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2018年08月01日

BS1「WHK 私たちが本気で殻を破るTV」by浜野 

7月のとある月曜日。朝9時半に携帯がなった。上司からだ。実は前日、番組のスタジオ収録を終えたばかり。嫌な予感がする。第一声は「朝イチで警備室から電話があった」。不安は増す。上司は続けた。「玄関口に落とし物があったそうだ。“海獣”の風船らしい」えっ?そうか。前日のスタジオ収録で使われた風船だ!不思議な落とし物を生んだのは、BS1WHK 私たちが本気で殻を破るTV番組内で企画した参加型ライブ・エンターテインメントイベントだった。

whk_2.jpg話は6週間さかのぼる。この企画は、ミレニアル世代と呼ばれる18歳から34歳の若者にイベントの企画案を考えてもらい、NHKとの完全コラボで実現しようというユニークなものだ。この春からNHKが行っている次世代ウェブ意識調査なにジェネ?参加者を中心に12人が集められた。そして、5月26日10時間に渡り、自らの殻を破れるイベントを考える企画会議が行われた。その結果、NHK最大の101スタジオでミレニアル世代ならではの夏祭りを開くことになったのである。

whk_3.png企画のキモは、実は夏祭りではない。それを利用して、新たなコミュニケーションを行うことが真の目的。NHKで行われる夏祭りで、様々な出会いを仕掛けようというのである。それを考えたのも12人だ。彼らはいわゆるSNS世代。普段、ネット経由で多くの友達とつながっている。でも、面と向かった交流は苦手だという。この機会に、新たなコミュニケーションの場を作り出し、心の壁メンタル・ブロックを壊すことを目指したいという。NHKは、彼らのアイディアを全面バックアップして、イベント実現を目指していくことになった。一体、どんな夏祭りが生まれ、どんなコミュニケーションが行われるのか?

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ところで、今回若者たちからはNHK番組についても厳しい指摘を受けていた。NHKは物凄く取材をするし、緻密に構成を練り上げ一分の隙もない形に仕上げている。けれど、逆に「予定調和」「結論が分かる」番組が多くて見る気にならないという。だから、今回のイベントで大切にしたいのはカオスだという。もしかしたら、「カオス」はNHKの職員が最も恐れている言葉かもしれない。私は制作を統括する立場。もちろん不安もあったが、実は期待の方が大きかった。これまでのNHKでは、思い付きもしない「何か」が起こる可能性を感じたからだ。6週間の準備期間、色々あった。短期間でイベントを立ち上げなくてはならない焦り、12人とNHKの気持ちのズレ…。でも、12人には、それらを跳ね返すエネルギーとパワーがあった。そしてちょっとカオスな唯一無二の夏祭りが生まれた。

イベント当日。会場となった101スタジオへ向かうとそこは別世界。会場には、色とりどりで奇妙な形の風船アートが随所に置かれた。あの“海獣”もその一つ。日本伝統の屋台も並ぶ。でもちょっとおかしい。いや、食べ物の色が明らかにおかしい。赤、黄、青…。さらに、控室には、サンバの衣装に身を包んだ美しい女性たちやけに明るい黒人パフォーマー・中国人の若い二胡奏者にダンサー…なんと無国籍なゲストたちだろう。それに、ミレニアル世代なら誰でも知っているスペシャル・ゲストも。12人も興奮している。そして、確信した。これは本当に何かが起こる!whk_3pic.jpgNHKミレニアル世代が真剣にコラボした番組WHK 私たちが殻を破るTV。放送は8月10日の夜10時からBS1だ。何が起きたかは、そこで是非確認していただきたい。NHKは「みなさま」のもの。これはその一つの形だ。ご覧いただいた方、ご感想・ご意見もお待ちしています!


★放送予定→番組情報はこちら
【BS1】8月10日(金)22:00~22:50
「WHK 私たちが本気で殻を破るTV」

浜野 高宏(はまの・たかひろ)

【コラム執筆者】
浜野 高宏(はまの・たかひろ)

NHK編成局コンテンツ開発センター、チーフ・プロデューサー。平成2年入局。担当番組は「体感!グレートネイチャー」「エアレース世界選手権」「Mの逆襲」「ミレニアルズ・ファイル」など。