放送内容

池上彰 エネルギー街道をゆく!

2018年11月4日(日)

Fukushimaから考える「ニッポンの未来」

今回の未来塾は、ジャーナリストの池上彰さんが登場!学生6人とともに、日本のエネルギーの未来について考えます。舞台は、福島。実は、日本がこれまで選択してきた発電方法の歴史が詰まっているんです。大正3年にできた水力発電所から、福島第一原子力発電所の中まで、様々な発電の現場を回り、池上さんと学生たちがガチンコで意見をぶつけ合います!

講師

講師

池上彰さん

ジャーナリスト

プロフィール

今回の塾生は普段からエネルギーに強い関心を持つ塾生6名。池上さんは塾生たちを、福島県会津若松市に呼び出しました。そして、出会うなりすぐさま「2050年にメインとするべき発電方法をひとつ選べ」という課題を突きつけました。この課題を考えるために、福島県内の発電所をバスで回ろうというのです。池上さんとゆく2日間のバスツアー、出発のお時間です!

バスに乗り込むと、池上さんは塾生たちの課題に対する今の意見を聞きます。火力発電をメインとするべきだと考える塾生が6人中5人、そして、全員が原子力発電を残すべきだと主張しました。そんな話をしている内に到着したのは、東京電力猪苗代第一発電所。なんと、大正3年から100年以上も発電を続けているんです。送電先は東京。発展を続ける大都市の電気を福島が支える歴史が、ここから始まったんです。

次にバスがやってきたのは福島第一原子力発電所。東京電力の担当者の案内でバスに乗り敷地内を回ります。敷地内には、廃炉作業で出た汚染水が入ったタンクがぎっしりと置かれ、日々増え続けています。国は、この汚染水を環境に問題が程度に薄めて海に流すことを検討しているんです。東京電力は、福島第一原発の廃炉作業は30年から40年続くとしていますが、廃炉作業の責任者は、「電気はためられないのが欠点。今後も原発は活用していくべき」という考えを塾生たちに伝えました。

実は塾生たち、バスツアーの2日前に「被災者の声を直接聞いてこよう」という池上さんの指示を受け、首都圏に避難している人たちを訪ねていました。話に上がったのは、原発の安全神話を疑わなかったことへの後悔や、孤独になりがちな避難生活の厳しい現状です。被災者の話に共感したものの、塾生たちには引っかかる意見もありました。それは、「これ以上経済成長しなくてもいいのでは」という意見です。これからの時代を背負う塾生たちにとって、現状維持は納得できないようです。

バスツアー2日目。池上さんが塾生たちに初日の感想を聞いてみると、「廃炉作業に対する国民の理解を得ることが必要」という意見が出てきました。これに対し池上さんは、「上から目線ではなく、人々の暮らしの目線に立つことが大切だ」と指摘します。そして、原発事故の被害を受けた飯舘村にやってきました。ここでは、原発のような中央集権型の大規模な発電ではなく、小規模でも「電力の地産地消」をしようという理念のもと、4年前に飯舘電力という電力会社を立ち上げました。原発事故が、暮らしのあり方を考え直すきっかけになったのです。

2日間のバスツアーを終え、バスは東京にやってきました。「2050年にメインとするべき発電方法をひとつ選べ」という課題を踏まえて討論を行います。まずは塾生たちが各々選択したメインとするべき発電方法を発表します。最初はほとんどが火力を考えていましたが、バスツアーを受けて、6人中4人が再生可能エネルギーを選択しました。残る2人は、再エネでは大都市の電気を賄えないと考え、火力を選択。そして討論は、「原発をどうするか」という話題に移っていきます。

バスツアー初日は、塾生全員が「今後も原発は必要だ」という意見でしたが、討論では2人だけが「原発を15%程度残すべきだ」と主張しました。これに対し、トラブルがあった時のリスク分散の話や、被災者の心の問題など、塾生たちは意見をぶつけ合います。そして、最も討論がヒートアップしたのは、使用済み核燃料の処分場所の問題です。原発によって恩恵を受けた人々は、使用済み核燃料を受け入れるべきではないか。その気持ちを持つことが大切だという意見が多く出ました。

討論を終えた後、池上さんは塾生たちを高層ビルが見える屋上へと連れ出しました。街にはこうこうと光がともっています。池上さんは、「現場を見ると、私たちの豊かな暮らしがどのように支えられているかがわかる。私たちは、本当に豊かな暮らしとはなんだろうかということを考え続けなければいけない。その時に大切なことは、青臭い正義感を持つこと。社会に出ても青臭い正義感を忘れずに、世の中を変えていってほしい」という言葉を送りました。

池上彰さんのまとめ

実際福島の現場に行ってみると、私たちの豊かな生活ってこういうところの人のおかげで維持されているって分かりますよね。原発事故が起きて、この人たちの犠牲によって私たちは暮らしているって分かります。それは果たして本当の意味での豊かな暮らしでしょうか。正義感ってだんだんと大人になってくると、「そんな青臭い正義感を振りかざしやがって」、みたいなことになりますよね。でもどこかに青臭さをずっと残してほしいんです。社会に出て会社に入って会社を、さらには社会を変えていく。本当の意味の豊かさってなんだろうかってことを考えながら、この世の中を変えていく。1人1人がその力になると思うんです。そういう自立した1人の人間として成長してほしいと思います。

ゴールデンルール

「本当の豊かさを求めて、
青臭い正義感で社会を変えろ!」

ナレーション 多部未華子のつぶやき

今回の講師は池上彰さん!私、実は池上さんの大ファンなんです。池上さんのお話はいつも分かりやすいですよね。今回のテーマはとても考えさせられました。自分だったらどの発電方法を選択するのかと考えてみても、なかなか答えは出せません。塾生たちはそれぞれ自分なりの考えを持っていましたが、どの意見にも共感できる部分があって、それだけに簡単な問題じゃない、と感じました。 東日本大震災直後は計画停電を経験して、電気について考えていましたが、いつの間にかあまり気にしなくなっていました。いつまでも考え続けることが大事ですよね。番組最後に出てくる池上さんの“ゴールデンルール”もとても素敵でした。わたしも「⻘臭い正義感」、大切にしていきたいです。

番組応援団長 サンドウィッチマン 今回の一言

【富澤】「うーん、塾生たちの討論、白熱していて面白かったね。」
【伊達】「そうですね。まあどんな発電方法を選択するべきか、まず一人一人がちゃんと考えることが大切ですね。」

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