BSトピックス スペシャルコラム
スポーツ
2017年05月01日

"シンプルだけど奥深い"スポーツクライミングの魅力を発信したい ~BY 古屋吉雄

スポーツクライミング2020年の東京オリンピックの正式種目に決まりました。
「壁を登るスポーツ」こう言ってしまえば、シンプルそのもの。誰もがどこかで見たことがあると思いますが、スポーツ競技として観戦した人はまだ多くないのではないでしょうか。


2016年から、BS1でスポーツクライミングの世界最高レベルの大会「ワールドカップ」の放送を始めています。1年かけてクライミングのいろはを勉強しながら、この競技の醍醐味や魅力を伝えようとしてきましたが、常に感じているのが、シンプルに見えて奥が深い点です


もともとスポーツクライミングは自然の岩を登るロッククライミング、その中でも器具の助けを借りないフリークライミングがルーツです。ホールドと呼ばれる突起物をつけた壁を登っていく競技です。

速さを競う「スピード」、1回きりのトライで高さを競う「リード」、複数の壁を登った数を競う「ボルダリング」の3つの種目があります。

このボルダリングで日本人選手の活躍が止まりません。国別ランキングでは3年連続世界1位2016年間総合成績でも男子は1位2位、女子も2位が日本人なのです。

なぜ強いのか、体重が軽く器用な日本人に会っているからという人も多いのですが、愛好者が増え、選手層が厚くなったことも指摘されています。


実際にクライミングジムも急増、全国で500ヶ所近いといわれています。


このボルダリングですが、ダイナミックな動きが特徴で、課題に飛び移る「ランジ」という技など、自然のロッククライミングでは考えられない動きです。

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【楢崎智亜選手のランジ】

紹介した楢崎選手は、体操競技からクライミングの世界に入った選手で、2016年は大活躍、年間総合ランキングで世界1位に輝きました。

ワールドカップに出場する選手は身体的にも超人的な人ばかりですが、筋力や体力だけでは壁を攻略できません。そもそもボルダリングの大会では毎回全く違う壁に挑みます。この壁のことを課題といいますが、その設計をするのがルートセッターと呼ばれる人たちです。選手の力量を考えて、全員が登れる簡単な課題ではなく、かといって誰も登れないほど難しくしないように考えて課題を作ります。

その際に、こう登れば攻略できると考えながら設計します。


しかし選手は事前に課題を見ることができず、試合の直前に4つの課題あわせて8分間のオブザベーションの時間で課題の攻略法を考えなければならないのです。
まさに選手とルートセッターの知恵比べでもあるのです。

また他の選手が登っている様子を見る事もできないため、選手によって登り方も様々でその違いをチェックするのも競技を楽しむポイントなんです。

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【選手によってこんなに登り方が違う】

ヨーロッパアジアアメリカと世界を転戦するスポーツクライミング ワールドカップが1年に1度、日本でも開催されます。
今年は初めて東京都八王子市の総合体育館「エスフォルタアリーナ」で5月6日から7日に行われます。

これまでは、公式映像を編集して大会の2週間後に放送していましたが、日本人のメダルラッシュも期待される地元での大会なので、現場で実況解説をし、大会終了後2時間あまりで、とれたて映像を放送します。
レジェンドといわれる日本のトップクライマー 平山ユージさんやルートセッターの解説を交え、会場の熱気をお届けします。

実況を担当する横井健吉、伊藤慶太アナウンサーも気合十分。
NHKのボルダリング研究会に参加し自らボルダリングを体験その経験も実況に生かしたいと思います。

0426-03.jpg【ボルダリング研究会の様子】

ボルダリングの日本人選手は若い選手も多く、3年後の東京オリンピックの活躍も期待できます。皆さん連休後半にボルダリング観戦を楽しんでみてください 

 

 

放送予定

クライミング・ワールドカップ 2017「八王子大会」

[BS1]5月7日(日)女子)午後7:00~7:50(男子)午後8:00~8:49

古屋吉雄(ふるやよしお)

【コラム執筆者】
古屋吉雄(ふるやよしお)

NHKエンタープライズ 国際番組・エグゼクティブプロデューサー。平成3年NHK入局。主に朝のおはよう日本などの報道番組を制作。去年夏からNEPに出向。現在サーフィン以外にスポーツクライミングやエアレースを担当。100キロ越えのボデーのため、水泳やダイビングなど体重を感じないスポーツを愛好。ボルダリング挑戦時は重力に完敗しました。