放送内容

くまモンの生みの親・水野学 ふるさとデザイン学 入門

2019年5月5日(日)

今回の講師は、くまモンの生みの親として知られるクリエイティブディレクターの水野学さん。熊本地震から3年、観光客の減少や人口流出など、様々な問題を抱えている熊本・南阿蘇村で、『デザインの力で南阿蘇村のファンを増やせ!』という課題を、4人の塾生たちに出します。地方を盛り上げたいと願う塾生たちは魅力的なモノを求めて村を探しますが…村の人を前にした最終発表まで3週間。たどり着いたデザインとは…!?

講師

講師

水野学さん

クリエイティブディレクター

プロフィール

水野さんが塾生たちを呼び出したのは熊本市。実はこの日、くまモン誕生祭が開催されていました。集まったのは1300人。塾生たちは、会場の熱気で改めてくまモンの人気を実感します。出会って早速今回の課題が発表されます。「震災で大きな被害を受けた南阿蘇村のファンを、デザインの力で増やせ!」。水野さんはくまモンを例に、「目的の本質」をしっかり捉えた上で、最適のデザインを徹底的に探ることが必要だ、と水野流デザインの流儀を説きます。

まず村の現状を知るため、水野さんは塾生たちを南阿蘇村に連れて行きました。3年前の熊本地震では、大規模な土砂崩れが発生。多くの田畑や建物が飲み込まれました。復旧工事は今も続いています。長引く復旧作業と次の災害への恐れから、震災後、村を離れたのはおよそ千人。人を呼び込むことが、村の重要な課題となっています。塾生たちは、「厳しい状況の中でも、村に残り、自然と向き合いながら復興を目指したい」という村の方の話を胸に、いよいよデザイン作りに取り掛かります。

南阿蘇のファンを増やすデザインを考えるには、まず、村の魅力を知らなくてはいけません。塾生たちは、道の駅で特産品を調べたり、農家の方にお話を聞いたり、さらには観光協会にも飛び込み取材を敢行!そんな中「おいしい湧き水がある」という情報を入手します。実は南阿蘇村は、知る人ぞ知る、湧き水の里。名前がついている水源だけで11か所もあります。村の湧き水は、熊本地震の時にも飲み水として人々を救ったと言います。豊かな水と共に生きる南阿蘇村の暮らしを目の当たりにした塾生たち。デザインのテーマが決まったようです。

南阿蘇村の魅力を調査してきた塾生たち。早速水野さんに見つけてきた「水」テーマを報告します。水野さんは「デザインを考えるときは、似合う服を着せることが大切。南阿蘇村にとって水は明らかに似合う。宝にたどり着いたね」と高評価!テーマが決まったら、次の段階はコンセプト決めです。「コンセプトはガイド。これを基にいろんなデザインをしていかなきゃいけない」と語る水野さん。「南阿蘇の水は最高だ」と思ってもらえる言葉は何か考えさせます。塾生たちが出した答えは、「優しい✖︎力強い=美しい」。南阿蘇の水を象徴する、このコンセプトを軸に具体的な企画を考えて行くことになりました。目指すは3週間後の村の人たちの前での発表です。

課題が発表されて10日。水野さんは塾生を東京のオフィスに呼び出しました。塾生たちは、コンセプトをデザインに落とし込む『色』について報告します。優しい、力強い、美しい、をそれぞれ3色で表し、そのグラデーションで南阿蘇の水を表現するというもの。水野さんは「コンセプトと同じくガイドになり得る、すごくいい」と絶賛。ところが、この後具体的な企画内容の発表に移ると雲行きが怪しくなります。水を売りにしたカフェと湧き水を使った化粧水の企画を考えてきましたが、その内容は、カフェに置く食器やパッケージの細部など、かなり具体的で凝ったもの。水野さんは「細かいところをやりすぎていてコンセプトが全く活きてない」というダメ出しをされてしまいました。

コンセプトを活かすとはどういうことか。それを伝えるために水野さんは相模鉄道の車両基地に連れてきました。相鉄全体のリニューアルのデザインを手がけている水野さん。コンセプトとして、「安全」「安心」「エレガント」を打ち出しました。水野さんは、車両の外装から、車内の座席、照明に至るすべてのデザインに、このコンセプトを徹底させたんです。さらに水野さんは、「単に色形を考えるだけではなく、どんな人がどんな表情でどんな風に喜んでるかっていうところまで想像しながらやることが、人の暮らしを豊かにするデザインを生み出す」と熱く語りかけます。

迎えた最終発表。観光や農業で、村を盛り上げようと活動する7人に集まってもらいました。まず、南阿蘇の水を象徴するコンセプトと色について説明します。考えた色は、青空のような青と夕日のような赤の2色のグラデーションです。水を売りにしたカフェの企画は、似合う服を着せる、という水野さんの教えに沿って考え直し、村の雰囲気を壊さない、古民家を生かしたカフェを提案。さらに、水源の水を販売する企画も考えてきました。11か所ある水源それぞれに1色ずつ色を割り当て、並べるとグラデーションになる、というデザインです。村の人たちの反応も上々。特に水源をグラデーションでつなげたことが評価されました。

続いて発表するのは、湧き水を使った化粧水を売り出す企画。多くの人に南阿蘇村を知ってもらうための外部発信の手段として考えたこの商品。パッケージには考えてきた南阿蘇の色を使いました。村の人からは「地元の温泉で実際に使ってもらうといい」「芳香剤などバリエーションを増やすと良い」など、活発に意見が飛び交います。さらに考えてきた色に対しては、「地震後の絶望の中でも、村に残りたいと思わせてくれた、村の空の美しさと同じ色。それを見つけてくれて嬉しい」という言葉も。水野さんは「ベースがいいからアドバイスを受けて次につなげられる」との言葉が。南阿蘇村と真剣に向き合い考え続けてきた塾生たち、村の人たちの温かい評価に感無量です。

水野学さんのまとめ

「デザイン」っていうと、絵描いて、スケッチ描いて、それをコンピューターで起こして…みたいに思いがちですが、その前に考えるべきことがいっぱいあって、もっと言うとその向こう、つまりデザインしたあとにも考えるべきことがあります。どんな人がどんな表情でどんな風に喜んでるか、っていうところまで想像しながらやっていくと、アイデアが生まれると思います。

ゴールデンルール

人の暮らしを想像することで、
人を喜ばせるデザインを創造する。

ナレーション 上白石 萌音のつぶやき

はじめまして、上白石萌音です。災害が多い日本という国で、復興に携わっていらっしゃる方々のこと、そしてそこに込められた思いを、私も「未来塾の塾生」の一人として学ばせていただきたいと思っています。心をこめて、ナレーターを務めていきます。これからどうぞよろしくお願いいたします。

番組応援団長 サンドウィッチマン 今回の一言

【富澤】塾生たちが考えたグラデーションの色を南阿蘇村の人たちが実際にイメージカラーとして使いたい!と、オファーが来たらしいですね。
【伊達】嬉しいでしょうね。村の魅力を的確にあらわしたデザインだったという証明ですね。
【富澤】未来塾もたまにはいいことするね。
【伊達】いやいや毎回頑張ってますよ。結構いいことしてるじゃないですか。

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