FILE063:「ロボットの虫」
2009年2月24日放送
三浦宏文(ロボット工学)
ロボット工学のパイオニア、三浦宏文。彼がロボットの世界に身を投じた1970年代後半は、産業ロボットの全盛期。しかし、三浦は、独自のロボット開発に没頭する。それは「人間らしい動き」をする人型ロボットだった。そして三浦は、今から26年前、世界で初めて動的二足歩行ロボットを発表、世界を驚かせた。さらに「けん玉ロボット」や「コマ回しロボット」などを次々と開発、人型ロボットの権威として学界をリードしてきた。
しかし、やがて三浦は、人型ロボット作りに限界を感じるようになる。「しょせん人間のプログラム通りにしか動かない」。そんな折、ゴキブリが人間に見つからないように餌にありつこうとする姿を目撃。三浦は、ゴキブリの動きに、それまで手がけてきた人型ロボットにはない強い「意志」を感じ取ったという。以降、三浦は、さまざまな昆虫を規範にしたロボットを研究開発。昆虫ロボットの可能性を追求している。
人間には遠く及ばない数億年にわたる進化を遂げてきた昆虫。単純だが効率を極めたそのカラダの仕組みに学ぶことは多いと語る三浦が、爆笑問題とともに、ロボットの未来について語り合う。
三浦宏文(みうらひろふみ)
今回の対戦内容
三浦宏文(みうらひろふみ)/爆笑問題(太田/田中)
太田:人間は好き勝手やりますよね。昆虫や動物と違って、本能と違うように見えることを。つまり動物的な本能と違うように。
三浦:考えてね。
太田:それが文明ですよね。
三浦:そうです。おっしゃる通り。文明、うん。
太田:で、その文明っていうことを思うんだけど、もうちょっと何て言うんだろう。遠くから眺めると、文明ですらその理屈で言うとですよ、最初からそういうことをするために、そういうことをするように植え付けられた本能。要するにそういう身勝手な行動をすることも含め、戦争も含め、全部それは本能っていう言い方もできるじゃないですか。
三浦:できると思う。だから資本主義というのはそうじゃないですか。
みんな人間それぞれ一人ひとりが、自分がお金を儲けたい、お金を持ちたい、金持ちになりたいと思って、行動するような世界、社会にしておけば、その神の手、インビジブルハンドという言葉がありますね。インビジブルハンドが働くから、社会として秩序が保たれると。
太田:そうすると、その昆虫と人間が、そういう考えで言うとね、先生がさっき言ったように、昆虫は意志がない。人間は意志があるっていうその区別をすることすら、ばかばかしいような気がするわけ。
先生の対戦感想
三浦宏文(みうらひろふみ)
いやあ、楽しかったですね。お二人はね、あんなにその色んなことを考え続けている方だと思わなかったから、私自身が考えていたことを、やっぱり日頃考えていらっしゃるんですね。だから何か共鳴、
共感したというかな。色々聞いてもらったことは嬉しかったし、答えたことに関して的確にそれに対する疑問は問いかけてくれたしね。
非常に、お互いに反応が良かったと思いますけどね。
爆笑問題の対戦感想
田中:すごく優しい、いい感じの先生で。話の一番テーマっぽくなっていた「人間だけ特別なのか、他の昆虫とか動物はどうなのか?」って、あの辺って結構、僕も猫を飼っているから考えたりすることが多いんですけどね。何が意志なのか、いわゆるそういう本能的なものでね、プログラミングされている、ただそれに対して生きているだけで。でも、そこは人間だけ、線を引くのは何か違う気がしていたんですね。だから太田さんも言っていたけど、もっと俯瞰から見たら、人間も文明も神がいるとしたら、そのプログラミングだろうっていうほうが、何となく合点がいくというか、そうも思うし。難しいんですよね。本当に俯瞰から見たら、人間も昆虫も一緒だろうという考え方のほうが、なんかいきやすいんですよね。先生の言っていることもすごく分かる気もするんですけどね…。楽しかったです。
太田:子供みたいでね、先生。昆虫好きな人っていうのは、子供みたいな人が多いですね。養老さんも昆虫大好きだよね。昆虫の話を始めると、何か小学生みたいな感じになって、先生もすごく無邪気な感じがして楽しかったですね。
キャラクターというかね、そういうのが楽しいなと思いましたね。
ディレクター観戦後記
とても優しい人柄で、少年のような無邪気さを見せる学長。
けれどもやってる事は、ハイブリッド昆虫とか、ちょっとビックリするようなものを作ったりと、そのギャップが面白かったです。
生き物の「意志」の問題については、個人的に、小さな頃から要所要所で疑問に思っていた事でした。なので、「ゴキブリに意志はない!」と学長が言った時は、長らく疑問に思っていた事についてやっと答えを知れた、という喜びを感じました。
ロボットって、とても無機質なものに見えますが、作り手のモチベーションって、案外人間くさいところにあるんだ、そんな事も思った取材でした。
プロデューサーの編集後記
少年時代、夏休みに朝早起きして、カブト虫やクワガタ虫を捕りに行きました。
木に蜜を塗った罠をしかけたり、公団住宅の電灯に群がるのを待ち構えたり。採集した虫の動きを見ていると、平気で何時間もたっていました。カマキリがセミを食べているところなんて、至近距離で見るとまるでSF映画の一場面です。虫を、ロボットと生き物の中間みたいに感じて、不思議すぎて目が離せないのです。
そんなことを思いながら、三浦教授の「ハイブリット昆虫」を見て、ぶっとびました!
昆虫のセンサー機能のみを生かし、ロボットと合体させると、勝手に動いたり、メスを追いかけたりする。すると、「昆虫がロボットのように」見えるのではなく、「ロボットが昆虫のように」見える!そして、それを見る人間は、ロボットに意志があるのだと思いこんでしまう・・・・
じゃあ、意志って何なんだ? 自由に動くロボットと生き物の違いは?・・・・存在がテツガクするハイブリット昆虫は、子どものころ、虫を飽かずに見ていた頃と同じような気持ちを思い出させました。
今の子供はもう、あんまり行かないんだろうなあ、・・・虫捕り。
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