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歴史を生かすチカラ 第3週

2016年9月19日(月)

歴史を生かすチカラ
第3週:「古文書ハンターの防災教室 “奇跡の村”は何かを知っている!」

「古文書ハンターの防災教室 “奇跡の村”は何かを知っている!」

講師の磯田道史さんが出した課題は「岩手県普代村の防災の教訓を調べて、未来にどう生かすかをプレゼンせよ」というもの。普代村は、東日本大震災で高さ23mの大津波に襲われましたが、死者がゼロだった“奇跡の村”。塾生たちは2チームに分かれ、村の人々に聞き込み調査を行いました。はたして、どんな教訓を持ち帰ることができたのでしょうか?塾生たちの発表を聞くのは、講師の磯田さん、そして防災に携わる2人の専門家です。「歴史を生かすチカラ」最終回です!

まずは“教訓の伝承”に着目した平川雄太さん・髙橋瑠美奈さんチーム。普代村では昭和8年に村を襲った大津波の後、毎年行われてきた慰霊祭と防災訓練があり、さらに村の広報誌が災害を語り継ぐ役割を担っていました。こうした取り組みが村人の危機意識を保ち、東日本大震災での避難行動に繋がったとまとめました。最後に、災害の教訓を未来に伝える方法として「避難訓練と住民参加型のワークショップを毎年行い、避難カルテを自分たちで作る」ことを提案しました。

そして、前回お伝えできなかった牧野嶋文泰さん・井上瑠菜さんチームの発表です。注目したのは、岩手県内一の高さを誇る普代村の水門と防潮堤。まずは、防潮堤を建設した元村長、和村幸徳さんのご家族を訪ねます。防災設備の建設に心血を注いだ和村さん。当初、理解を示さなかった村人たちに、「津波は必ず再び襲ってくる」と根気強く訴え続けました。さらに、防潮堤の建設と矛盾するかのように「絶対に安心ということはない」と訴えていたことを、ご家族から教えてもらいました。

東日本大震災が起きたとき、海にいた漁師さんにも話を伺いました。いち早く高台へ避難したという漁師さんは、「水門を作ってもらっても、逃げないと意味がない」。過信をしてはダメだというのです。和村さんの危機意識は、村人にしっかり伝承されていたんです。牧野嶋さんは「水門などのハードで守らなくてはいけないような災害がくるという意識啓発に陰ながら貢献している」とし、「普代村は人のつながりが強く、ソフト防災もかなり高いレベルにあった」とまとめました。

「普代村のような良い事例を持ってきても、日本全国を語っていくことは非常に危ない」。静岡県地震防災センター所長の小林佐登志さんからの指摘です。災害の教訓を未来に生かす提案として牧野嶋・井上チームは、古文書からヒントを見出だしました。災害絵図をCGで動画にしてインパクトを与え、災害の歴史を知るきっかけにしようというもの。講師の磯田さんから、「人間が感動するような何かと結合させて防災を進めていくのは良い提案。」という意見をもらい、発表会は終了しました。

磯田道史さんのまとめ

「災害は忘れたころにやって来るが、それを“忘れないようにする”挑戦も人間にはあると、僕は思うようになったんですよ。その“忘れないようにする”努力っていうのは、歴史科学のように、文字になって記憶を残したものを発掘してみて、次世代に伝えるって方法もあるし。もちろん科学者だったり、行政の方だったり。コミュニケーションでもって伝えていく、忘れないようにするっていうことが、実は、周りの外界環境っていうものから自分の身を守る。他の動物には持ってない、最大の環境に対する適応技術っていうか、鎧兜(よろいかぶと)なわけですよ。」

ゴールデンルール

「災害を語り継ぐことこそが 最強の鎧兜(よろいかぶと)」

磯田道史さん(45歳) 歴史学者・作家

1970年岡山市生れ。国際日本文化研究せンター准教授。慶應義塾大学大学院卒業。博士(史学)。茨城大学准教授、静岡文化芸術大学教授などを経て現職。江戸時代を中心に多くの古文書を読み解いて現代に伝える歴史家。著書「武士の家計簿」、「無私の日本人」がベストセラーとなり映画化される。東日本大震災を契機に災害史の研究に本腰を入れ「天災から日本史を読みなおす」を発表し、話題となる。歴史学者、作家、番組MCと様々なジャンルで活躍している。

ナレーション吉本実憂のつぶやき

自分の地域の「伝承」は何だろうかと考えてしまいました。現在の住民に伝わっていなければ意味がないのだから、普代村の伝承はすばらしいと思いました。そして、「災害は忘れたころにやってくる」。言われ続けている言葉を聞くと、やっぱり、昔の人ってすごいと思います。私の地元の伝承を思い出しました。「干潟をきれいにしよう」です。地域の住民に浸透しているので、これもりっぱな伝承だと思います。

応援団長サンドイッチマン 今回の一言

【伊達】教訓を伝えていくことが、人間の最大の武器ってことですね。古文書ハンター、いいこと言いますね。
【富澤】おれも歴史にちょっと興味が出てきたよ。伊達家に代々伝わる古文書を探し出して、秘密をあばき、お前をゆすってやるわい。
【伊達】なんだお前は。おれ、秘密なんかないよ。
【富澤】ぬふぁふぁふぁ!(不適な笑い)

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