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東北発☆未来塾

2017年3月25日(土)

東北発☆未来塾
「“卒業”スペシャル」

「“卒業”スペシャル」

2012年3月11日から始まった東北発☆未来塾。これまでの5年間、各分野の66人のプロフェッショナルが「講師」となって、復興へのノウハウやスピリットを伝授してきました。「塾生」となって特別講義を受けたのは、復興の担い手となる大学生や高校生など、435人の若者。その中には、すでに実践の現場で活躍している塾生もいます。しかし、5年間続いてきた“東北発☆未来塾”は、3月でEテレを卒業。そこで、「“卒業”スペシャル」と題して、東北発☆未来塾の5年間を振り返り、塾生たちの今を紹介します。

東北発☆未来塾の5年間を振り返り、塾生たちの今を紹介する“卒業”スペシャル。応援団長のサンドウィッチマンさん、ナレーションの吉本実憂さんの3人が、スタジオでトークしながら塾生の今をお届けします。キーワードは3つ、「悩みよ さようなら」、「その怒りを忘れない」、「夢で逢いましょう」です。最初のキーワードは、「悩みよ さようなら」。悩みを持って東北発☆未来塾に参加した塾生たちが、講師のアドバイスをもらってその後どうなったのかを紹介します。

最初の悩める塾生は、2014年12月「人を動かすチカラ」塾生の徳水瑠都さん。東日本大震災の大津波により、人口が1000を切ってしまったふるさと・雄勝町をなくしたくないが、どうすれば良いかわからない。その悩みを解決するために、世界的ファッションデザイナー、山本寛斎さんが講師として未来塾に参加しました。寛斎さんから、ありとあらゆるものを使ってアピールしろ。雄勝町は、観光客が訪れるような世界一の町を目指せると、励まされました。そしていま徳水さんは、お祭りなど町内行事を担う中心スタッフとして活躍。目標はもちろん、雄勝町を世界から注目される町にすることです。

悩める塾生の2人目は、2015年1月「歌声のチカラ」塾生の菅原千聖さん。講師・歌手のモリクミさんの提案で、仮設住宅で暮らす人たちをまとめて、合唱コンサートをすることになりました。当時、大学で音楽を学んでいた菅原さんは、技術を余すことなく伝えようとしましたが、被災した人たちとの間に溝があると悩んでいます。そこでモリクミさんは、菅原さんたち塾生を、大津波に襲われた沿岸部に連れてきました。被災した人が歌うということが、どういうことなのか。それを考えるきっかけにしてもらいたかったのです。仮設住宅で暮らす人たちの心に少し近づいた菅原さんたちは、合唱コンサートを大成功させることができました。そして今は・・・仙台市で、ピアノ講師やボイストレーナとして活躍。相手の心に寄り添うことを大切にしています。

続いての悩める塾生は、2012年6月「人を支えるチカラ」塾生の高瀬絵梨香さん。当時、大学3年生で被災地支援のボランティアをしていた高瀬さんは、社会人になっても支援活動を続けていくべきか悩んでいました。そこで、中東などの紛争地域で支援活動を行っている木山さんが講師をする未来塾に参加してみることにしたのです。木山さんの「誰か別の人ためになら、頑張れる。その誰かを喜ばせたときが、私たちを突き動かすんだ。それが良い支援になる」という言葉が、高瀬さんの迷いを断ち切ります。それから5年、高瀬さんはふるさと秋田県から宮城県の丸森町に移住。東日本大震災以降、人口減少に拍車のかかる町に、移住者を呼び込む仕事に就きました。働き始めて半年にも関わらず、高瀬さんが企画した移住促進ツアーが人気を集めているそうです。

