防砂林
懐かしい七夕囃子が響く中、私は防砂林で風の重さを感じていた。
【NHK FM】
2014年6月28日 午後10時~午後10時50分(全1回)
【出演者】
渋谷はるか 金田明夫 日下由美 藤本喜久子 山谷初男
山崎直樹 神尾晋一郎 今立善子 友川カズキ
近藤心太 大川春菜
【作】
加藤正人
【音楽】
谷川賢作
【スタッフ】
演出:小見山佳典
技術:加村武
音響効果:林幸夫
【あらすじ】
秋田県能代市。かつて木都と呼ばれ、林業で栄えた街。港近くに広がる「風の松原」は、植林によって作られた日本一の防砂林である。
彩子(22)は、父・健治(52)の故郷である能代へ向かっていた。祖父が脳梗塞で倒れ、意識不明の重体に陥ったのだ。父は母とは10年前から別居生活をしている。無頼派のカメラマンとして、一時はもてはやされたが、今は個展をしても話題にもならない境遇だ。彩子は家庭を崩壊させた父を憎んでいる。その父と能代で会わねばならないのかと思うと気が重かった。風と松の音が渾然となってざわめき、不思議な空間を作り出す防砂林を舞台に、就職を前に揺れ動く主人公と父との葛藤を描く。