BSトピックス スペシャルコラム
ドラマ
2018年08月27日

みなさんは「あの花」「ここさけ」ってご存知ですか?~by藤並

劇場公開の興行収入は10億円を超える大ヒットを記録したアニメあの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。心が叫びたがってるんだ。。舞台となった埼玉県秩父市は全国からファンが訪れ、アニメの聖地巡礼のさきがけともいえる作品です。ひきこもりだった“じんたん幼少期のトラウマで声が出なくなった“成瀬順。闇を抱え自分の殻に閉じこもってしまうふたりの主人公は多くの若者たちの心をつかみました。

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このふたつの大ヒットアニメの創作の原点は、脚本家・岡田麿里さんの“過去。2017年に出版された岡田さんの自伝学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまでの中には、かつて登校拒否児だった小学生から高校時代、母親との確執、秩父を出て東京でアニメ脚本家として歩みだす日々が、せきららにかつみずみずしく、そしてコミカルにかつハートウォーミングに描かれています。カリスマ脚本家のサクセスストーリーだけではないこの作品は、いきづらさ”を抱える人々をはじめ、世代を超えて共感を呼びました。maeda_02.jpgドラマ化にあたり、ご自身の自伝を原作にして、岡田さんご自身が脚本化するという、テレビドラマでは“異例”の試みを行いました。その中で、“岡田麿里”ではなく“坂田安喜子”というキャラクターが生まれます。岡田さんの人生を、そのままではなく坂田安喜子”として脚色・客体化することで、より繊細で心温まる脚本が出来上がりました。これはまさに、いま勢いのあるアニメ業界の第一線で活躍する脚本家・岡田麿里の手腕です。maeda_03.jpgそんなフィクションともノンフィクションともいえるまったく新しいドラマに息吹を与えてくださったのは、前田敦子さんをはじめとした出演者の方々。当事者にとっては深刻なひきこもりの体験をあえて軽妙に語る岡田さんの脚本を、前田敦子さんは絶妙なバランスで演じていただきました。細かい心の機微や葛藤を透明感のある表情や声で、“坂田安喜子”に命を与えてくださったのです。maeda_04.jpgまた音楽を手がけた橋本由香利さんは、歌謡曲やポップスを中心としたJ-POPやアニメ、ゲームの音楽など幅広く活躍するクリエイター。軽快でポップな音楽で岡田さんの世界観や秩父の風景を、より奥行きのあるものにしていただきました。
それぞれの世界で第一線に立つトップクリエイターたちの競演によって生まれた“坂田安喜子”の学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで。お楽しみいただければ幸いです。


★放送予定→番組情報はこちら
【BSP】9月1日(22:00~23:29
『学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで』

藤並 英樹(ふじなみ・ひでき)

【コラム執筆者】
藤並 英樹(ふじなみ・ひでき)

NHK制作局ドラマ番組部ディレクター。これまでの演出は、大河ドラマ「おんな城主直虎」・連続テレビ小説「とと姉ちゃん」・特集ドラマ「紅雲町珈琲屋こよみ」ほか。