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映画のチカラ 第2週

2016年3月14日(月)

映画のチカラ
第2週「井筒和幸の映画塾 告発に必要なもん 教えたる!」

「井筒和幸の映画塾 告発に必要なもん 教えたる!」

東北大学映画部の7人が、被災地・東北を舞台にした“告発映画”作りに挑みます。居酒屋でのシナリオ会議後半戦。それぞれが考えてきた告発テーマのうち一つでもOKがでれば、映画作りは先へ進めます。しかし、井筒和幸監督の“告発に対する厳しい姿勢”を前に、苦戦を強いられる塾生たち。そんな中、井筒監督のテンションを上げる、衝撃の告発テーマが飛び出します!喜びもつかの間、さらなる問題が塾生たちを待ち受けていました!

シナリオ会議の後半戦。塾生たちが“告発テーマ”を発表していきます。伊藤颯馬さんは、「絆(きずな)はまやかしである」。大津の被害を受けた仙台市荒浜地区で元住民の話を聞き、感じたことをテーマにしました。各自が思い描く復興には違いがあり、絆という言葉は「むしろ束縛になっている」。このテーマに対し井筒監督は「内面的過ぎて映像が浮かばない」と言います。映画にするには、何が撮れるかをしっかりとイメージできないといけないのです。

最後の塾生、佐々木颯清(りゅうせい)さんが撮りたいのは、「放射能を題材にしたゾンビ映画」。放射能に無関心な人々を告発しようというのです。「いいねえ。映画っぽくなってきたね」とテンションが上がってきた井筒監督。ストーリー作りのポイントをレクチャーします。重要なのは、「自然・単純・省略」。話が不自然ではないか、話が複雑で分かりにくくなってはいないか、余計な要素が紛れ込んでいないか。3つの要素の“密度”が大切なのだと言います。

塾生たちは早速、7人共同で台本作りに取りかかりました。舞台は、ゾンビがあふれかえる架空の町。ゾンビは無害だと思われているため、街の人は無関心ですが、主人公はある日、ゾンビが人を襲うところを目撃します。ゾンビの危険性に気づいた主人公は、周りの人たちを助けようと孤軍奮闘するという物語です。このストーリーを聞いて、井筒監督は「ゾンビが放射能を象徴していることが、ストレートに伝わってこない」と、不満を感じていました。

塾生たちは、告発という行為を前にして及び腰になっていたのです。放射能をストレートに表現することで、原発事故の被害を受けた人たちが嫌な思いをしてしまうのではないか…。自身もこれまで、メッセージ性の強い映画を世に送り出してきた井筒監督は、「これが絶対に必要だという説得力さえあれば表現は自由です」と言います。「真摯に、真面目に向き合っている姿を見せれば、被害を受けた人も理解してくれる」と塾生たちを激励しました。

井筒和幸さんのまとめ

「そのためには絶対必要なんですよ、っていう説得力さえあれば、表現については自由です。真摯に真面目に、放射能というのは怖いものだ、危険なものだということで、取り組んでる姿勢さえ見えれば、福島の人は別に文句言わない。納得してくれると思うんですね。理解してくれると思います。君らの目指すものは、世の中に発信したいこと。それを突き詰める言葉で言うなら、告発してみたいこと。そういうことに、もう1回振り戻ってくだたい。振り戻して、振り戻して、もう1回考えてくだたい、っていうことですね。」

ゴールデンルール

「絶えず真摯に真面目に向き合えば、表現は自由です」

井筒和幸さん(63歳) 映画監督

1952年12月13日、奈良県生まれ。奈良県立奈良高等学校在学中から映画制作を開始し、1981年「ガキ帝国」で日本映画監督協会新人奨励賞を受賞。以降「岸和田少年愚連隊」(96年/ブルーリボン最優秀作品賞を受賞)、「のど自慢」(98年)、「ビッグ・ショー!ハワイに唄えば」(99年)、「ゲロッパ!」(2003年)、「パッチギ!」(04年)では、05年度ブルーリボン最優秀作品賞他、多数の映画賞を総なめ獲得し、その続編「パッチギ!LOVE&PEACE」(07年)、「TO THE FUTURE」(08年)、「ヒーローショー」(10年)、「黄金を抱いて翔べ」(12年)など、さまざまな社会派エンターテインメント作品を作り続けている。

ナレーション吉本実憂のつぶやき

「告発とは?」塾生たちが悩みながら、シナリオ作りに挑みます。ちなみに、私、ホラー映画は苦手です。井筒監督は口調は厳しいけれど、おっしゃっていることは正論で、納得の数々です。“3つの要素”は、作品作りだけではなく、日常生活において大事なことだと思います。あと、今回、『きずな』という言葉について、新しい発見がありました。「内面的すぎる」と言われてしまいましたが、どんな作品か見てみたい気持ちになりました。

応援団長サンドイッチマン 今回の一言

【富澤】シナリオのテーマを決めるって難しいことだったんだね
【伊達】でも井筒監督の熱い指摘を受けて、良いシナリオになったんじゃないですかね。
【富澤】次回は、いよいよ楽しい映画撮影だね!
【伊達】いやいや、その撮影こそが最大の修羅場になるんです。