働く人を支える負担の覚悟を 中島厚志氏

写真 中島厚志
東京大学法学部卒業後、日本興業銀行に入行。産業調査や国際営業に携わり、パリ興銀の社長などを歴任し、現在は「みずほ総合研究所」チーフエコノミスト。フランスに12年間住んだ経験から、フランスの社会保障や家族政策に詳しい。

中島さんは、企業に代わって政府が働く人を支える役割を担う時代になったと指摘。こうした認識を国民全体で共有した上で、必要な財源の負担を受け入れる覚悟をすべき時期に来ていると主張する。

-今回NHKとして、“35歳”、それ以下の若者が、希望を持って将来を迎えるために必要なこととして、安心して働ける、そして安心して家族を持ち、子どもが持てる、そのための政策が必要なんじゃないかということを提言しようと思っています。こういう点に絞り込んで提言をすることについて、どうお考えでしょうか。

いま日本の経済自体ですね、停滞しているんですけど、金融危機の話は別にして考えても、内需が停滞している、その1つの背景としては、賃金が上がらない、雇用が大きく増えるような状況でもない、というのがあるわけですね。
ただ、その裏には、今までの日本社会というのは、企業が雇用を支え、個人の能力開発をしてきたという面があったのが、この10年とか15年の経済の厳しい状況を経てですね、だんだんそういうことをしていく余力がなくなってきた、というのがあると思うんですね。
したがって、本来であれば、その企業が支え切れなくなった部分を国が支援をしていく、すなわち今まで企業が、雇用をし、能力開発をし、あるいは住宅等の社会福祉的な面まで、厚生面での支援ということでやってきた部分を、国が肩代わっていかなくちゃいけない。それが全体として、成長戦略と相まって、日本の経済が成長をし、そこに雇用が生まれ、そういう下支えの中で、国がカバーをして、雇用が維持される、能力開発も進められる、ということになると思いますので、全体的な方向からいえば、やはり、いま日本に必要なのは、いかに雇用政策をやっていくかということだし、いかに家族政策をやっていくか。それは、企業の下支えが薄れた分、国がどうカバーするかということが必要になっているという意味では、おっしゃるとおりの方向だと思いますね。