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渡辺支配人のおしゃべりシネマ館

「ダイアン・レイン」

No.59 2005.06.13

今現在、世界最高の少女スターといえば間違いなくダコタ・ファニング嬢でしょう。『風と共に去りぬ』の舞台でもあるジョージア州アトランタで1994年に生まれた彼女は、5歳の時に数千人の中から選ばれてコマーシャル・タレントとしてデビュー、人気ドラマ「ER 緊急救命室」や「アリー・My Love」などにゲスト出演したあと、7歳で映画の世界に入ります。何しろ彼女、「I am Sam アイ・アム・サム」(01)のショーン・ペンの娘役で世界中の人々の涙を誘い、「コール」(02)ではシャーリズ・セロン、「マイ・ボディガード」(04)ではデンゼル・ワシントン、「ハイド・アンド・シーク」(05)ではロバート・デ・ニーロ(ちなみに全員オスカー俳優です)と共演し、互角以上の名演技を披露しています。そして、今月末に全世界同時超拡大ロードショーされるスティーブン・スピルバーグの「宇宙戦争」ではトム・クルーズの娘まで演じているのですから凄い。
きょうご紹介するダイアン・レインも天才子役、美少女スターとして有名でした。1965年1月22日、ニューヨークで演劇コーチの父と、「プレイボーイ」誌のモデルもつとめた母との間に生まれた彼女は6歳でオフ・ブロードウェイの舞台に立ち、ギリシャ悲劇「メディア」に唯一の子役として出演。ギリシャ語で上演されたこの芝居では、耳でセリフを覚えたといいます。前衛劇団ラ・ママに参加して、8歳でヨーロッパ各地での公演も経験、1977年、12歳で出演した舞台ではメリル・ストリープとも共演しています。さらに翌年、ミュージカル「ランナウェイズ」で10代の娼婦役を演じて批評家、観客から圧倒的な支持を受け、天才少女の名をほしいままにしていました。

そんな舞台の天才少女を映画界が放っておくはずはなく、「明日に向って撃て!」(69)「スティング」(73)のジョージ・ロイ・ヒル監督が1979年、14歳になったダイアン・レインを、ベニスを舞台にした少女と少年のさわやかな恋物語「リトル・ロマンス」の主演に起用します。この映画に客演した英国の名優ローレンス・オリビエをして「グレース・ケリーの再来」と言わしめた美少女は一躍注目を浴び、「タイム誌」の表紙を飾り、世界的なアイドルとなります。しかし、好事魔多し。彼女の生後間もなく離婚した両親の親権争いに巻き込まれ、1980年にはそれまでマネージャーをつとめていた父のもとを去り、母との生活を始めます。ところが、母が事業に失敗し、再び父の元へと帰ることに・・・。
とまあ、いろいろありましたが、彼女の才能を認める巨匠は多く、ハイティーンになってからはフランシス・フォード・コッポラに重用され、ヤング・アダルト・スターを大集合させた「アウトサイダー」(82)のほか、「ランブルフィッシュ」(83)、「コットンクラブ」(84)とコッポラ作品に連続出演します。そして10代の最後に出演したのが21日に放送する「ストリート・オブ・ファイアー」(84)なのです。この映画でびっくりしたのは、それまで清楚なイメージだったダイアン・レインが大変身していたこと。何しろ、彼女の役は、体の線が浮き出るコスチュームに身を包み、蒼白く漂う熱気の中、スポット・ライトを浴びて歌う妖艶なロックン・ロール・クイーンなのですから。さらに、1950年代のシカゴを舞台にした「ビッグタウン」(87)ではストリッパー役、日本の“にっかつ”が社運をかけて製作した「落葉」(92)では中国人の歌姫にして馬賊の女頭目と・・・この頃のダイアン・レインは、いささか役の幅を広げ過ぎた感がありました。
私生活では、1988年10月、23歳で俳優クリストファー・ランバートと結婚。夫婦で共同製作した「美しき獲物」(92)で共演、娘も生まれますが94年に離婚しています。かつて「グレース・ケリーの再来」と称された美少女の目標は、アメリカを代表する名女優キャサリン・ヘプバーンだったといいます。ほぼ同年代で、同じように天才少女として早くから注目され、すでに2度もアカデミー主演女優賞に輝いているジョディ・フォスターにくらべ、内に秘めた実力の割には役に恵まれなかったダイアン・レインですが、最近になって俄然、輝きを増しています。19歳で出演した「コットンクラブ」では恋人役だったリチャード・ギアと夫婦役で共演した「運命の女」(02)でアカデミー主演女優賞に初ノミネート、離婚のショックから立ち直るためイタリアに傷心旅行に出かけた女性作家を好演した「トスカーナの休日」(03)ではゴールデングローブ主演女優賞にノミネートと、遅ればせながらついにダイアン・レインが演じるべき役がまわってきたのです。今年40歳になった彼女ですが、長年のファンである私としては、これからのアメリカを代表する演技派女優として、アカデミー賞最多13回のノミネートを誇るメリル・ストリープをはじめ、ヒラリー・スワンク、ニコール・キッドマン、レニー・ゼルウィガーらの好敵手になるのはダイアン・レインだと確信しております。

※コラムに含まれる番組の放送日時や告知の情報等は掲載時のものです。ご注意ください。




渡辺俊雄(わたなべ・としお) 渡辺俊雄(わたなべ・としお)

1972年、アナウンサーとしてNHK入局。7年前から“衛星映画劇場支配人”として映画に関連する番組の制作や出演、ナレーションを担当。
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