スタジオにてクイズです。今も東北で活躍している塾生が多くいるなか、塾生が就いた職業でいちばん多いのは何でしょう?正解は・・・教師です。尾木ママが講師の「教育のチカラ」に参加した塾生以外にも、教師を選んだ塾生が多いのです。勤務地は東北に限らず、全国各地。その理由として、いつどこで起こるかわからない震災に備えて、次の世代に未来塾で学んだことを教えていきたいからだといいます。未来塾で学んだあと、地方活性化のために、とても珍しい活動をしている塾生もいます。なんとそれは、ローカルアイドル。塾生たちは未来塾の学びを、様々な形で実践しているようです。さて、続いてのキーワードは、「その怒りを忘れない」。講師から特に熱血指導を受けた塾生の今を紹介します。

未来塾講師のなかでも、熱血指導といえば、2016年3月「映画のチカラ」講師・映画監督の井筒和幸さんです。塾生は、東北大学映画部の精鋭7人。事故があった原発からの放射能を“ゾンビ”になぞらえた短編映画に挑戦しました。特に熱血指導を受けたのは、監督役の佐々木颯清さん。監督として周囲にどうしたいのか気持ちを伝えられず、井筒さんの熱血指導がヒートアップしていきました。なんとか完成した映画は、なかなかの出来。佐々木颯清さんは、最後に、井筒さんに正直な気持ちを吐露します。「こんなに苦しいのに、何回もやれる原動力はなんですか?」。井筒さんは、「半年もすれば、みんなで高揚する感じをもう一回やりたくなってくる。それで何かテーマをドーンと見せるのは、魅力ですよね」。佐々木颯清さんは4月から大学院に進学しますが、研究の傍ら、井筒さんの言葉通り、これからも映画作りを続けていくつもりです。

2015年10月「空間を作るチカラ」の講師は、世界的建築家の隈研吾さん。熱血指導を受けたのは、大学で建築を学ぶ5人の塾生でした。隈さんが塾生に与えた課題は、“大津波に襲われた宮城県南三陸町の高台に、憩いの公園を設計せよ”というもの。塾生たちは精巧な模型を何度も作り、プレゼンしましたが、隈さんの論理的なダメ出しがさく裂します。「税金使って、こんなもの作る必要あるのかよ」、「犯罪をすごく起こしやすい場所だ」、「上から目線なんだよね」。こんな隈さんの熱血指導に耐え抜いた塾生たちはというと・・・佐藤春香さんと藤代昂大さんは、念願だった設計事務所に就職。国立競技場を設計するような建築家を夢見て、歩み始めています。

2014年5月「食のチカラ」の講師は、地元・山形県庄内地方を“食の都”にした料理人・奥田政行さん。塾生たちに、“東北の食材を活かしたオリジナル料理を開発せよ”という課題を出しました。当時、料理人として働いていた塾生・木下智也さんは、腕によりをかけて料理をつくりました。しかし、奥田さんの評価は超辛口で、「ままごと」だと言われます。それから3年、木下さんは叱られたところから奮起して、ふるさとの宮城県石巻市で自分の店を構えました。そんな木下さんのもとに、我らが応援団長サンドウィッチマン伊達さんが訪れます。出された料理は和食とヨーロッパ料理を融合させた創作料理。地元・石巻の食材にこだわっています。料理を食べた伊達さんは、あまりのおいしさに「ウマーベラス!」。料理には自信のある木下さんですが、最終目標は飲食店の経営ではありません。6年前の大津波にのみ込まれた旅館を再建したいと、伊達さんに語ってくれました。

各界の第一線で活躍する講師の熱血指導を受けられる東北発☆未来塾。撮影期間が終わったあとも、講師と塾生の関係性が続いている人たちもいます。2014年4月「映像のチカラ」塾生の根本李安奈さんはその後、講師の映画監督・是枝裕和さんのもとに、3か月のインターンシップに行きました。根本さんは、今もその経験を活かして映像づくりに励んでいます。2015年6月「線を越えるチカラ」塾生の下向理奈さんは、現在、NPO法人の代表理事。活動していくなかで困ったことがあると、いまも講師・社会活動家の湯浅誠さんに相談しているそうです。さて、最後のキーワードは、「夢で逢いましょう」。自分の夢を実現するために、東北発☆未来塾に参加した塾生の今を紹介します。

