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聴くチカラ 第1週

2016年1月4日(月)

聴くチカラ
第1週「ガンジー和尚の聴くチカラ~傾聴への道は寺から発す~」

「ガンジー和尚の聴くチカラ~傾聴への道は寺から発す~」

新年最初の未来塾は「聴くチカラ」。講師は、宮城県栗原市にあるお寺の住職・金田諦應(かねたたいおう)さんです。震災直後から、延べ2万人以上の被災した人たちの声に耳を傾け、心のケアをしてきました。まもなく5年、被災者の悩みや不安は尽きません。なぜ、悩みを“聴くこと”が心のケアになるのか?金田さんの経験からひもといていきます。今回、金田さんから学びたいと集まったのは4人の塾生。まずは、お寺の一日入門からスタートです!

栗駒山を臨む栗原市に、講師の金田さんが住職を勤める通大寺があります。塾生は「聴くチカラ」を身につけるために、この日は、1日修行体験です。まずは掃除。厳しい寒さの中で、忍耐力を養います。次は、座禅。話を聴くのに必要な集中力を鍛えます。続いて、境内にある茶室に案内されました。茶道から落ち着いた所作を学びます。傾聴の現場では、ちょっとした身のこなしが、相手の心を閉ざしてしまうことがあるためです。

午後、金田さんは震災当時の話をしてくれました。塾生たちを連れて来たのは、お寺から車で5分の所にある火葬場。震災直後、宮城県から栗原市に遺体受け入れの要請があり、200を越える遺体が運び込まれました。その情報を聞きつけた金田さんは、ボランティアで供養することを申し出ます。当時、棺おけが足りず、自分たちで作りました。ビニールシートに包んだままの遺体が次々と運び込まれます。金田さんは一心に祈り続けました。

あまりにも大きな現実に直面し、泣くこともできず、心が動かなくなってしまった人が多くいました。このまま心が動かなくなったら、この人たちはどうなるんだろう。犠牲者を弔う四十九日法要。震災直後の遺族に言葉をかけることができなかった金田さんは、仲間の僧侶や牧師に呼びかけ、東北地方の沿岸部を追悼して回りました。いてついた人々の心を動かさなくてはいけない。震災から2か月後、「傾聴ボランティア」が始まりました。

3年前、1通の手紙が届きました。震災で息子を亡くし、自分のせいだと、自殺未遂を繰り返す母親からの悲痛な叫びです。金田さんがすぐさま訪ねると、母親はうつろな目で、息子はどこにいるのかと尋ねてきました。「お母さんならどこにいてほしいの?」と金田さんが言うと、長い沈黙の後に母親が口を開きます。「お花がいっぱい咲いていて光があふれている場所にいてほしい」。金田さんは、その答えで、母親が一歩踏み出したと思いました。

金田諦應さんのまとめ

「人間というのは、物語を作ることによって、生きることもできるんですよ。その能力を持っている。その能力を生かすためには、喜怒哀楽の心がきちんと動かないとだめ。その心を動かすために、私たちが行って、あの手この手で、いろんなことやって。とにかく、心を動かしてもらって、自分でどんどんどんどん作っていく。そこまでが、私たちの仕事なのかなって。物語を作る、お手伝いをしなくちゃいけない。」

ゴールデンルール

「心を動かし 物語をつくることで 人は生きていける」

金田諦應さん(59歳) 僧侶

1956年生まれ、曹洞宗通大寺住職。宗教者ならではの心のケアを行っている「臨床宗教師」でもある。震災直後の2011年5月から、被災者に対して「傾聴活動」を行う“カフェ・デ・モンク”を主催。移動式の喫茶店で、軽トラックにコーヒーやケーキなど道具一式を積みこみ、様々な宗派の僧侶・牧師が、週に1度仮設住宅などを訪問。話を聴くことで、被災した人が抱える“心の問題”に寄り添っている。“傾聴とは決して施しを与えることではない。伴走し、未来への物語を作る手助けをすることである”(金田)

ナレーション吉本実憂のつぶやき

新年最初のテーマは「聴くチカラ」です。私はプライベートでは、“聴く方”なのですが、講師の金田諦應さんのように聴けるかと言われると…聴くって、難しいですね。会話はキャッチボールだけではなくて、相手が話すまで待つ、お互いが一言ずつ言葉を発するのに20分かかっても、それも会話なんだと教わりました。今回、塾生たちがお寺に一日入門です。私もドラマの撮影でお寺に通いましたが、一番の思い出は「寒かった」です(笑)。

応援団長サンドイッチマン 今回の一言

【富澤】これは大変な話だね。
【伊達】われわれも被災地の応援団として5年近く頑張ってきてますけど、“絶対にあの時を忘れない”、この気持ちを新たにさせられましたね。
【富澤】それで次回は?
【伊達】いよいよ、金田さんが塾生たちを連れて、傾聴ボランティアの現場に入ります。

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