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スポーツ
2016年07月26日

"波と対話し、波とひとつになる"人生の縮図とよく言われるサーフィンの奥深い魅力を伝えたい ~サーフィン・チャンピオンシップ・ツアー2016~ BY 古屋 吉雄

サーフィン2020年東京オリンピック追加種目候補となっています。
しかし、スポーツとしての楽しみ方を、よく知らない人は多いのではないでしょうか。
そんな人におすすめの放送が、今年の春から始まっています。それがWSLサーフィン・チャンピオンシップ・ツアー通称CTです。これは世界36人のトップサーファーが、最高の波が立つ世界11のビーチを転戦してワールドチャンピオンを競うものです。

何を競うかといいますと「」です。サーフィン競技は技を競うスポーツなのです。ただ体操やフィギュアスケートのように、技の基準点はありません。技の難しさ組み合わせスピードパワーなど総合して10点満点で採点されます。つまり、かっこいい技を豪快に決めてジャッジにアピールしたものが勝利をつかみとれるんです。

その世界最高の技は、本当に驚愕の世界。自分の背丈の何倍もの大波を切り裂くようにターンを決めたり、チューブと呼ばれる波のトンネルを波と追いかけっこをするように駆け抜けていったり、とにかく見るだけでスカッするスポーツです。

海に囲まれた日本には100万人近いサーフィン愛好者がいるといわれています。しかしCTツアーに参加できる人は、これまでいませんでした。その壁を破ったのが、カノア五十嵐選手18)です。

KanoaIgarashismile.jpg笑顔がさわやかな18歳アジア人として初めて今年CTツアーに参加しているのです。カノア選手の両親はサーファーで、いい波を求めてカリフォルニアに移住。カノア選手もなんと3歳からサーフィンを始めたといいいます。そして、アメリカのサーフィン大会で好成績を収め続けて、CTへの切符をつかんだのです。サーフィン界のまさに次世代の星です。そのライディングは繊細で美しいと評判です。

KanoaIgarashiRaiding.jpg とはいっても、世界の壁は厚いのも現実です。CTツアーは第1ラウンドから決勝まで8つのラウンドがあります。つまり優勝するには8つのラウンドで行われる試合(ヒート)を勝ちぬく必用があります。参戦1年目のカノア五十嵐選手はこれまで第3ラウンドで敗退することが多い状況です。

その壁のすごさを少し紹介しましょう。
この写真に写っているのが、ポイントランキングトップオーストラリアマット・ウィルキンソン選手。後ろの波がトンネルのようになって、追いかけてきているように見えませんか、これがチューブライドと呼ばれる高得点につながるライディング。後ろから追いかけてくる波を、なんと体でスピードを殺してギリギリまでチューブに入り続けます。テクニックだけではなく勇気も試されてようですね。

Wilkinson.pngそしてもう1人紹介しましょう。ブラジルガブリエル・メディーナ選手です。
写真を見るとサーフボードがかなり飛び出していますね。そう、彼はエアリアルという空中に飛び出して回転などする技を得意としているんです。時には5人のジャッジが全員10点満点を出す神業を見せてくれることもあります。

GabrielMedina.pngこうした世界のトップ選手、今22歳前後の人が多いんです。カノア五十嵐選手はまだ18歳。東京オリンピックの年にちょうど22歳、このまま世界の海で経験をつんでいけば4年後が本当に楽しみです。

8月2日に届けするCT第5戦フィジーは、世界屈指の巨大なチューブが見られる場所。今年も世界最高峰のサーファー達のチューブライド祭りになりました。カノア五十嵐選手も大チューブを決めてくれました。その舞台はきらめくような南太平洋の紺碧の海。まさにサーフィンの醍醐味が楽しめる戦いになっています。ぜひごらんください。

 

放送予定
サーフィン チャンピオンシップ・ツアー2016 第5戦 フィジー
[BS1] 82日(火) 午後7:00

古屋吉雄(ふるやよしお)

【コラム執筆者】
古屋吉雄(ふるやよしお)

NHKエンタープライズ 国際番組・エグゼクティブプロデューサー。平成3年NHK入局。主に朝のおはよう日本などの報道番組を制作。去年夏からNEPに出向。現在サーフィン以外にスポーツクライミングやエアレースを担当。本人は長年ダイビングや水泳を愛好、体重が0.1トンを超えているため地上スポーツには不向きに。