2014年11月「里海のチカラ」塾生・唐澤愛さんは、海の生き物に関係する仕事に就くことが夢でした。講師は、海洋環境のスペシャリスト・木村尚さん。木村さんから、大津波で傷ついた東北の海を回復させるため、海藻の苗を植える活動を体験しながら、水辺の環境保全の在り方を学びました。そして木村さんは、保全活動をするためには「人と人とのコミュニケーションを大切にして、次世代に紡いでいくことが重要だ」と言います。木村さんの教えを胸に、唐澤さんは今、念願かなって水族館のクラゲ飼育員として働いています。少しでも多くの人に海の生き物の魅力を伝えようと、人と人とのコミュニケーションを大切にしています。

夢をかなえた塾生、続いては宍戸梨絵さん。厚生労働省の職員として働いています。宍戸さんが東北発☆未来塾に参加したのは、2013年6月の「命を守るチカラ」。当時、医療の現場に関わりたいと考えていました。しかし、大学の看護実習で患者の思いよりも、医師の治療方針が優先される現実に直面し、夢を見失いかけていました。講師の災害看護のエキスパート・石井美恵子さんは、「医療の理想を実現することは難しい。でも、諦めたら前に進まないし、良くなっていかない。ぜひ諦めないで頑張ってほしい」と、宍戸さんを諭します。この言葉を胸に宍戸さんは、医療の現場に深関わっていこうと思いを新たにして、厚労省の職員となったのです。

夢に向かって歩む塾生のもとを、サンドウィッチマン伊達さんが訪れました。その塾生は、2016年5月の「農業を活かすチカラ」に参加した本多浩太さん。本多さんの夢は、“儲ける農家になること”。去年から専業農家になりました。講師の農業ベンチャー代表・西辻一真さんの「自分にしか作れないものは、世界最強」という言葉を胸に、鳴子温泉近くでオリジナルブランド野菜を作っています。その名も “温泉ホウレン草”。温泉水をかけて育てています。味はというと、試食した伊達さんが絶賛。これは褒めてもらえるのではないかと、講師・西辻さんのもとを訪れてみると、「僕ならホウレン草を作らない」という言葉が返ってきました。西辻さんは本多さんに、儲かる農家になるためには、誰でも作れるホウレン草を作るのではなく、消費者にとって何がメリットになるのかを考えた方がいいと助言しました。
夢を実現することはたやすくない。でも夢を追う姿は、周りの人を元気にします。頑張れ、塾生!

ナレーション吉本実憂のつぶやき

毎回ナレーションを読む中で、講師の皆さんの言葉がいつも胸に刺さっていました。中でも一番は、猪子寿之さんの「やってみないとわからない」という言葉です。いろんなお仕事をさせていただく中で、考えることももちろん大切だけど、何でもやってみないとわからない、勢いでやった方が良い時もあると思うので、その猪子さんの言葉を大切にしています。
いま、これまでの番組を振り返って見てみると、塾生の皆さんは夢を叶えるために本当に一生懸命がんばっていて、改めて素敵だなと思いました。ひとつ叶えて終わりではなく、また次の夢や目標がどんどん出てきて、成長していく姿を見ていると、刺激されます。
わたしの2017年の目標はアクションに挑戦することです。塾生の皆さんと一緒に私もがんばりますので、見守っていてくださいね!

応援団長サンドイッチマン 今回の一言

【富澤】5年間やってきて。まあ最初に種を蒔いて、ようやくこうやって芽が出て来たのかなっていう感じはしますよね。
【伊達】そうですね。
【富澤】ちゃんと講師にならった教えを活かした職に就くっていう人が出てきた。
【伊達】その一線で働いている塾生がいるわけで。講師として戻ってくる可能性ありますからね。
【富澤】その後花が咲いてくれて、そうなってくれるのはすごく楽しみだなっていう。
【伊達】いいですね。

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