BSトピックス スペシャルコラム
ドキュメンタリー
2017年08月04日

72年たっても変わらない「大切な人への愛」を感じてもらいたい~by駒井

あるオークションサイトで、太平洋戦争中に戦場と故郷を結んでいた軍事郵便」という手紙が売られていることを知り、番組の取材が始まりました。
調べていくと、その中に、アメリカ軍に押収され故郷に届かなかった手紙が存在していることがわかりました。

手紙の宛先人は、兵士の方にとってどんな存在だったのだろうか?戦後をどう生き、今どう暮らしていらっしゃるのだろうか?一通の手紙を配達することで、戦後生まれの私たちが「戦争」というものを、もう一度リアリティをもって感じることができるのではないだろうか・・・。
今回番組では、手紙を収集していたお寺の住職さんのお気持ちもあり、70年のときを超えて配達をすることにしました。
yuubin20170804-02.jpg配達はそう簡単なことではありませんでした。当然地域の人は入れ替わり、昔から住んでいる人はごくわずか。加えて道路の開発、区画整理・・宛先をたどってもたどり着くのは困難でした。また、戦没者の遺族会をたどっても、兵士の方と近い親族がもういらっしゃらないなど「72年」の時間の重さを感じる取材でした。

しかし、その困難を乗り越えさせてくれた存在がありました。取材に協力してくれた様々な地域の方々です。番組では紹介しきれないくらい、たくさんの人が「是非届けてあげてほしい」と番組の趣旨に共感してくれ、人脈を駆使して配達の協力をして下さいました。
「その名字だったら、あそこの地域かも知れないよ」とか、「病院の待合室で地元の人に声をかけてみたら、こんな情報があったよ!」とか・・・番組で紹介する「届いた手紙」はたくさんの方々が起こしてくれた奇跡でした。yuubin20170804-03.jpg

海外の戦地で無くなった兵士の方はおよそ240万人。その半数あまりの方々の遺骨は、未だ日本に戻ってきていません。手紙をお届けしたご遺族もまた、遺骨が戻らないままのご遺族でした。
手紙を届けることが、ご遺族にとって複雑な感情を呼び起こしてしまうかもしれないということも考えましたが、届けてみて分かったのは、あたりまえのことなのかもしれないのですが、「大切な人の死は、何年たっても心から消えない」ということでした。
だからこそ、戦争というものはどんな理由があったとしても避けないといけない・・・

戦後72年の夏大切な人と一緒に見ていただきたい番組です。yuubin20170804-01.jpg


★放送予定→番組情報はこちら
「戦後72年の郵便配達」
【BS1】8月6日(午後10:00~10:49

駒井 幹士(こまい もとお)

【コラム執筆者】
駒井 幹士(こまい もとお)

NHK京都放送局ディレクター。平成16年入局。制作局にて「プロフェッショナル仕事の流儀」「クローズアップ現代」など担当。去年夏より京都局に異動。京都の街を自転車で散策しながら「歴史」「文化」に触れる毎日です。