放送内容

箭内道彦 町の隠れヒーローをエンターテインメントの力で表現

2019年8月4日(日)

今回の未来塾は、福島県出身のクリエイティブディレクター・箭内道彦さんが講師として登場!福島県南相馬市の高校生7人にエンターテインメントの力を伝えます。箭内さんが若者たちに出した課題は、「南相馬の復興を担う隠れヒーローを発掘しエンターテインメントでPRせよ!」。隠れヒーローって? エンターテインメントでPR? 悩みながらも課題に取り組む彼らが迎える発表の場は、「公開復興サポート」のイベントの舞台。果たしてどんなライブができあがるのでしょうか。

講師

講師

箭内道彦さん

クリエイティブディレクター

プロフィール

出会い
箭内さんは、塾生たちが通う相馬農業高等学校にやってきました。今回の塾生たちは、将来は地元で働きたいと考えている高校生7人です。そんな塾生たちにPRの達人・箭内さんが出した課題は、「南相馬の復興を担う隠れヒーローを発掘し、エンターテインメントでPRせよ!」。震災直後からライブや広告などで福島をPRし復興を後押ししてきた箭内さんは、8年が経った今の福島をPRするには、エンターテインメントのチカラが不可欠だと考えています。塾生たちは、南相馬の豊かな海と山にちなんで、「野菜チーム」と「魚チーム」に分かれました。隠れヒーローをエンターテインメントで表現する2ヶ月の始まりです。

隠れヒーロー探し 野菜チーム編
隠れヒーローを探しに野菜チームが向かったのは、学校の校庭。ここには学校を除染したときに出た土をつめたフレコンバッグという袋が埋まっていました。今年の2月から、掘り起こして仮置場に移す作業が進められています。野菜チームは、除染に携わっている人こそ隠れヒーローなのではないかと考えたのです。工事の責任者・渡部(わたのべ)さんに話を聞くことができました。渡部さんは、地元の建設会社の現場監督です。震災前は町の道路などを作ってきましたが、今は町の再建のために尽力しているといます。野菜チームは渡部さんこそ隠れヒーローだと強い手応えを感じました。

隠れヒーロー探し 魚チーム編
一方、魚チームはできるだけいろんな人に会って話を聞く作戦です。まず会いに行ったのは、学校で習っている伝統芸能の師匠。「相馬流れ山踊り」の師匠・早川さんと宝財(ほうさい)踊りの師匠・遠藤さんです。後継者不足に悩みながらも、伝統を絶やすまいと頑張っている師匠たちの思いを聞くことができました。続いて訪れたのは通学に使っている鹿島駅。駅員がいない無人駅なのですが、地元のボランティアたちが登下校時間に常駐し、見守り活動をしてくれています。「生徒たちが安心して駅を使えるのが喜びだ」というボランティアの話を聞き、出会ったみんなが町を支えていると感じた魚チーム。果たして誰をヒーローに選ぶのでしょうか。

中間発表①魚チーム
塾生たちは、自分たちが見つけた隠れヒーローを箭内さんに報告するため東京藝術大学にやってきました。始めにプレゼンした魚チームは、隠れヒーローをまだ一人に絞れずにいました。そこで考えたのは歌の歌詞の1番と2番で分けて、伝統芸能の師匠も駅のボランティアさんも両方PRする方法です。箭内さんに「1番2番……とあることで、南相馬にはまだまだ隠れヒーローがいるってPRできる。」とアドバイスをもらい、たくさんの隠れヒーローをPRする歌を作ることに決めました。

中間発表②野菜チーム
続いては野菜チームが、建築会社の現場監督・渡部さんについてプレゼンします。プレゼンが終わった野菜チームに、箭内さんは「渡部さんの特徴を話しながら似顔絵を描いてみて」と指示を出します。楽しそうに絵を描き終えた塾生に「この絵があることで渡部さんを好きになる入り口になる。しかも絵を描いている君達も楽しいでしょ」と、まずは自分たちが楽しむことがエンターテインメントの第一歩だと伝えました。
箭内さんは、両チームともまだ隠れヒーローの本当の魅力を引き出せていないと、追加取材するよう指示を出しました。

追加取材 魚チーム
魚チームは、宝財踊りの師匠・遠藤さんとカラオケに行くことにしました。共通の趣味で打ち解けようと考えたのです。ひとしきり盛り上がったあと、遠藤さんは震災当時のことを語りはじめました。遠藤さんは震災前、千葉で働いていました。定年後に南相馬に戻ろうとしていた矢先に震災が起きたのです。家族は帰ることに反対しましたが、それを振り切って故郷に戻ったのです。こんな時だからこそ地域で守り継いできた宝財踊りを絶やしてはならないと、伝統芸能の師匠をしているといいます。遠藤さんの本当の気持ちの一端に触れた魚チーム、一体どんなエンターテインメントを作るのでしょうか。

