おはよう日本 シリーズ 絆はじめよう(1)「里親がつなぐ絆」 2010年1月12日(火)放送 取材:熊本局 山室桃

社会が急速に変化する中、家族、地域、そして職場などで、人と人との絆が失われつつあると言われています。こうした中、新しい絆を育てようという日本各地の取り組みについて、「絆はじめよう」と題して、特集しました。
1回目のテーマは、「新しい親子の絆」です。

児童虐待や育児放棄などによって、親から手放され、保護が必要とされている子どもの数は、去年2月の時点で、全国で4万人にのぼっています。こうした中、愛知県の児童相談所は、生まれて間もない子どもを、里親に引き取ってもらうという全国でも例のない取り組みを行っています。子どもの置き去り事件に危惧を感じた愛知県の産婦人科の呼びかけで始まりました。

親が子どもを手放した場合、児童相談所は通常、乳児院などの施設に預けます。その後、新しい家庭に養子として託すことを目指しますが、子どもの年齢が上がると受け入れ先が見つかりにくく、ほとんどの場合、施設で育つのが実情です。そこで、愛知県の児童相談所は、生まれてすぐの方が、実の親子により近い関係を作りやすいとして、新生児のうちに新しい家庭に託しています。生まれてすぐの子どもを里親に引き取ってもらうと、その後、生みの親の気が変わってしまうといったトラブルも少なくありません。こうしたトラブルを防ぐため、愛知県では、生みの親と里親の両方で取り決めをしています。年に十数組の新しい親子を結び付けていますが、トラブルになったケースはほとんどありません。取材中にも、結婚できない相手の子どもを妊娠した10代の女性が、「経済的に自立しておらず、1人で育てるのが難しい」として、児童相談所を訪れていました。女性は児童相談所と何度も相談を重ねた上で、生まれてくる子どもを里親に託すことを決めました。

子どもを引き取った原田麻衣子さん(仮名/29歳)。生後1か月で、大輝くん(仮名/1歳)を養子として、受け入れました。ミルクをあげたり、おふろに入れたり、生まれて間もない時から、出産した母親と同じ体験をしてきました。生まれてすぐに引き取ることで、自然に親子になることができたと原田さんは感じています。

児童相談所では、里親に対し、親子の信頼関係を深めるためにも、引き取った子どもが10歳になるまでに養子であることを伝えるよう、すすめています。里親の中には、戸惑う声もありますが、取材に応じてくださった石井佐知さん(仮名/39歳)は、生まれて間もなく引き取った君一くんが4歳になった誕生日に、養子であることを告げました。真実を伝えるまでは、悩み続けていましたが、今では、本当の親子として、一歩踏み出せたと感じています。