放送内容

ウエカツさんと考える いま福島の漁業に必要なこと

2019年7月7日(日)

各界のスペシャリストを講師に招き、被災地の復興や発展に必要なチカラを塾生たちが学ぶ「未来塾」。今回のテーマは「福島の漁業復興」。風評被害で売れない、この問題を解決するべく立ち上がったのは“ウエカツ”こと上田勝彦さん。魚食離れを解決しようと様々な活動を行なってきた「魚の伝道師」です。ウエカツさんと塾生たちが、福島の魚を釣ったり、食べたり、売ったりしながら、福島の漁業が復興するためのヒントを見つけます。

講師

講師

上田勝彦さん

魚の伝道師

プロフィール

福島の海の豊かさ
福島県いわき市の漁港に塾生たちを集めたウエカツさん。詳しい説明もないまま、塾生4人にいきなり「今日は釣りをする」と宣言。塾生たちを船に乗せ沖へと出航。4人中3人の塾生が釣り初心者にも関わらず、たった2時間半でカレイ19匹に、メバルが30匹、サバが7匹と大漁。実は福島の海、漁獲を減らしたことにより、震災前より魚が増えていることが確認されています。ウエカツさんの狙い通り、「福島の海の豊かさ」を塾生たちは実感しました。

魚の安全性
釣った魚を持って、次に一行が向かったのは、原発事故直後から、独自に海底の土や魚の放射線量を検査してきた水族館。塾生たちは釣ってきた魚を検査機器に入れて測定します。結果は「不検出」。県のサンプリング検査でも、ここ3年、国の安全基準100ベクレルを超えた例はなく、しかも97%で不検出という結果が出ています。釣ってきた魚が安全だと分かればあとは食べるだけ。品質の良さで「常磐もの」と呼ばれる福島の魚をウエカツさんが調理し、塾生たちは舌鼓を打ちました。

福島の漁業の現状
資源が増えた福島の海ですが、震災前に売上全体の8割を占めていた沿岸漁業の水揚げ量は、かつての6分の1までに減っています。それは沿岸漁業者が自主的に「試験操業」だけを行なっているからです。試験操業では、取る量を減らし、国の安全基準よりも厳しい基準で検査を行ってから出荷しています。漁業関係者たちに話を聞くと、風評被害があるため売れず、本格操業に戻せないと言います。塾生たち、重い現実を目の当たりにしました。

消費者の見方は
次に塾生たちにウエカツさんが出したミッションは「スーパーで福島の魚を売りながらお客さんの声を聞け」というもの。いざ東京のスーパーで販売を行ってみると、「子供がいるから不安」という女性がいる一方で、「気にしていない」という声が多いことに気づきます。アンケートをとってみると、意外にも8割近くのお客さんが「福島の魚でも買う」と回答。福島では風評被害があると聞いた塾生たちは戸惑いました。

風評はどこにある
アンケートの結果をウエカツさんに報告します。ウエカツさんが指摘したのは「小売業者による消費者への過度な忖度(そんたく)」。実際に不安に思っている消費者が少ないにも関わらず、スーパーなどの業者が「多いはず」と推測しているというのです。では、その誤解を解けば良いかといえばそう簡単ではありません。この8年の間でスーパーは福島以外の産地と流通ルートを築いてしまっています。それゆえ、日本の食卓が、そもそも「魚食離れ」していることも変えていかないと、福島のシェア回復が難しいのが現実です。ウエカツさんは、いずれもスーパーがカギを握っているといいます。

小売スーパーに何を伝えるか
ウエカツさんは塾生たちに「スーパーの社員たちに福島の魚をPRしろ」という課題を出しました。どんなプレゼンをするか話し合いを始めた塾生たちでしたが、意見がまとまりません。そこでウエカツさんが「魚屋はなぜにぎやかに接客するのか?」という質問をしました。その答えは「魚は種類が多くて分かりづらいから」というもの。そんな魚を身近な存在にするのが魚屋の役割なのだと言います。つまり、消費者は身近じゃないものを買わない。それは福島の魚に対する小売業者にも同じだと考えました。

身近さを感じてもらおう
プレゼン当日。スーパーの店長やバイヤーたち50人の前で発表します。まずは福島の魚の厳しい検査体制、そして多くの消費者は既に不安に思っていないことなどをデータで示しました。さらに、魚の選別や競りを行う漁師の妻である「浜の母ちゃん」を紹介。実は塾生たち、福島の漁港の人々の思いを伝えることで、「身近さ」を感じてもらおうと、発表3日前に取材に行っていたのです。「おいしいものを食べてもらいたい」という浜の母ちゃんの思いを伝えつつ、教えてもらった地元料理「ホッキみそ」も振る舞いました。

福島と消費者の“かけ橋”
続いて提案したのは「魚食離れ」を解決するためのアイデア。それは「なじみのない魚を見て触ってもらうイベント」というもの。水族館のように色んな魚と触れ合うことで興味を持ってもらおうというのです。さらに、非日常的なフェアやイベントの頻度を上げていくことで、福島の魚を日常的にしていくという販売プランも提案しました。塾生たちの発表を聞いたスーパーの社員の感想は「消費者とのかけ橋になれるのは確かに自分たち」。ウエカツさんは、「今回の体験は学問では得られないもの。でも生きる上で一番重要なことだ」と最後に塾生たちへ語りました。

上田勝彦さんのまとめ

福島の魚がスーパーからなくなってずいぶん時間が経ちました。その間に色々な情報が飛び交って漠然と不安に思い始めています。そこにリアルな福島という“身近でないもの”が来ると、不安になる。同じものだったら身近な方を取るじゃないですか。不安か不安じゃないかっていうところに焦点を当てて、それを伝えるのが一つあるにしても、身近か身近じゃないかっていうところにもう一つ大きなカギがありそうな感じがします。

ゴールデンルール

“身近さ”は漠然とした不安を乗り越えるカギ

ナレーション 上白石 萌音のつぶやき

今回も、同世代の塾生がさまざまな現実に触れて、悩み、発見し、考えを深めていく様子から、とても刺激を受けました。私はこれまでも福島の魚を食べていたのですが、漁師さんや浜のお母さんたちの姿を見て、多くの方の思いと努力が詰まっているんだと分かりました。もっともっとたくさんの方々に広まってほしいと思いました。
講師のウエカツさんはとてもパワフルな人ですね。塾生たちを自宅に招いて料理をふるまったり、若い人たちに「自分で考える大切さ」を伝える熱意を感じました。塾生にとっても素敵な時間だったと思います。

番組応援団長 サンドウィッチマン 今回の一言

【伊達】福島の魚おいしいですから、メヒカリとかね、また食べたいですね。
【富澤】また太るよ。
【伊達】太りません、魚はカロリーゼロですからね
【富澤】あるよカロリー。でも身近に感じてもらえれば売れるかもしれないっていうのは、福島の人たちに勇気を与えるよね。
【伊達】そうなんですよね、「福島の魚と漁業を知って支援しよう」というスーパーがたくさん出てきてほしいですよね。

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