BSトピックス スペシャルコラム
ドキュメンタリー
2016年04月22日

「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿」コトハジメ BY 北村卓三

数式とか化学式とかを見ているとすぐ眠りに落ちてしまう――。
私は、そんな生っ粋の文系人間です。
なのに、科学史の闇の部分に光を当てる番組を作ろう! なんて無謀なことをいったいどうして思いついてしまったのか? 誰も止めてくれなかったのか? 今は、後悔しかありません。

160422_frankenstein2.jpg……もちろんウソです! あ、根っからの文系人間はホントです! ただ、昔から科学だとか未来だとか聞くとワクワク、ドキドキ、そしてちょっぴりハラハラしてきたものです。
どうしてだろうと考えてみました。子どもの頃に人類が月に降り立ったのをテレビで見て大興奮したこと。相前後して駄菓子屋さんの棚から色つきジュースが姿を消し、どうやらチクロというものが使えなくなったらしいと聞いたこと。猿の惑星という恐ろしいSF映画を観て夢でうなされたこと。高校生の頃、試験管ベイビーが誕生したと知ってビックリしたこと。社会人になった年にチェルノブイリの原発事故が起きたこと……。

こうしてみると、随所で科学にまつわる大きな出来事に出くわしてきたなあと思います。そして、小さな頃はバラ色に見えていた科学や未来が、どうやらそれだけじゃないみたいだと感じるようにもなっていました。
そして、輝かしい成果がつづられている正史としての科学史ではなく、間違いだったり不正だったり非人道的だったり、闇に埋もれた事件を掘り返してみることで科学の正体に近づけるかもしれない! と考えました。

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番組は大きく3つのパートから成り立っています。

まずは、ナビゲーションパート
ナビゲーターは番組のカラーを決定づけるたいへん大きな存在です。科学の力、鋭さ、そして同時に危険な香りを立ち姿や表情だけで表現できる方に、と考えたときにひらめいたのが吉川晃司さんでした。俳優として、そしてミュージシャンとして乗りに乗っていらっしゃる吉川さん、もともと大の歴史好きとあって、科学「史」に興味を持ってくれたのか、超忙しい中を快く引き受けてくださいました。吉川さんは番組中のビデオのナレーションも務めてくださいます。クールで沈着かつ情感豊かな吉川さんのナレーションも大きな聴きどころです。

160422_frankenstein1.jpgそして、吉川さんのナレーションがさえ渡るビデオパートは、取材部分はまるで海外のドキュメンタリーを見ているようなスタイリッシュな画面、そして何と言っても実写とイラストアニメを組み合わせたユニークな再現シーンが見どころです。イラストはtauchi sakuraさんが毎回書き下ろしてくださいます。くすんだようなトーンと細密な描写が醸し出すダークなイメージは、まさに「フランケンシュタインの誘惑」にぴったりです!

160422_frankenstein6.jpg最後は、トークパート。毎回、科学者をお招きしてビデオについて徹底的に語っていただきます。評論家やジャーナリストではなく科学者自身当事者としてお話をうかがうことで、私たちの知らない科学者ならではの発想にふれ、科学の最前線の現場を感じたい、それをそのままお見せしたいと考えているからです。毎回、スリリングなお話が聞けることを私自身、大変楽しみにしています。

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これまで2015年3月「永遠の命 “不死の細胞”狂想曲事件」、7月「愛と憎しみの錬金術 毒ガス」、11月「放射能 マリーが愛した光線」と放送してまいりました「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿」
4月から晴れて毎月最終木曜日夜9時、レギュラー番組として放送することになりました。
ぜひご覧くださいませ!

北村卓三(きたむら たくみ) 

【コラム執筆者】
北村卓三(きたむら たくみ) 

NHKエンタープライズ情報文化番組エグゼクティブ・プロデューサー。座右の銘は「人生下り坂最高!」「とうちゃこ」。