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2015年12月30日

時空を越え、平成から明暦にアドバイス! 歴史上の人物と現代のオピニオンリーダーが激論。 ~「歴史エンターテインメント"大江戸炎上"」~ BY 佐野達也

151230_ooedoenjo1.jpgすこし変な演出が楽しめる。歴史上の人物が2016年にタイムトリップしてお悩み相談するのだ。
例えば…
「拙者、悩んでござる。老中たちと意見が合いませぬ」
「拙者、仕事人間過ぎるのでござりましょうか?」
などなど、チョンマゲ姿のお侍が、おお真面目に悩みを持ちかける。そのお相手は、作家のいとうせいこうサン、脳科学者の中野信子サン、歴史学者の磯田道史サン。もちろん台本なしの時空を越えたガチンコトークバトル。そして、当のお悩みを抱えてタイムトリップして来るのは、あの名宰相である保科正之。え、ご存じない?  じゃあ彼のお話を少し…。

151230_ooedoenjo2.jpg1657年の冬、江戸の街を大火災が襲った。「明暦の大火」。その規模たるや半端がない。街の60%(現在の千代田区と中央区、その周辺部分)が焼失。死者はおよそ10万人(人口の1/4~1/6)。
この未曽有の危機に立ち向かったのが、番組の主人公である「保科正之」という人物である。知らない方も非常に多いと思うが、この方、調べるにつけ、本当にすばらしいリーダーだったことがよくわかる。おそらく彼こそは、日本の歴史を変えた人物と言っても過言ではない。「明暦の大火」と、そこから復興を成し遂げた「保科正之」。このワンセットでもって「日本の新しい歴史が始まった!」。「日本流の民主主義が萌芽した!」。…いえ、番組を見てほしくって熱くなっているのではなく、本当に心の底から思うのです。

151230_ooedoenjo3.jpgたとえばその好個の例が「江戸城天守閣の不再建」。「江戸城なんてあったの?」という方も多々いらっしゃるでしょうが、皇居の北の丸公園のどでかい石垣をご覧になった方はいらっしゃいませんか? アレが実は江戸城天守閣の土台なのです。明暦の大火で焼失した江戸城天守閣。幕府の権威の象徴であり、全国ににらみをきかせる巨大モニュメント。もちろん真っ先に再建するのかと思いきや、保科正之はこともなげに言う。「戦国の世でこそ必要であるが、太平の世には必要がない」「そんなハコモノに金を使うなら、庶民の生活を豊かにするような投資をすべきである」。ヨーロッパで市民革命が吹き荒れるよりも100年以上も前に、「安民」を政治の軸足にした政治家が日本にはいた。歴史学者の磯田氏は言う。「江戸時代型の民主主義である」と…。

日本の民主主義が大いに問い直された2015年。新年早々は、この番組をご覧いただき、江戸時代から民主主義を学ぶこともまた一興。


放送予定
ザ・プレミアム「歴史エンターテインメント“大江戸炎上”」
BSプレミアム 1月3日(日)午後9時~

佐野達也(さの・たつや)

【コラム執筆者】
佐野達也(さの・たつや)

テレビマンユニオン ディレクター。