【レポート】原発へ
こんにちは、Web担当の花です。
いつも私が書いたグダグダした記事ばっかりの「あしたブログ」でしたが、今回は「未来塾」のプロデューサーによるレポートです。番組のロケーションで向かったのは、東京電力福島第一原子力発電所。
もうすぐ、震災から6年半。一体どんな様子なのでしょう。
こんにちは。「未来塾」担当のプロデューサー・福井です。
9月放送の未来塾のロケで、東京電力福島第一原子力発電所へ行ってきました。大事故が起きたあの原発はどうなっているのか、気になる方も多いと思うので、番組の放送はだいぶ先ですが、少しだけ報告します。
東電バスに乗り込む
7月11日、大学生(塾生)を含む未来塾ロケ隊は、ロケバスで、今年4月1日に大部分の地域で避難指示が解除された富岡町に向かいました。大熊町との町境の手前で、東京電力が用意したバスに乗り換えました。
真っ白なのには特に意味がないそうです。
ただ車内は、除染しやすいように、至る所が“目張り“してありました。
このバスで、帰還困難区域に入ると、風景は一変します。道端の建物は6年前の大震災直後の崩れたままで、その上に雑草が覆いかぶさっています。
わき道にはバリケードが築かれ、田んぼだったろう所は草木が生い茂っていました。大震災の爪跡がむき出しでした。
さよなら、スマホ
そして国道を離れ、原発へと向かうのですが、ここで登録済のテレビ用カメラ以外での撮影は禁止。このあとスマホも預けることになります。したがって、写真はありません。
原発に近づくとまず国の検問があり、そのあと警察の検問がありました。そして、原発構内に入り、真新しい建物の前にバスが止まりました。一種異様な感じのするこの建物、窓がなく、壁には放射線を透過しにくい鉛が入っているそうです。この中で、まず、一人ずつ体内の放射線量を測定します。これは出るときに、異常に増えていないかチェックするためです。このあと金属探知機を通って、静脈による個人認証ののち、着替えエリアに入ります。
そこで、渡された靴下を一枚はき、もう一枚をズボンの裾を入れる形で履きました。防御用チョッキと暑さ対策の保冷剤をいれるチョッキを二重に着て、顎も鼻も覆う作業用マスク・帽子・めがね・軍手・ヘルメット・継ぎ目の少ない靴などで露出する部分を減らしました。そして最後に一人ずつ放射線測定器をチョッキの心臓側のポケットに入れて出発です。
放射線量
構内だけで運行するのでナンバーのないバスに乗りこみました。構内に出ると、驚いたことに、普通に作業服だけでヘルメットもマスクもなしに歩いている人がいました。この辺りは除染がほぼ完璧に済んでいるので、原発の近くより放射線量は低いそうです。この日も毎時0.8マイクロシーベルトでした。(ちなみに毎時0.23マイクロシーベルトを超えると「汚染状況重点地域」に指定されます)
そこから原発の建屋に近づくと放射線量は急激に上がりました。最終的に、1号機から4号機まで見渡せる高台に立ったのですが、そこでは毎時150マイクロシーベルト。およそ200倍になりました。そして1号機の内部は毎時500ミリシーベルト。
2号機は内部の様子がよくわからないのですが、毎時数百ミリシーベルトはあるだろうとのことです。(資源エネルギー庁のホームページによると短時間に100ミリシーベルト以上の被爆があると「皮膚の紅斑や脱毛、不妊などの急性放射線障害症候」の発症の危険があります)
※ 1シーベルト = 1000ミリシーベルト = 100万マイクロシーベルト
やりきれない思い
水素爆発の傷跡が生々しく見える1号機、厚い壁に覆われて内部の様子もよくわらない2号機を前に、苦しみ続ける福島の人々のことを思うと、怒りと悲しみと寂しさがないまぜになった感情がこみ上げてきました。火山の内部や深海など、人間が立ち入れないところは大自然の中にはあります。しかし、ここは人間の手が作り出した人間が立ち入れない場所です。神に挑んだ「バベルの塔」を思いました。
詳しい様子は、9月の「未来塾」で映像つきでご覧ください。
花です。
番組では映像があるのでしょうが、レポートの肝心なところに写真がないのが残念・・・というのが正直な思いです。技術的なことはまったく分かりませんが、見てみたい、知りたいと思う気持ちが大きいです。私自身は東京生まれの東京育ちですが、外国の方などに「福島は結局どうなっているの?」と聞かれても、きちんと具体的なことが答えられないとき、はがゆさを感じます。
暑い夏。作業している人の中には、上のイラストより、もっと完全装備な人がいるそうです。どうか熱中症に気をつけていただきたいです。月並みなことしか言えないダメな私です。
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ちなみに、装備のイラストは福井さん画。「いい感じに描き直してください」とお願いされたのですが、味があるのでそのまま載せることにしました(味がありすぎて、分かりづらかったから・・・じゃないですよ、けっして)。