FILE045:「128億光年の宇宙見物」
2008年8月26日放送
林正彦(天文学)
ハワイ島、マウナケア山頂。そこに日本が誇る巨大反射望遠鏡、「すばる望遠鏡」がある。観測史上の記録を更新する128億8000万光年遠方にある銀河を発見するなど、世界的な発見を続けている。宇宙の遥か彼方からやってくる極めて微弱で、かすかな光を集めるその鏡は、直径8.2m。世界最大の一枚鏡を持つ望遠鏡だ。天文台の所長としてそのすばるを率いるのが、林正彦教授。専門は星の誕生のカラクリを研究すること。世界で初めて、星の誕生の観測に成功するなど、世界第一線の観測を続けてき天文学者だ。
星を見ると、ロマンを感じることが多い。すばるが捉えた最新の画像を見ながら、宇宙の謎について語りつくす。
また今回は、ハワイにあるすばる望遠鏡とリアルタイムで結び、「今まさにすばるが見ている画像」を見ながら、すばるの力を堪能する。
林正彦(はやしまさひこ)
今回の対戦内容
林正彦(はやしまさひこ)/爆笑問題
太田:僕はこうやってワーッと先生に言う。先生もワーッと来ますよね。これはお互いに発散している。心の中にある何かを。どうしてもそれがビッグバンと同じように思えてしまうんだけど…。何もなかったはずのところから、こうやってかかわることによって、バババババっと出てきて、ボンと出ている。
田中:おまえ、岡本太郎にかなり近くなっているよ。
林:でもそれを、何で爆発と言わなきゃいけないんですか。芸術は爆発だから爆発なんですか?
太田:違います。爆発っていう言葉が、しっくり来るんだよね。
田中:それは、言葉に関して…。
太田:言葉は何でもいいです。
林:これはお互いの考えをぶつけ合っている。
太田:そうなんです。その通りなんです。
林:ディスカッションである。
太田:いや、その通りなんです。その通りなんです。ただし、ディスカッションじゃ済まないところがあって、僕には。だから、爆発とは言わないけれども、誕生し続けているみたいなこと。誕生と、ビッグバンが、おれには同じものに思えるの。
林:…うん。
太田:つまり、今まさにビッグバンの最中ですっていう感じ。
林:それは…うん…。
田中:本当にお困りですよ。
爆笑問題の対戦感想
田中:とても話しやすい先生でした。
でも天文学者って、あまりイメージがわきませんよね。普通に考えると、ハワイで住んで、ずっと星を見ていて、みたいなことを考えると、確かに「いいなぁ・・・」という感じになりますね。ただ、仕事で研究するんだと、そんなに楽しいことばかりじゃないんでしょうけれど。
また今回も太田がワーッと言うのを、先生が何とか理解しようとしてくれているように思いました。
太田:太田:楽しかったですね。やっぱり、ああでもない、こうでもないって・・・。答えの出ていない分野だから自由に話せますね。
でも、僕は何か、言葉っていうのは、いつも足りないなっていう事を常に思います。今回で言うと、爆発っていうものじゃ表現しきれない何かなんですよね、言っているのは。本当に、いつも話していると、学者に限らず、人と話していて自分の中で言葉が見つからないことがすごく多いんですよね。
それともう一つは、特にこの宇宙の話は、相対性理論なんかもそうなんだけど、こっちは自分の生活を基本にして想像するけど、そこからだと出発出来ない話が多いんですよね。それは先生も、何とか分からせようとしてくれているっていうのは分かったけど、なかなかやっぱり難しいですよね、ベースが違うから…。
それが難しいですよね。
ディレクター観戦後記
収録中に、ハワイから今まさにすばる望遠鏡が見ている画像が届きました。マウスを右クリックすれば、矢印がある場所がアップになります。
林先生はこのことをご存知なく、スタッフから「右クリックで…」と教えてもらうという一コマがありました。
実はあのシステムは、収録の日が更新後の初稼動日でしたので、ご存知ないのが当然だったのです・・・。
しかしここで林先生は全く恥ずかしがることなく、画像がアップになることやそれで見えてきたものに「ほお、すごい」と驚かれました。
私は思わず笑ってしまいましたけれども、同時に世界を相手に戦う研究者の一面を見せていただいた気がしました。
わからないことはわからない。見たことないものが目の前に現れたら楽しむ。そこに恥じることなどない…。
自分もそういう人間でありたいと、強く思った瞬間でした。
プロデューサーの編集後記
「すばる」の映し出した美しい星々の姿を堪能いたしました。
太田さんがしきりに 林先生のことをうらやましがっていましたが、その気持ちは本当によくわかります。もちろん星の姿を捉えたり、謎を解明するためには、多大な努力を必要とすることは容易に想像できますが、観測の最前線に立って星を見ることが出来るのは、この上なく幸福なように思えました。
今回、特に驚いたのは、1週間のうちに超新星爆発が2つや3つは現れるというお話でした。
宇宙というもの、実はものすごく動きのある世界だったのですね。次々と星が消え、次々と生まれていく。
本当に生命のような躍動感に満ちています。
そして「すばる」はそうした宇宙の姿を明らかにし、さらなる不思議な現象などを捉えていくのでしょう。
すると林先生の精神に またまた火がついていくのだと思いました。
「あれは何だと思いませんか? 星を見て。あれは何だと思う。それはやっぱり科学の基本だと思うんですよね。人間の非常に根源的な、知的な探究心をですね、最も強く向かわせるものが天文学でないか」(番組より)
好奇心が謎を解き、技術の革新が新たな問題を提起する。こうして私たちは、また新しい宇宙の美しさを見せていただくことになるのだと感じました。
KEYWORD
宇宙
未来

