FILE006:「教授が造ったスーパーカー」
2007年7月6日放送
清水浩(環境工学)
最高370km/h、しかも1Km走るのに必要なコストはたったの1円。世界最速の電気乗用車「ELIICA(エリーカ)」だ。開発したのは慶應義塾大学の清水浩教授。環境問題の専門家にして根っからの車好き。大学の研究室で、高性能な電気自動車を1台丸ごと造ることができるのは、世界広しといえど清水教授の研究室だけだ。
電気自動車の時代になれば、人類が排出する二酸化炭素の20%、消費する化石燃料の40%を減らすことができるという。
しかしながら、電気自動車の実用化にはクリアしなければならない課題が多い。その困難な道のりに知の力で立ち向かうのは、清水教授とタッグを組む、プロジェクトリーダーの吉田博一教授。
知の力で脅威のスーパーカーを造り上げ、未来社会を描き出す研究の現場に、爆笑問題が乗り込む。
清水浩(しみずひろし)
清水浩 のホームページはこちら。
http://www.eliica.com/ (NHKサイトを離れます)
放送内容が書籍になりました。詳しくはこちら
http://www.nhk.or.jp/bakumon/book_dvd/
爆笑問題の対戦感想
田中:電気自動車って、何となく遅くてかっこ悪いっていう先入観みたいなのがあったんですけどね、あんなかっこいいとは思わなかったですね。それから加速。絶叫マシーンみたいな加速度。本当になかなか出来ない体験という感じでした。すごい楽しかったですね。
太田:今までの研究室とか、頭の中で考えているようなことっていうのは、それはそれで面白いんだけど、ああやって実際に実現したもの、具現化したものがあって、加速でワーッと行くっていうのを体感するのは、頭の中だけの研究が世の中に広がっていくという感じがして、すごいダイナミズムを感じましたね。
それから例えば倫理とか道徳とか、今回であれば環境ですね。そういうのっていうのは、どうしても不格好なんですよね。そういう衣というのは、やっぱり単なる見え方の問題で、ファッションでもそうじゃないですか。昔かっこ悪かったものが、今ちょっと見方を変えるとかっこよくなるみたいな、そういうことって結構大事だなって思いましたね。
田中:あと吉田先生が、すごい面白い素直な人でしたね。
研究するのが清水先生で、世の中にどうやって役に立てるかっていうのを考えて実行に移すのが吉田先生みたいな感じがしましたね。
太田:まあ、役に立つっていうのは、ああやって生活が便利になるとか、それだけじゃないからね。思想が役に立たないかって、別におれはそうは思わないから。
ディレクター観戦後記
清水先生は、ELIICAを見学に来た人には、原則、なるべく運転してもらうようにしていらっしゃいます。今回、爆笑問題さんは後部座席での試乗となりましたが、私は、取材のために体感、運転もさせていただきました。清水先生は、「乗ってみれば分かります」とおっしゃるのみ。正直・・・かなり複雑。
まず、他には存在しない貴重なものであること。もし何かあれば・・・あぁ怖い。
続いて、未知の乗りものであること。操作に対してどんな反応をするか、想像すらつきません。特に加速です。普通の(?)スーパーカー以上の、まさに異常な加速をすることは知っておりましたので、アクセルをどの程度踏んだらいいのか、全く見当がつきません。ましてや直線が140mほどしかない、狭い敷地内です。止まれなければ・・・あぁ怖すぎる。
すると、「私有地なので、大丈夫。とりあえず全開にしてください」と清水先生。・・・ムリです。怖いので・・・。
ここで簡単にスペックをまとめておきますと、8輪駆動車で馬力は800馬力。普通の車の5倍程度です。重量は2.5トン。普通の車の2倍程度です。単純に考えると、普通の車の2.5倍の加速をすることになりますが、モーター駆動のため、発進直後から最大加速をします。つまり、2.5倍どころではない加速をすることになります。
周回路を二周しても良いとの事ですので、一周目はアクセルを十分の一程度しか踏まず、ブレーキの能力を探ることにしました。二周目で踏めるところまで踏むつもりです。スタートしてまず気づいたことは、重さを感じないことです。といいますか、非常に低重心なので、思いのままに曲がれそうです。モーターやバッテリーなどの重量物がとても低い位置にあるためでしょう。アクセルをちょっと踏んでみて感じたのは、右足の感覚(アクセルを踏む量)と加速感が、極めて一致することです。エンジンと違い、パワーが出るまでの時間差がないためでしょう。続いてブレーキ。8輪で止めますので、相当な安心感があります。これならかなりのスピードが出せそうです。
ということで、二周目はかなりアクセルを踏みました。それでも80km/h程度しか出せませんでしたが、ELIICAがクルマ好きの感性に「面白いだろ〜」と強く主張してくる車だと感じました。
清水先生の「逆転の発想」の産物といえるELIICAですが、やはりプロジェクトリーダーの吉田先生なしには成立しません。現時点では、ELIICAが庶民の手に届く価格で販売されるのは不可能です。バッテリーだけで2000万円もするからです。しかしそのバッテリーの値段は、大量生産で下げられるはず。ならば、バッテリーの会社を作ればいい・・・と、電気自動車が走り回る「未来」を実現したいという夢を抱き、吉田先生は毎日走り回っていらっしゃいます。
「工学」の清水先生と「実学」の吉田先生のお二人から生まれた娘?がELIICAです。あの加速感は、まったく違うタイプのお二人の出会いがあってこその傑作と、実感した次第です。「まったく違うタイプ」の出会いで生まれた傑作=爆笑問題さんお二人の喜びようにも加速が感じられた午後でした・・・。
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