追加取材 野菜チーム
建設会社の現場監督・渡部さんを隠れヒーローに選んだ野菜チームは、南相馬の海岸にやってきました。津波で住宅や林が全て流されてしまい、震災前とは情景がすっかり変わっていました。渡部さんは、ここにあった防災林を復活させるために盛り土の工事をしました。植えられた松の苗を見ながら、「20年30年後に防災林の役目を果たす」と渡部さんは言います。渡部さんは自分が生きている間だけでなく、未来の世代のために南相馬を作り、つなげようと考えていたのです。

箭内さんのライブ指導 魚チーム
本番の2週間前、塾生たちはエンターテインメントの仕上がりを見てもらうため渋谷のNHKにやってきました。伝統芸能の師匠と駅のボランティアを隠れヒーローに選んだ魚チームは、ロックミュージカルを目指します。何を一番伝えたいか箭内さんに問われた魚チームは、伝統芸能の後継者が集まるような歌詞を作ることだといいます。

箭内さんのライブ指導 野菜チーム
野菜チームは、渡部さんが復興していく町を見て回ったバイクのエンジン音を音楽にし、防災林の写真を交えたライブを目指します。楽しそうにライブ案を話す塾生たちに、箭内さんは「こうやって若い人がワクワクしながら新しいものを作り出す力強い復興の形だ。」と話します。「使命感だけでは復興は根付かない。そこに楽しさが加わることで、未来に繋がる」、箭内さんが塾生たちに送るメッセージです。

最終発表①
迎えた最終発表。発表の場は相馬市で開催されたNHKのイベント「公開復興サポート」です。まずは野菜チームから。渡部さんのバイクのエンジン音を取り入れた音楽に、渡部さんと出会えた喜びを表現するアクロバティックなダンス。震災から8年が過ぎた今でも、南相馬市の将来のために力を尽くしている人がいる。塾生たちの思いが伝わる発表でした。

最終発表②
続いて魚チーム。前半は駅のボランティアの活動を芝居風に紹介。そして後半は踊りとラップで、伝統芸能の師匠の思いを表現します。発表後、会場に来ていた伝統芸能の師匠の遠藤さんは、「震災後、どうしても気持ちが下向きになってしまっていた。しかし、こうやって若い人が立派に盛り上げてくれて、南相馬は元気だと伝わったと思う。」と熱く語りました。

最終講義
発表を終えた塾生たちに、箭内さんは「きのうまでの自分と今日の自分、何が変わっただろう。」と問いかけます。「無理だと思ってもやってみるとできるという自信がついた。」、「一人一人伝えたいことはあるが、それを本当に伝えるためには何をするべきかを学べた」。それぞれがこの2ヶ月で、自分たちが暮らす南相馬、そして自分自身とも向き合えたようです。塾生たちの2ヶ月にわたる挑戦が終わりました。

箭内道彦さんのまとめ

復興には若い人の力が必要だって、そういう感じありますよね。若い人たちと話していても、何か将来はふるさとの役に立ちたいっていう風にみんな思っていますよね。それはとても尊いことですが、復興をちゃんと背負わなければという気持ちが強過ぎると、真面目にやり過ぎちゃうのではないかとちょっと心配でした。若い人たちが新しいものをわくわくとしながら生み出すというのは、とっても力強い復興の形の1つだと思います。

ゴールデンルール

使命感に楽しさが加わることで未来につながる

ナレーション 吉本実憂のつぶやき

塾生たちのエンタメライブ、みんなワクワクしながら作っていてすごく素敵でしたね。
塾生たちが楽しんで作っていたので、隠れヒーローの魅力が見ている人に伝わったと思います。隠れヒーローのみなさんが喜んでいたので、私も幸せな気持ちになりました。
「伝える」と「伝わる」の違い、気をつけようと思いました。私も作品のPRなどで「〜を伝えたいと思います」と言いますが、気持ちとしてはそうでも、伝わらないと意味がないということを、あらためて考えさせられました。伝わるためには、考えたり悩んだり、つまずいたりして大変ですけれど、伝えたいものの魅力がわかっていくとだんだん楽しくなっていく、塾生たちのパフォーマンスからはそれがすごく伝わりました。

番組応援団長 サンドウィッチマン 今回の一言

【富澤】なかなか大変な課題だったけど、最後までやりきったことで塾生たちは自信がついたみたいだね。
【伊達】そうですね。お客さんも、すごく楽しんでいましたからね。箭内さんの「伝えると伝わるは違う、伝わるためには、楽しんでもらうことが大切」という言葉ね、まさに塾生たちに「伝わった」んじゃないでしょうかね。
【富澤】そうですね。俺たちも、東北のことが「伝わる」ようにしないといけないね。
【伊達】確かにね。

【富澤】まずは実家に帰るところから始めるか。
【伊達】なんで帰るんだよ!

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