BSトピックス スペシャルコラム
ドキュメンタリー
2017年01月10日

タクシーという密室から見える 世界の現在 BY 大西 隼

一風変わったドキュメンタリー『地球タクシー』
2015年夏に放送したベルリン(ドイツ)にはじまり、台北(台湾)、ブエノスアイレス(アルゼンチン)、バンコク(タイ)、リスボン(ポルトガル)と、世界の街を旅してきました。
今月、2週連続でお届けするのは、 ロンドン(イギリス)と、上海(中国)です。

考えてみれば、タクシーというのは不思議な場所です。
きっともう二度と会わないであろうドライバーと、人生のつかの間を密室で共にする。
進む車の中、お互い前を向きながら。
だからこそ、交わせる会話がある。

それは日本でも外国でも変わりません。

ドライバーの不意の言葉から、世相の変化に気づいたり。
片言の英語で聞いた物語から、人生の機微を感じられたり。



今回ロンドンを旅したのは、熊坂出ディレクター。
ロンドンのブラックキャブのドライバー(通称”キャビー”)になれるのは、超難関の試験に合格した選ばれし者のみ。
ユーモアに溢れたキャビーたちは、「EU離脱」について持論を熱弁したり、Uber(新進のアプリ配車サービス)への恨み節を口にしたり。一方、移民のUberドライバーの撮影で見えてくる、それぞれの事情・・・。
さらにはスラムの現実にも触れ、ロンドンという街の多面性の真実を垣間見る思いです。



上海編は、重政みなみディレクター。
日本のメディアを警戒しながらも、徐々に心を開いていくドライバーたち。
語るのは、「日本への本当の思い」「一人っ子政策の後日談」・・・などなど。
列強諸国(日本も含めた)による占領を経てきた大都市・上海。
そこに生きる人々のたくましさと愛嬌に触れ、僕も上海という街と、上海に生きる人々を好きになった気がします。

そして、両編の撮影を担っていただいたのは、南幸男カメラマン。
街の記憶に触れるような映像美に、ぜひご注目ください。

人生は、偶然の出会いの積み重ね。
ようこそ、つかの間の、一期一会の旅へ。


放送予定
地球タクシー
[BS1]1月13日(金)夜9:00~9:49「ロンドンを走る」
[BS1]1月20日(金)夜9:00~9:49「上海を走る」

大西 隼(おおにし はやと)

【コラム執筆者】
大西 隼(おおにし はやと)

テレビマンユニオン所属。元科学者、現テレビマン(ディレクター/プロデューサー)。「地球タクシー」初回のベルリン編を演出。そのほか、NHKの番組では「欲望の資本主義 2017」「アナザーストーリーズ (田中角栄編)」「ニッポンのジレンマ」「大心理学実験」などの演出を担当。