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震災と向きあうチカラ 第1週

2015年3月2日(月)

震災と向きあうチカラ 武内宏之さん
第1週「武内デスクの新聞教室 紙とマジック」

「武内デスクの新聞教室 紙とマジック」

3月のテーマは「震災と向き合うチカラ」。前半2回の講師は、石巻日日新聞・前報道デスクの武内宏之さんです。武内さんは新聞記者一筋35年、生まれ育った石巻の情報を足で稼いできた人情派。そんな武内さんのもとに集まった塾生は、新聞やテレビなど、ジャーナリズムに興味を持つ大学生、6人です。震災からまもなく4年、今も被災地の人を思い、情報を発信し続ける石巻日日新聞の取り組みを通して、震災と向き合うとは何かを学びます!

まず、武内さんが塾生を案内したのは、海から1.5キロ内陸にある石巻日日新聞社。ここでは、石巻市内を中心に毎日、夕刊を発行しています。現在の発行部数は8000部、震災前の約半分です。地震当日、新聞製作を終えて会社にいた武内さんたちを激しい揺れが襲いました。取材に出ていた6人の記者とは連絡が取れず、さらに会社の1階にあった“新聞社の心臓部”ともいえる輪転機が津波で浸水。新聞が印刷できなくなるという事態に陥ったのです。

絶望的な状況のなか、社員たちに社長から「平常時、新聞を出すのは当たり前。異常時にこそ出すのが新聞社の役割じゃないか」と喝が入ります。しかし、輪転機の復旧のメドは立たず、報道部デスクだった武内さんは頭を抱えました。そのとき、新聞用のロール紙が濡れていないのを発見、さらに、たくさんの油性ペンも見つけました。「ペンと紙さえあれば伝えられる!」武内さん指揮のもと、翌日から手書きで「壁新聞」を発行することが決まります。

壁新聞は、5か所の避難所と1か所のコンビニエンスストアに貼り出しました。第1号はラジオの情報をもとに被害状況を掲載。続く第2号は、記者たちが懸命に足で稼いだ被害の情報を載せました。しかし、武内さんには、地域に密着する新聞社として、被害ばかりを伝えていていいのかと迷いが生じます。「気持ちをつないでもらう情報を書こう!」第3号では編集方針を変更。少しでも希望をもってもらうため、全国から寄せられ始めた支援について詳しく伝えました。

記者たちは、どんな思いで日々取材をしているのか?地震発生直後のふるさとの状況を撮影した秋山裕宏記者は、「震災後の1年は取材するのが嫌だった」と言います。さらに塾生たちは、熊谷利勝記者の仮設住宅の取材に同行。取材相手に寄り添い、話したくなるまで待つことの大切さも学びます。武内さんは「新聞記者は、毎日腹をくくっていかなきゃならない仕事である」と塾生たちに語りました。

武内宏之さんのまとめ

「(石巻日々新聞について)ただ、近すぎるがためにという課題も地域紙は常に持っているっていうことなんです。もしかすると自分の家族のことも書かなきゃいけない、親戚のことも書かなきゃいけない。何かあったら友だちのことでも、書かなきゃいけないんですよ。知り合いだからこれボツねってしてしまったら、今度は読者と日日新聞の信頼関係が崩れてしまうわけでしょ。ペンを曲げてはダメっていう、事実がここにあるのに、その事実と違ったことをちょっと色を付けてみたり、それはしてはならない。つらいよね、でもそこから逃げたら本当にダメ、常に対峙(たいじ)していかないと。」

ゴールデンルール

「つらくても逃げるな!事実と対峙(たいじ)しろ!」

武内宏之さん(57歳) 石巻日日新聞 前報道部長

1957年石巻市生まれ。1980年地域新聞『石巻日日新聞社』に記者職で入社。東日本大震災当時は報道部長として取材を指揮。大津波で町が壊滅的な被害をうける中、手書きの壁新聞を作成。翌日から避難所などに貼り出して地域の人達に情報を伝え続けた。その壁新聞は国内外から広く注目され、数々の賞を受賞。オリジナル版は米・ワシントンの報道関連の博物館にも展示、保存されている。

ナレーション川島海荷のつぶやき

記者の現場って大変!地震直後、ふるさとが被災して自分もつらいのに、読んでくれる人たちのために「必要な情報を伝えなくては!」と、新聞を手書きしたんですね。"仕事として"ではなく、"人間として"という強い思いが伝わってきました。番組に登場する記者さんは、優しく話を聞いておられて、相手の方も話しやすそう。私は、友だちとの関係で、どちらかというと話すほうなので、「人の話を聞いて気持ちを汲みとれる人」に憧れます。

応援団長サンドイッチマン 今回の一言

【伊達】次回は記事づくりに塾生が挑戦します。「震災4年を迎える石巻の市民の本音を取材して記事にせよ」というもの。塾生が書いた記事は石巻日日新聞に載せるんです。
【富澤】塾生たち本当に新聞作れるの?
【伊達】大丈夫です、スタローン武内さん、ランボー並みに激しく指導します。
次回も未来塾、お楽しみに!

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