るくるりの魅力と『THE RECORDING』

くるりの魅力

くるりとの出会いは5年前になるんですが、佐野元春さんのトーク番組「ザ・ソングライターズ」のゲストに岸田さんが出演したことが始まりです。もちろん、彼らの存在は知っていたのですが、番組をキッカケにくるりの作品をさかのぼって全て聴いて、ほかにない歌詞の世界やオリジナリティのある曲、サウンドプロダクションに魅力を感じたんです。16年のキャリアの中で松任谷由実さんや細野晴臣さん、矢野顕子さんなどビッグネームのアーティストたちとのコラボレーションを積極的にやっている。ミュージシャンズ・ミュージシャンというか、音楽家からも一目置かれるアーティストですよね。

今はNHK FMの「くるり電波(毎月最終火曜よる11時)」という番組を担当させてもらっているんですけど、岸田さんは「どこで見つけてきたの?」って思うようなヨーロッパ、中東、南米のアーティストの曲をかけたりするんです。ノンジャンルなんだけど、聴くと「岸田さんのチョイスだな」と思うような音楽なんですよね。すごい勢いでレコードハンティングしていると思うし、ホントに音楽に対して貪欲だから、番組のたびに「今回は何するんですか?」って期待してます。くるりとしても新たな世界観をどんどん開拓していっているから、彼を見てると「安住しちゃいけないんだな」って気持ちにさせられるし、いつも刺激を受けてますね。

『THE RECORDING くるり』を制作するに当たっては、デビューから16年たった今のくるりをまずはきちんとアーカイブしましょうという提案をしました。それと番組のひとつのセールスポイントがワンテイクなので、音を重ねたりするサウンドプロダクションが複雑な曲よりも、ライブに近い感覚で演奏できる曲を選曲するっていう。2014年時点のくるりサウンドをパッケージしようというのが共通の認識でした。

『THE RECORDING』

クォリティの高い音楽を作っていて多くのリスナーに支持されているのにTVというメディアではなかなか触れることができない魅力的なアーティストは、たくさんいると思うんです。
シングルやアルバムがリリースされるタイミングでのプロモーション稼働は、どうしてもビジネスの側面がある意味、出てしまうので、出ていただけないアーティストがいるんだったら、こちらからシステムを変えるような土俵を用意して、提案していきたいという想いが強くあります。

この番組は名実ともに一流のアーティストの方々と、NHKががっぷり四つに組んで創りあげるこれまでにない、しかし直球ど真ん中の音楽番組です。
余分な装飾を一切排除して音楽録りに集中していただき、この番組でしか伝えることができないアーティストのテンションと集中力の高さを、視聴者のみなさんにたっぷりとお届けします。また、アーティストの方々にはふだんライブでパフォーマンスしていることをカメラの前でやってみませんか?という提案をこれからもし続けていきたいと思っています。

くるりの音楽への溢れるばかりの愛情やロックバンドとしてのキャパシティの広さと冒険心と、生ならではのスリルと温かさがダイレクトに伝わる贅沢な番組『THE RECORDING くるり』、必見です!