BSトピックス スペシャルコラム
ドキュメンタリー
2017年03月21日

月へ、夢を 〜人類初の月面探査レースに挑む〜 BY 佐藤 創我

「いま、目の前で人類の歴史が変わろうとしている?!」
そんな気持ちでひたすらカメラを回し続けてきました。

“月面探査レース”“賞金総額30億円”。まず、そのキーワードが凄くないですか?
さらに、そのレースが“今まさに開催されている”。初めて聞いたとき、衝撃を受けました。
レースの名前は「Google Lunar XPRIZE」。探査機を月に送り込み、500m移動させ、高画質の動画などを地球に送信。これらを最初に成し遂げたチームが優勝です。

日本からは「HAKUTO」というチームが参加しています。
私がHAKUTOを知ってカメラを回し始めたのは、2014年9月。それからおよそ2年半の密着取材です。
みんなホントに賢くて、ホントに面白い人だらけです。
なぜか常にお気に入りの石を持ち歩いているメンバーや、高校時代にバイクを爆音にしたくて空気の物理法則を先生に聞いたら教えてくれなくて中退しちゃった“優秀な元ヤン”というややこしいキャラクターのメンバーなど。「この人たちなら絶対に優勝してくれるんじゃないか?」そんな気にさせられます。

彼らが開発する月面探査機、見た目はただの、ラジコン…
なんですが、実はスゴい
月面は、なんと昼夜の温度差250℃以上、常に放射線が飛び交い、さらに特殊な砂で覆われていて走行が非常に困難、という過酷な環境なのです。しかも、月は38万キロも彼方。そんな未知なる過酷な世界に月面探査機を送り込み、さらに遠隔操作で正確に操縦しなければいけないのですから…。それはもう決してただのラジコンじゃありません。

さらに、お金も自分たちで集めてこないといけません。打上げには、1kgあたりなんと1億円以上もかかるのです!HAKUTOは10億円以上を集めようとしています。今でこそ「HAKUTO」という名前はテレビのニュースやCMでも見ることができますが、代表の袴田さんいわく「初めは1年もつ貯金もなかった」のだとか。みなさん考えてみてください。自分の周りに、「今は貯金ないけど、これから10億円集めて月面探査しようと思ってるんだっ。その為に会社も辞めたよ。」という友達がいたとしたら…。どういう感想を持つかは皆さんにお任せしますが…、ある海外チームの代表は、参加を決めたとき親に「アンタ、なんてクレイジーなこと言い出すの」と言われたそうです。

とにかくスゴいことをやってのけようとしている人たちです。
そして、そんな彼らに協力する力強い味方が、日本の職人たち!
ニッポンのモノ作りの力が、HAKUTOに注入されています。職人たちの、あの目ぢからだけでも、一見の価値ありです。
取材中に聞いたその道50年の鋳型職人さんの言葉「他は何も出来ない、これだけ」にはシビれました。

本当に多くの人からの協力を得ながらプロジェクトを進める彼らですが、当然多くの困難が降りかかります。果たして本当に実現するのでしょうか?!打上げの予定は今年12月28日です。
番組では、月面探査機・最終フライトモデルの組み上げ開始までを追いました。(番組の最後の仕上げ中も編集室を抜け出して撮影。ギリギリまで新鮮な映像を入れています!)

本当に人類の歴史が変わるかもしれません。
チームに集結してきた彼ら、どんな夢を持って月を目指しているのか。
その夢は、月へ届くのか?

ぜひご覧ください!

放送予定

BS1スペシャル「月へ、夢を~人類初の月面探査レースに挑む~」

[BS1] 326(700750

佐藤 創我(さとう そうが)

【コラム執筆者】
佐藤 創我(さとう そうが)

グループ現代 ディレクター。今回の番組がディレクター・デビュー作。大学院では宇宙物理学を専攻していました。宇宙ってやっぱり面白い。